精神神経学雑誌

掲載論文ハイライト

世界保健機構(WHO)世界自殺レポート会議に来日されたWHO精神衛生および薬物問題予防部門のSaxena部長と瀬戸屋先生をお招きして開催された意見交換会の記録である.日本精神神経学会から武田理事長,神庭副理事長が参加し,張賢徳,大塚耕太郎,河西千秋,高橋祥友といった自殺研究のエキスパートが加わって,わが国の精神医学・医療と自殺対策の現状と問題点について熱い議論を交わした.
児童精神医学的診断と多言語使用の問題を,言語障害,特異的学習障害,選択性緘黙との関連で論考した.言語障害の評価においては,バイリンガル特有の言語行動に関する理解が不可欠である.特異的学習障害の評価では,第2言語の習得度,転移,文化的背景などを考慮に入れる必要がある.継起バイリンガルでみられる沈黙期は,選択性緘黙との鑑別を要する.
子どもに対する向精神薬処方の経年変化を把握した結果,2002~2004年と2008~2010年を比較すると,13~18歳における向精神薬の処方オッズは,ADHD治療薬が2.5倍増,抗精神病薬が43%増,抗うつ薬が37%増であった.適応外使用が増えているため,治験推進と有効性・安全性のモニタリング・データベース構築が喫緊の課題である.
緩和医療では死を前にした患者のケアをする以上,必然的にスピリチュアリティ(霊性)の次元が浮上してきて,通常の現代医学の守備範囲を超える側面がある.このような問題意識のもとに,日本における緩和医療の今後の方向性を考える一助として,カトリックによる修道院医療や仏教における無常院などに言及しながら,宗教が医学に果たした役割について論じた.

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