周産期うつ病は,女性の妊娠中から産後1年間に生じる精神疾患である.妊産婦の健康問題や,乳幼児の不適切な養育につながる可能性があるため,母子保健の枠組みで重点課題として取り組みが行われている.一方,近年は男性も周産期に高率にうつ状態を呈することが明らかとなってきた.しかし,周産期に精神的不調を抱えている男性に対する支援体制は十分ではなく,わが国における男女の周産期うつ病に関する有病割合と性差に関する理解も不十分であった.このため,われわれは日本人男女における周産期うつ病の有病割合のメタアナリシスを行った.はじめに,PubMedおよびICHUSHIのデータベースを検索し,日本人女性の周産期うつ病について国内外の論文1,317報の抄録をレビューし,301報を精査し,123報の研究を解析した.その結果,女性の周産期うつ病の有病割合は11.5~15.1%と高く,産後1ヵ月時点では14.3%であることが明らかとなった.他方,男性の周産期うつ病も高い割合で生じていることが判明した.日本人男性の周産期うつ病について,国内外の論文1,379報の抄録をレビューし,33報を精査し,15報の研究を解析対象とした.その結果,男性の周産期うつ病の有病割合は8.2~13.2%であることが明らかとなった.加えて,産後は男女の比較で相対危険度に統計的有意差がみられないほど,男性の産後うつ病の有病割合が高いこともわかった.先行研究において,女性だけでなく,男性も周産期うつ病により自殺リスクが高まると報告されている.また,父親と母親の周産期うつ病発症は,互いに相関していることも知られている.このため,周産期において,女性だけでなく男性の精神状態も評価し,適切な援助体制を構築することが必要であると考えられた.夫婦の自殺防止と子どもの健康な発達を促進するためには,家族単位の視点で心理的サポートを実践することが重要であろう.
2)獨協医科大学精神神経医学講座
3)順天堂大学医学部附属順天堂越谷病院メンタルクリニック
https://doi.org/10.57369/pnj.23-087
はじめに
周産期うつ病は,妊娠中または出産後12ヵ月以内に発症する精神疾患で,妊産婦の健康問題,乳幼児の不適切な養育につながる可能性があることが知られている7)26).女性の周産期うつ病は生物学的,心理的および社会的問題が原因で発生することが知られており,家族からの支援は周産期における女性の精神面に影響を及ぼすことが報告されている19).1987年にCox, J. L. がEdinburgh Postnatal Depression Scale(EPDS)を開発した後5),産後うつ病のスクリーニング検査が急速に進展した.最近の国際的メタアナリシスによると,産後うつ病の有病割合の推定値は,約17%〔95%信頼区間(confidence interval:CI)15~20%〕であると報告されている25).周産期の心理的危機は,自殺のリスクにもつながる.Takedaらは,2005年から2014年までの東京都監察医務院での周産期女性の異状死を分析し,この期間中に63名が自殺していたと報告した(妊娠中23名,産後1年未満40名)27).この数字は,産科的身体異常による妊産婦死亡率の2倍以上であった.このため,周産期の死亡率減少という観点から,産婦人科領域でも妊産婦のメンタルヘルス対策の重要性が高まっている.
他方,男性もまた,パートナーの周産期に心理社会的な危機を感じ,高率にうつ状態を呈することが明らかとなってきた.加えて,男性と女性の周産期うつ病の発症は,互いに相関していると報告されている9).これは,父親をサポートすることが,結果的に母親の精神的安定や,子どもの発達に好影響を与える可能性を示唆している16).このため,女性だけでなく,男性も自身の精神状態を評価し,周産期に適切な援助を求めることが必要である.しかし,周産期において,男性はあくまでも女性と子どもに対する道具的サポートの役割が強く期待されており,男性自身の心理的サポートについては十分に注目されておらず,また情報提供も不足している.本稿では,著者らが発表した日本人の男女における周産期うつ病の有病割合メタアナリシスについてふれながら,女性だけでなく男性の周産期うつ病の特徴および心理的側面について概説した.夫婦の自殺防止と子どもの健康な発達を促進するために,女性と子どもだけでなく男性を含めた家族単位の視点で,周産期メンタルヘルス問題の対策を行う必要があることを強調したい.
