Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文全文

第123巻第9号

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総説
自閉症スペクトラム障害と物質使用障害の合併に関する文献展望
田宮 聡1)2), 水馬 裕子1), 加藤 亮1), 長尾 早江子1)
1)呉みどりヶ丘病院
2)姫路市総合福祉通園センター
精神神経学雑誌 123: 555-568, 2021
受理日:2021年6月3日

 従来,精神科医などの精神医療従事者は,自閉症スペクトラム障害(ASD)特性は物質使用リスクに対して保護的に作用し,ASDと物質使用障害(SUD)の合併は少ないと考えてきた.しかし近年ASD概念の変遷に伴ってその多様さが認識され,この考え方が見直されるようになった.すなわち,先述した臨床像に合致しないASD児者も多く,ASD/SUD合併の問題について再考する必要性に迫られている.著者らは,ASD/SUD合併の頻度,ASD児者の物質使用の心理社会的側面,およびその評価と治療に関する文献展望を行った.合併頻度については,児童青年に関する10報と成人に関する14報を展望した結果,ASD/SUD合併は従来考えられていたよりも高い可能性,およびASD特性に由来するSUDリスクは成人期への移行期に高まる可能性が示唆された.その理由の1つは,ASD児者の脆弱性が,成人期への移行期に社会的要請が高まるとともに露呈するからかもしれない.ASD児者は定型発達児者よりストレス耐性が低いため,陰性感情に対する自己治療として,または社会的機能改善手段として物質使用に及ぶことがある.したがって,ASD児者のSUD評価と治療を行う精神医療従事者は,ASD児者の生活における物質使用の役割に注目する必要があり,一部の文献はアルコール使用障害に対しては節酒が現実的な治療目標になる可能性も指摘している.治療にあたっては,集団療法より個人療法に重きをおく,洞察志向的精神療法より支持的/指示的精神療法を用いるなどASD特性を考慮に入れることが重要である.さらに,ASD児者の日常生活の構造化や,社会的,職業的支援も欠かせない.文献の多くは海外のものであり,物質使用に関する制度的相違や国民の考え方の違いを考慮すると,わが国の精神医療関係者は,これらの知見がわが国のASD/SUD児者にどうあてはまるか検討する必要がある.

索引用語:自閉症スペクトラム障害, 物質使用障害, アルコール使用障害, 合併症>

はじめに
 従来,対人コミュニケーションやイマジネーションの障害を特徴とする自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder:ASD)と,物質使用のために生活に支障をきたす物質使用障害(substance use disorder:SUD)との関連が話題になることは少なかった.例えばDSM-53)では,ASDの合併症にSUDの記載はないし,逆に,アルコール使用障害(alcohol use disorder:AUD)をはじめ各種SUDの合併症にもASDの記載はない.一般精神医学57)や児童青年精神医学の成書46)68)でもASD/SUD合併への言及は見あたらない.『Handbook of Autism and Pervasive Developmental Disorders』71)の索引にも「alcohol」「addiction」という見出し語はない.SUD治療に関する海外の成書8)23)にも,ASDについての記述はない.
 一方,2000年代初頭からASD/SUD合併に関する文献が散見されるが,その記載は簡略だった.例えば,2000年刊のアスペルガー障害に関する単行本30)には,同障害をもつ成人が不安に対処するためにアルコールやドラッグを使用することがあるがその頻度は不明である,とのみ記載されている(p.390).また,英国のBerney, T. は,2004年の論文7)で次のように述べた.

 アルコールは,特に複数の相手とのかかわりを苦手とする人にとっては,効果的な安定剤となる.アスペルガー症候群をもつ人の場合,社交的飲酒は窮屈であると感じることがあるので一人で飲む傾向が強まり,通常の社会的慣習の歯止めがかかりにくい.アスペルガー症候群における不適切飲酒のエビデンスは乏しく,系統的な定量的研究は少ない.しかしより重要なのは飲酒頻度ではなく,精神病理の質的な問題である.(著者訳)(p.346)

