精神神経学雑誌

掲載論文ハイライト

統合失調症概念の歴史的形成をたどり,医学モデルへの偏重が思春期・トラウマ・社会環境との関連にもとづく理解や支援を遅らせた経緯と,当事者主体の回復の定義,組織変革,コ・プロダクションの潮流を紹介した.より広く様々な精神疾患や精神的困難を理解し,支援し,協働し,「こころの健康社会」を実現するための基本となり大切にすべき論点であるよう努めた.
意外にも,低カルシウム血症(低Ca血症)が直接的に認知障害を惹起した症例の報告は,ほとんどない.低Ca血症とその原因となる副甲状腺機能低下症は,それぞれ独立した認知障害の要因である(低Ca血症に関連する認知障害は,低Ca血症による直接的な認知障害だけでなく,慢性的な低Ca血症の原因である副甲状腺機能低下症をきたす病態からも惹起される)と考えられた.
特集 | 868-898頁
竹島 正,大塚 尚,後藤 基行,中村 江里
本特集では,「精神医学の学際研究への参画と課題」というテーマのもと,「精神医学の学際研究への参画と課題―日本精神神経学会法委員会における優生保護法下における精神科医療及び精神科医の果たした役割に関する研究をもとに―」,「自殺予防と自死遺族支援のための学際的・共同研究集会の取組み」,「医療・ヘルスケアの歴史的ELSIの検討―超学際的な新しい資料読解の試み―」,「第二次世界大戦とトラウマに関する学際的研究」について論じる.

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