I.日本人女性の周産期うつ病 有病割合メタアナリシス30)
近年,環境省によって主導されている「子どもの健康と環境に関する全国調査」(エコチル調査)と呼ばれる大規模な前向き全国コホート研究によって,産後1ヵ月の女性における産後うつ病の有病率が13.7%であることが示された(n=82,489)15).この他にも,日本人女性の周産期うつ病の有病割合については,数多くの報告がみられるものの,諸外国のようにメタアナリシスが行われておらず,一定のコンセンサスが得られていなかった.周産期うつ病は患者が住む国の経済状態や社会的支援,民族性などの違いによって影響を受ける可能性が示唆されており19)26),異なる国や地域の疫学データを日本に直接あてはめることには問題がある.そのため,日本という国や文化に焦点をあてた研究を行うことが必要であると考え,日本人女性の周産期うつ病の有病割合についてメタアナリシスを行った30).われわれの研究は,英語だけではなく,日本語で記載された論文も解析の対象とした点に特徴がある.
はじめに,PubMedと医学中央雑誌(ICHUSHI)の2つのデータベースを検索し,1994年1月から2017年12月に発表された,周産期うつ病の有病割合に関するデータを有する研究を特定した.候補となった1,317報の抄録をレビューし,301報の論文について全文を精査し,123報の研究を解析対象とした.産後うつ病の1ヵ月時点の有病割合は,日本人女性108,431名を組み込んだ結果,14.3%であることが判明した(図1).妊娠時のうつ病の期間有病割合は,第2三半期で14.0%,第3三半期で16.3%であった.産後うつ病の有病期間は,産後1ヵ月以内が15.1%,産後1~3ヵ月が11.6%,産後3~6ヵ月が11.5%,産後6~12ヵ月が11.5%であった(図2).一般化線形混合モデル傾向分析の結果,妊娠中のうつ病の有病割合は時間の経過とともに統計的に有意に増加し,産後うつ病の有病割合は時間の経過とともに統計的に有意に減少することも明らかとなった.妊娠中と産後のうつ病の有病割合を比較すると,妊娠中のうつ病の有病割合は産後うつ病の有病割合より統計的に有意に高かった.また,経産婦と比較して,初産婦は産後うつ病の有病割合が統計的有意に高いことが確認された(相対危険度1.76)(図3).
さらに,データの頑健性を検証するために感度分析を行い,特に異質性に着目して分析を行った.その結果,サンプルサイズが最も大きい研究(n=82,489),すなわちエコチル調査15)を除外すると,産後1ヵ月時点でのうつ病の有病割合は14.1%(95%CI 12.8~15.5%,I2=88.1,n=25,942)であることが判明した.エコチル調査のデータの有無によるうつ病有病割合と異質性には有意な差がみられなかった.次に,周産期うつ病の測定ツールに関して感度分析を行った.EPDSは,世界中の女性の周産期うつ病を評価するために最も頻繁に使用されている指標であるため,EPDSの統計データのみで周産期うつ病の有病割合を検討した.その結果,CES-Dのデータを除いた産後1ヵ月の産後うつ病の点有病割合は14.1%であることが判明した.第1三半期における妊娠中のうつ病の期間有病割合は,EPDSを用いて報告されたデータが不足していたため,算出できなかった.第2三半期におけるうつ病の有病割合は11.8%であった.同様に,第3三半期におけるうつ病の期間有病割合は14.9%,産後1ヵ月以内では15.0%,産後1~3ヵ月では11.0%,産後3~6ヵ月では11.8%,産後6~12ヵ月では10.8%であった.CES-Dデータの統計的な影響はほとんどなく,データの頑健性は保たれていた.
