精神神経学雑誌

掲載論文ハイライト

刑事施設に収容されている男性覚せい剤乱用者251名を対象として,同一対象の待機期間中の変化を対照群に用い,自習ワークブックおよびグループワークによる介入の効果を検討した.その結果,自習ワークブックとグループワークによる薬物再乱用防止プログラムは,中等症以上の覚せい剤乱用者に対して治療上好ましい心理的変化をもたらす可能性が示唆された.
本邦では向精神薬の多剤大量処方が蔓延している.本稿では従来の病因論的・攻撃的な治療思想と対照的な薬物療法論として,向精神薬で自然治癒過程を促進し,化学的病理の解消や症状の除去よりも,脳のレジリエンス活動の存在を前提とし,生物・心理・社会的手段によってその補強をめざす治療思想“Natural Resilience Theory”を提唱した.
行動活性化療法は,当初,うつ病に対する認知行動療法の一技法として位置付けられていたが,近年,それ自体の有効性が認められている.「休息と薬物療法」の原則に拘泥しがちな我が国のうつ病医療に同療法を導入することは有意義であろう.本特集では,行動活性化療法の理論と実際,認知行動療法における適応,森田療法の技法との異同,および実証的研究について論じる.

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