ヤスパースの精神病理学は,かつて日本の精神科医が必ず一度は眼を通したものです.彼の提出した「了解」という方法は,革新的な視点でした.他方で,ヤスパースの叙述は難解なところも多く,必須の教養でありながら,敬遠されがちです.今回の綜説では,彼の了解概念を半ば換骨奪胎しながら,現代風に読み解いてみたいと思います.
総説 | 555-568頁
田宮 聡,水馬 裕子,加藤 亮,長尾 早江子
自閉症スペクトラム障害(ASD)と物質使用障害(SUD)合併に関する文献を展望した.ASD/SUD合併は意外に高い可能性,ASD児のSUDリスクは成人期への移行期に高まる可能性が示唆された.またASD児者は,自己治療や社会的機能改善の手段として物質使用に及ぶことがある.精神医療従事者はASD児者における物質使用の役割に注目し,ASD特性を考慮に入れることが重要である.
特集 | 569-604頁
古茶 大樹,北中 淳子,江口 重幸,糸川 昌成,堀内 泰江,鳥海 和也,吉川 茜,石田 裕昭,鈴木 一浩,宮野 康寛,井上 智子,小堀 晶子,宮下 光弘,水谷 隆太,新井 誠,村井 俊哉
本特集では,「統合失調症とはどういうことか」というテーマのもと,「統合失調症とは何か―精神病理学的視点から―」,「共感の技としての精神医療―医療人類学的視点―」,「統合失調症―文化精神医学からの一視点―」,「生物学的精神医学はどこまでクレペリンの夢に迫れたのだろうか―種と類型の修辞学―」,「『統合失調症とはどういうことか?』という問いについて」について論じる.