精神神経学雑誌

掲載論文ハイライト

精神医学のフロンティア | 0593-0601頁
北沢 桃子,吉村 道孝,村田 まゆ,藤本 友香,一言 英文,三村 將,坪田 一男,岸本 泰士郎
日本の若者における「問題のあるインターネット使用(Problematic Internet Use: PIU)」と精神症状との関連について,5つの大学の学生1336名を対象に質問紙調査をおこなった.その結果,PIUは性別,年齢,睡眠,ADHD傾向,抑うつ傾向および不安傾向と有意な関係にあり,日本の若者においても諸外国での先行研究結果と同様に,インターネット依存と精神症状の関連が認められることがわかった.
これまで精神科領域で「遺伝負因」と称されてきた家族歴は,はたして負の因子なのか.家族歴を話題にすることは,心理社会的な側面に触れると同時に,素因を形づくる遺伝的な側面に触れることでもある.ゲノム医学が急速に進歩する昨今,当事者や家族が気にかけながらも話題にしにくかった遺伝について,精神科の臨床場面でどのように向き合うかを論じる.
特集 | 0612-0636頁
車地 暁生,阿部 隆明,塩田 勝利
本特集では,「双極Ⅱ型障害の診断・治療および臨床研究―Ⅰ型障害との比較も併せて―」というテーマのもと,「双極Ⅱ型障害の診断・治療および臨床研究―Ⅰ型障害との比較も併せて―」,「双極Ⅱ型障害の精神病理学的検討」,「双極Ⅱ型障害の薬物療法ガイドラインについて―抗うつ薬の位置づけと近年の知見を含めて―」について論じる.
第114回日本精神神経学会学術総会 特別講演 | 0637-0653頁
西野 精治
近年,多彩な精神症状を呈する抗NMDAR脳炎が話題になっている.また代表的な過眠症であるナルコレプシーも,自己免疫異常によりオレキシンの神経脱落が後天的,特異的に生じ発症することが判明した.本総説では,ナルコレプシーおよび精神医学・睡眠医学領域における自己免疫性脳炎・脳症に関する研究の歴史と進展を追いながら,私感も交えて考察を加えた.
第114回日本精神神経学会学術総会 教育講演 | 0654-0660頁
中 康
神経症圏を中心とした思春期患者のアセスメントにおいては,精神分析的発達心理学に基づいて思春期の心理的発達について評価することが有益である.その際に,両親面接と思春期の子どもの面接の両方を行うが,子どものプライバシーを親に対して守る形の面接構造を作ること,寝室構造の把握を通して親子関係・両親の夫婦関係について評価すること等が重要となる.

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