われわれの研究結果から,初産婦の産後うつ病の有病割合は,経産婦の有病割合よりも高いことが判明した.この理由の第1として,経産婦は,過去の出産体験を通じて出産・育児のストレスに適応する経験をある程度積んでいるため,ストレス耐性を有していることが挙げられる.第2に,産後うつ病の既往がある女性は,第2子の出産時にうつ病になるリスクが高いことが知られており23),ハイリスクの経産婦は周産期うつ病の心理教育をすでに受けているため,個別の支援体制が構築されている可能性が考えられる.第3に,1人目の出産で周産期うつ病を患い,十分なケアを受けなかった場合,2人目の出産に対するモチベーションが低下する可能性が考えられる.このため,周産期うつ病に罹患する素因のある女性が第2子をあきらめることで,結果的に,第2子以降の妊娠出産に臨む女性の周産期うつ病有病割合が低くなることが考えられる.
DSM-51)によると,産後うつ病の50%は妊娠中に発症していることが知られている.そのため,産後だけでなく,妊娠中の気分障害も注目されている.興味深いことに,妊娠中は出産が近づくにつれてうつ病の有病率が増加し,産後は時間の経過とともに有病率が減少していくことが判明している.われわれの研究結果では,妊娠第3三半期のうつ病有病割合が最も高かった.米国でも同様の傾向がみられ,大規模なコホート研究により,周産期うつ病の有病率は出産直前にピークに達することが報告されている6).妊娠中のうつ病の頻度について,向精神薬の服薬を中断した女性は,薬物療法を維持した女性よりも高かったという報告もあるため4),周産期の女性に薬物療法を行う場合は,特に患者のアドヒアランスを十分に考慮する必要があると思われた.
II.日本人男性の周産期うつ病 有病割合メタアナリシス31)
周産期うつ病は,女性だけでなく男性にも発生する精神疾患として,近年議論されている.これまでに報告された男性の周産期うつ病の有病割合に関する国際的なメタアナリシスでは,文化的背景や社会経済環境が,男性の周産期うつ病に影響を与える可能性が示唆された.しかし,これらのデータが日本人男性に適用できるほど一般的であるかは明らかではなく,日本人男性の周産期うつ病に関する総説はほとんどない.このため,日本人男性における周産期うつ病の有病割合について,信頼できる推定値を算出すべくメタアナリシスを行った31).
女性の周産期うつ病メタアナリシスと同様,PubMedとICHUSHIの2つのデータベースを検索し,日本人男性の周産期うつ病の有病割合に関するデータをもつ研究を特定した.データは,1994年1月から2018年6月に発表された報告書から抽出した.日本人男性における父親周産期うつ病の期間有病割合に加え,周産期うつ病の性差に関するサブグループ分析を行った.
データベースから得られた1,379報の抄録をレビューし,33報の論文の全文を精読した後,最終的に15報の研究を解析対象とした.その結果,男性の産前うつ病の期間有病割合は8.5%であることが判明した.さらに,男性の産後うつ病の期間有病割合は,産後1ヵ月以内が9.7%,産後1~3ヵ月が8.6%,産後3~6ヵ月が13.2%および産後6~12ヵ月が8.2%であった.日本人男性の周産期うつ病の有病割合は,産後3~6ヵ月でピークに達し,全体の有病割合は約10%であった(図4a).次に,周産期うつ病の性差のサブグループ分析を行った.同一論文内で,男女の周産期うつ病の有病割合を比較できる研究を集め,男女の周産期うつ病の相対危険度についてメタアナリシスを行った.その結果,女性は男性よりも産前うつ病の有病割合が有意に高かった(相対危険度=1.79;95%CI 1.66~1.94).しかし,産後うつ病の有病割合には男女間の有意差はなかった(相対危険度=1.16;95%CI 0.71~1.90)(図5).われわれの研究に含まれたうつ状態の評価尺度には,EPDS,CES-D,K6,SDS(Self-rating Depression Scale)が使用されていた.このため,メタアナリシスにこれらの異なる測定値を含めることは,結果の異質性に影響すると推定された2).これまでの報告では,EPDSは女性の周産期うつ病の評価尺度として最も広く用いられているだけでなく,男性の周産期うつ病の評価尺度としても受け入れられていることが示されているため2),EPDSを使用した研究のみを収集し感度分析を行った.感度分析後の男性の周産期うつ病の有病割合は,産前の期間においては9.1%であった.同様に,産後1ヵ月以内の男性のうつ病の期間有病割合は9.5%,産後1~3ヵ月では8.6%,産後3~6ヵ月では12.9%であることが判明した.感度分析の結果,産後6ヵ月から1年までの期間で,EPDSによる評価がなされた男性周産期うつ病の論文はなかった.また,どの期間でもうつ病の有病割合は低・中程度の異質性を示した(図4b).