 アスペルガー症候群について紹介した全11ページの論文中,飲酒についてふれた部分はこれだけである.しかし,これは重要な指摘なので後に取り上げる.
 2008年には,Tinsley, M. らの単行本69)が英国で出版された.これはASDとAUDの関連に注目した最初のまとまった著作であり,当事者の体験談を中心としていて興味深い.Tinsleyらは,「今後の研究に先鞭をつける試み」(p.12)としている.
 さらに2010年前後から,ASD/SUD合併関連の論文が増えた.van Wijngaarden-Cremers, P. J. M. ら70)は両者の知覚特性や社会的感受性について考察し,神経生物学的,進化論的,遺伝的,精神生理学的な共通点を挙げた.さらにRothwell, P. E.55)は,神経生物学的な類似性を論じた.具体的には,線条体や基底核などの神経回路や神経調節システムの関与が共通していること,ASD特性を呈する脆弱X症候群やレット症候群にかかわるFMRPやMECP2はSUDの嗜癖行動にも関与していることなどを指摘した.学術書ではないが,2015年に発刊された当事者Regan, T. のエッセイ52)は,飲酒を巡る内的体験を生々しく記述していて興味深い.並行して,以下に紹介する多くの論文が発表され,2018年には現時点での総まとめといえる単行本37)が米国で出版された.そして,『JAMA Pediatrics』最新号(本論執筆時点)では,『Autism spectrum disorder and the risk of substance use disorder:a call for targeted screening and prevention in adolescents』と題する論説4)が掲載されるに至っている.
 著者らが所属する呉みどりヶ丘病院はアルコール依存症専門病院だが,近年発達障害診療にも力を入れており,ASD/SUD合併例に出会うことがある.本論では以上を踏まえ,文献を展望する.ただし,「autism」「addiction」などのキーワードで検索した文献とその引用文献が中心であり,系統的展望ではない.また,英語か日本語の文献に限られる.海外文献が中心となるが,アルコール以外のSUD有病率が相対的に低いわが国の現状を踏まえ,特にAUDに注目する.

I.ASD/AUD合併頻度
 フランスのLalanne, L. ら38)は高機能自閉症成人2例を報告し,SUD患者中に一定数存在するASD者を同定することの重要性を説いた.ASDとSUDはどれくらいの頻度で合併するのだろうか.従来ASD/SUD合併が少ないとされてきた理由は,例えば以下のようなことであった.
 ・ASD児者は規則遵守傾向があり37),違法薬物使用や過剰飲酒をしない.
 ・ASD児者は,その感覚特性ゆえに飲酒や薬物使用の感覚に耐えられない37)
 ・ASD児者は対人関係で孤立傾向があり,違法薬物使用や飲酒を促す周囲の圧力を受けない6).飲酒を伴う社交の場にも参加しない.
 ・ASD児者は対人スキルが未熟であり,違法薬物入手のための駆け引きはできない33)
 しかしASD概念の変遷に伴ってASD児者の多様さが認識され,従来のASD像が見直されている.例えば対人スキルの未熟さゆえに他者に迎合するASD児者は,圧力を受けやすくなる3)21).また,オランダのSizoo, B. B. ら62)は,SUDを合併するASD者は対人スキルが相対的に良好で違法薬物入手も困難ではないとした.このようにASDとSUDの関連は複雑多様で,河本ら31)はASD特性がSUDに関して促進的か予防的か断定できないとした.さらに近年,医療,教育,福祉の現場においてASD支援に力が注がれるようになってインクルージョンやインテグレーションが進み,多くのASD児者が定型発達児者とともに学校生活や社会生活を送っている.その結果,対人スキルが不十分なASD児者がリスクにさらされることになり,当然SUDリスクにもさらされることが報告されている37).特に児童青年期から成人期への移行期は支援のギャップが生じ,深刻なリスクが潜んでいる72).こういう事情を背景にASD/SUD合併頻度に関する報告が増えており,展望も数報発表されている.
 ノルウェーのArnevik, E. A. ら5)は18報を展望し,ASD児者はSUD合併頻度が定型発達児者より低い傾向はあるが統計的有意差はないとした.また,知的能力が比較的高い場合に合併頻度が高まるかもしれないと述べた.
 ASDの合併症全般に関する研究を展望した米国のRosen, T. E. ら54)は,SUD合併についても言及した.ASD児者のSUD合併率は一般集団と比較するとリスクが高いが,他の精神疾患患者のSUD合併率より低いとした.また,ASDの合併症を検討する際には注意欠如・多動性障害(attention-deficit/hyperactivity disorder:ADHD)合併に留意する必要があると指摘した.
 スペインのLugo-Marín, J. ら41)は成人ASD者の合併症に関する文献の展望とメタ解析を行い,SUDについては16報を検討した.SUD合併率は8.3%で,ASDの合併症としては摂食障害と並んで低率であった.使用物質の最多はアルコールで大麻がこれに次ぎ,他の物質使用は少なかった.しかしこの展望には,自殺関連問題を抱えるASD成人50)など,少数の特殊なサンプルが対象の研究が複数含まれており,結果の解釈には注意を要する.
 カナダのRessel, M. ら53)はASDと物質使用に関する26報の文献を質的に評価して1.3~36%のSUD合併率を報告し,従来考えられていたより高率であるとした.使用薬物は,タバコ,アルコール,大麻の順に頻度が高かった.また,知的障害(intellectual disability:ID)を伴う場合にAUD合併率が低いとした.
 諸報告を概観すると,ASD/SUD合併率に影響する要因としてIDやADHDの合併が挙げられ16),年齢により合併率が変わるという報告もある.本論では,児童青年期と成人期に分けて合併症の有無にも着目し,上記展望4報以降の研究も含めて紹介する.対象サンプルが異なる研究は同列に論じられないため,一般集団を対象とする疫学的研究と医療機関受診者を対象とする臨床的研究に分けて,おおむね発表順に紹介する().触法ASD児者を対象とする報告12)17)65)66)もあるが,特殊な集団なので今回は取り上げない.

