近年職場環境の変化に伴い,職場でのメンタルヘルス不調への対応の必要性が高まっている.その中で産業医が発達障害者やその可能性のある社員と対応していくことが少なくなく,産業保健スタッフが対象者の抱える問題への対応過程で発達障害の可能性の視点をもつ必要や,適切な精神科主治医との連携が必要であり,職場内対応のために円滑な社内アプローチを行い,職場の理解を得た上で業務上の配慮や適正配置をアドバイスできるようになることが求められる.あわせて入社後に発達障害と診断されることもあり,こうした障害をもつ社員に関してキャリア形成を考慮,検討していくことも必要である.本論文では,いくつかの事例を紹介しながら,職場における発達障害の課題についてまとめ,職場における対応について考察した.
産業医からみた職場における発達障害の課題
株式会社リコー日本統轄本部総務統括センター
精神神経学雑誌
117:
199-204, 2015
<索引用語:発達障害, 就業上の配慮, 適正配置, キャリア形成>