われわれの行ったメタアナリシスの結果,日本人男性の周産期うつ病有病割合は,産後3~6ヵ月でピークに達し,全体の有病割合は約10%であることが明らかとなったが,これらの値は国際的なメタアナリシスの結果と同様であった.また,産後うつ病の有病割合が,女性同様に男性でも高いことが判明した.このため,特に男性の産後うつ病に注意する必要があることが示唆された.産後うつ病による女性の自殺は社会問題になっているが27),男性も周産期にはうつ病が原因で自殺に追い込まれることがあると報告されている22).周産期における男性は,家庭内での役割変化や社会的責任によるストレスに直面することで,うつ状態を生じるリスクが高まり,結果的に夫婦関係の満足度が低下する可能性があるといわれている8)18).先行研究では,日本の一般人口における大うつ病の有病率は2.9%であると報告されており11),男性の周産期うつ病の有病割合は一般人口におけるうつ病の有病割合よりもかなり高いことが明らかになった.興味深いことに,男性周産期うつ病の有病割合に関する最新の国際的なメタアナリシスでも,有病割合のピークは産後3~6ヵ月であると報告されている2).しかし,なぜその時期に有病割合のピークが発生するのかについては,いまだに明確なコンセンサスが得られていない.
最近の研究において,男性の産後うつ病を発見することは困難であると報告されている10).女性の精神的な問題は母子保健制度(例えば乳幼児健診など)で見出される可能性が高い.一方,男性の周産期うつ病は,医療従事者の間でもあまり認識されておらず,スクリーニングシステムや支援体制が不足している28).また,医療従事者が支援を求めている男性を見落とすことが,男性周産期うつ病の治療の障害となっている可能性も示唆されている3).このため,男性の周産期うつ病に対する医療従事者の態度は,本疾患の治療を行ううえで重要な課題であると思われる.
乳幼児健診など母子保健制度の枠組みにおいて,男性が女性とともに健診に参加することは現状では稀である.したがって,医療従事者が男性周産期うつ病を直接スクリーニングするシステムを作ることは困難である.日本での先行研究では,女性パートナーが男性の周産期うつ病を間接的に評価する試みが実施されているが,K6,K10,PHQ-9を使用した場合,検査の有効性が損なわれる可能性が示唆されている12).このため,男性周産期うつ病のハイリスク群特定のため,新たなスクリーニング評価尺度の選定や,オンラインシステムを活用した支援体制の見直しなどが求められている.
われわれの研究結果と先行する国際的なメタアナリシス2)の類似性から,文化や地域の違いにかかわらず,男性の周産期うつ病は発生する可能性がある.子どもの誕生によって家族関係は変化し,男性は家族に対して経済的・社会的な責任を負うことが強く期待される13)21).このような社会的変化は文化的差異に関係なく起こり,男性に心理的なプレッシャーを与える.したがって,国や文化によって異なる要因よりも,文化の違いに関係なく起こりうる要因のほうが,男性の周産期うつ病に関与している可能性がある.これらの仮説は具体的な知見に裏づけられていないため,今後の研究の指標としてさらに検討が必要である.
