Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第116巻第12号

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特集 周産期メンタルヘルスの国際標準化に向けて
産褥期の薬物療法と授乳の国際的動向
吉田 敬子
九州大学病院子どものこころの診療部
精神神経学雑誌 116: 1012-1018, 2014

 国際的な母乳育児推進の動きに伴い,わが国でも,母乳育児は推進されている.しかし出産後は精神症状が出現しやすい時期でもあり,薬物療法が必要となる母親もいる.その母親が,母乳栄養を希望する場合は,薬物療法による母親へのメリットと母乳栄養児に与える薬物の副作用の可能性のジレンマが生じる.ほとんどの精神薬物は母乳中に移行,児が摂取する.しかし母乳の1日量から考えると,児への薬物移行は母親の数%であり少ない.子どもに低出生体重や黄疸などの小児疾患がみられなければ,母乳をあきらめる,あるいは薬物を減量する必要はないとの報告が多い.母親への薬物療法と授乳に関しては,個々のケースの記述も含めたデータの蓄積が必要であるが,薬物療法を余儀なくされる産後の母親が母乳栄養を希望した場合には臨床的決断を要する.その場合には,母親の希望を取り入れ,母乳栄養を行い,児については小児科的なモニターを適宜行う.薬物の投与量については,あくまで母親の症状に合わせて必要十分量を決めることが最も重要である.

索引用語:産後うつ病, 産後精神病, 向精神薬, 母乳中移行, 副作用>
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