精神神経学雑誌

掲載論文ハイライト

閾値未満の躁・軽躁症状を伴う混合性うつ病は,双極性の特徴として注目されている.DSM-5は,この概念を混合性の特徴という特定用語に採用したが,躁・うつ両者に重複する症状(易怒性,精神運動性の焦燥,注意散漫)は混合症状から除外するという規定に議論がある.本研究では,DSM-5基準の双極性と単極性の鑑別能を,除外規定を設けていないBenazziの定義と比較した.
総説 | 653-665頁
倉知 正佳
精神症候学では,さまざまな臨床症状が,その成立機序には立ち入らずに,記述される.しかし,19世紀半ばから20世紀初頭にかけての近代精神医学の成立期には,精神病症状の成立機序について,優れた仮説が提案されていた.本論文では,病態形成を探求する精神症候学の系譜として,当時の代表的精神医学者達の考え方を辿り,それらの今日的意義について述べた.
特集 | 666-687頁
田川 精二,滝脇 憲,精神医療・保健福祉システム委員会 病床機能分化班
本特集では,「地域移行と病床削減」というテーマのもと,「精神科診療所からみた地域移行と病床削減」,「精神障害者の住居確保―生活困窮者支援の経験から―」,「『病床機能分化と地域移行』に関する学会員へのアンケート調査結果報告」について論じる.
特集 | 688-713頁
佐藤 茂樹,木下 真也,笠井 清登,金原 明子,里村 嘉弘,管 心,谷口 豪,市橋 香代,金生 由紀子,近藤 伸介,平田 豊明
本特集では,「高度急性期精神科医療の将来像」というテーマのもと,「総合病院精神科医療の将来像」,「精神病棟における身体合併症例の現状」,「精神科高度医療のモデル開発・提供・教育―大学病院精神科の役割―」,「精神科急性期包括入院料病棟の現状と将来展望」について論じる.

このウィンドウを閉じる

Copyright © The Japanese Society of Psychiatry and Neurology