III.周産期うつ病の心理的側面
周産期うつ病の治療は,通常のうつ病治療と同様に,まずは非薬物療法が行われるが,抗うつ薬を含む薬物療法が必要となる場合がある.特に,自殺念慮や不安焦燥,精神病症状を伴う場合は,薬物療法が強く勧められるものの,向精神薬の催奇形性や母乳移行の影響を危惧し,治療アドヒアランスが低下する場合が多い.抗うつ薬は,産後うつ病の一般的な治療法であるものの,女性は心理療法を好む傾向があると報告されている20).周産期うつ病の治療と予防のための認知行動療法などの構造化された心理療法だけでなく,一般的な心理教育もまた,周産期うつ病の治療に有効であるとのエビデンスが蓄積されている.他方,うつ病治療中の患者が妊娠中に薬物療法を中止すると,うつ病の再発リスクがハザード比で5.0倍に増加することも明らかとなっている4).このため,患者の状態に応じた柔軟な対応が求められよう.患者の精神状態を評価しつつ,比較的リスクの少ない薬剤に切り替え,有害事象のリスクを過大評価することなく適切に心理教育を行う必要があるだろう.この点で,医療者と患者がともに治療に関与しつつ,両者がエビデンスに基づいた医療情報を共有しながら,ともに希望する治療の実施にむけて合意形成のステップを踏むShared Decision Makingに基づいた,周産期うつ病治療の意思決定支援が有効であると思われる.
周産期うつ病に苦しむ男性もまた,自分の経験について誰かと話したいと思っており,薬物療法よりも個人精神療法や夫婦精神療法を好むと報告されている3).また,理想の父親でありたいと強い育児信念をもち,「こうあるべき」と考える父親ほど,強い不安や悲しみを感じていることも明らかとなっている24).しかし,父親としての役割は理解する一方で,その父親役割認知と自己が一致している男性は半数に満たず,子の乳児期に男性が強い葛藤を抱いていることも知られている14).男性が「父親」になることは,女性が「母親」になるよりも時間がかかる場合が多いことが明らかとなっており29),また個人差もあるため,役割を気負い過ぎて心理的苦痛を感じている男性には,あまり理想を追い求めすぎないよう支持的にサポートする必要がある.他方,現時点では,女性に比べて,男性の周産期うつ病に対する充実した医療支援体制は構築されていない.このため,精神科,産婦人科,小児科および地域の保健師をはじめとした関係者の協力体制が重要となるだろう.日本国政府は,2020年5月29日,今後5年間の少子化施策の指針となる「第4次少子化社会対策大綱」17)を閣議決定した.そのなかで,女性に関しては心理面のサポート体制の必要性が記されている一方,男性については「男性の家事・育児参画の促進」として基本的な考え方が挙げられており,道具的サポートの担い手として家庭にかかわることが強調されている.今後,父親への心理的支援が,母子の精神状態の安定にもつながることが周知され,より効果的な家族単位の周産期メンタルヘルス支援が実施されることに期待したい.
日本では,女性の周産期メンタルヘルス対策に対して,特に地域の保健師や助産師が積極的に取り組んでおり,家庭訪問やハイリスク妊婦へのサポートなども行われている.周産期の母親教室や,乳児健診の場を通して,周産期うつ病の情報提供ならびに,精神疾患のリスクを踏まえた早期介入が行われている.例えば,ひとり親,経済問題,精神疾患の既往などが,周産期の精神問題のリスクであるといわれている.他方,周産期のメンタルヘルス問題に取り組む精神科医は限られており,産婦人科領域と精神科領域の連携は十分とはいえない.このため,多職種連携をより意識した周産期うつ病の予防啓発システムを構築する必要があると考えられる.
おわりに
本稿では,日本の男女における周産期うつ病有病割合メタアナリシスの結果を示しながら,いまだ見過ごされがちな男性の周産期うつ病についても,その心理的側面に注目しながら概説した.男性の周産期メンタルヘルス対策を講じることは,男性だけでなく女性の周産期うつ病や,子どもへの虐待を防止できる可能性が高い.男性は女性に比べて,親であると自覚するのに時間を要する場合が多く,また,自らが思い描く父親像と現実とのギャップに苦痛を感じているという特徴がある.母親たる女性だけでなく,父親たる男性にも心理的援助が必要であることを,家族精神医学の視点から再認識することが求められている.
編 注:本特集は第118回日本精神神経学会学術総会シンポジウムをもとに鈴木利人(順天堂大学医学部附属順天堂越谷病院メンタルクリニック),竹内崇(東京医科歯科大学病院精神科)を代表として企画された.
なお,本論文に関連して開示すべき利益相反はない.
お詫びと訂正
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