1.児童青年期
 疫学的研究を6報紹介する.米国のBrookman-Frazee, L. ら9)は,5つのシステム(精神保健,特別支援教育,児童福祉,少年法,物質使用)で支援を受けている児童青年の割合を検討し,ASD 42例とID 178例を含む1,603例(6~19歳)について報告した.物質使用関連施設で支援を受けているASD/ID児はわずか1.3%であり,非ASD/ID児の3.8%より低かった(オッズ比0.5).ただし,ASDとIDは別々に検討されていない.
 デンマークのAbdallah, M. W. ら1)は,ASD児414例(平均16.28歳)の合併精神疾患を検討した.ASD群のアルコール関連障害合併率は0.7%(3例)で非ASD対照群の1.3%より低かったが,有意差はなかった.ID合併は影響がなかった.
 米国のMulligan, R. C. ら47)が研究対象としたのは,子どもが4人以上の家庭に育った,自閉症やIDのない青年2,937例(13~17歳)であった.ASD特性が高レベルであってもADHD合併がなければアルコール使用率が高まることはなかった(オッズ比1.06)が,ADHD合併があるとオッズ比が2.44となり有意に高まった.一方,アルコールとタバコ以外の物質使用に関しては,ADHD合併の有無にかかわらずASD特性との有意な関連がみられた.以上よりMulliganらは,「特にADHDと合併している場合,軽度から中等度のASD特性をもつ青年の物質使用リスクを低く見積もってはならない」とした.
 Kerns, C. M. ら27)は,3~17歳の子どもの保護者に対する米国での調査に基づいて,ASD児1,131例(16.8%がID合併)の精神健康を検討した.6~17歳のみに関して物質乱用を検討すると0.01%に乱用歴が認められ,非ASD対照群の0.2%より有意に低かった.しかし抑うつや素行の問題は非ASD対照群より高率であり,ASD児は後になって物質乱用リスクが高まる可能性を指摘した.
 同様に,青年と若年成人の危険飲酒を検討したスウェーデンのKaltenegger, H. C. ら26)も,年齢との関連を指摘した.この報告で検討されたのは15歳,18歳,24歳時に縦断的研究の対象となった双生児であった.ASD児者のうち有害/危険飲酒を認める割合は,15歳時は3.60%,18歳時は9.20%,24歳時は13.25%で,どの年齢においても非ASD対照群より低かったものの,年齢とともに割合が高くなっていた.以上よりKalteneggerらは,「ASD児者は飲酒する割合が最初は低いが,年齢とともに問題飲酒のリスクが高まる」とした.なお,ADHDや学習障害合併があるとより高まる傾向があった.
 Huang, J. S. らの報告20)は,台湾のASD児6,599例(平均11.9歳)を対象とした.SUD,AUD,薬物使用障害のハザード比はそれぞれ2.33,2.07,3.00で,いずれも非ASD対照群より有意に高かった.また,ID,ADHD,不安障害が合併する場合にAUD合併率が特に高まるとした.さらに,SUDを合併するASD児の死亡率は,非SUD/非ASD児より有意に高かった(ハザード比3.17).以上より,ASD児はSUD発症に注意が必要であると結論された.
 臨床的研究は4報挙げる.米国のMandell, D. S. ら43)は,精神医療を受けているASD児124例の特徴を検討した.内訳は,自閉性障害児48例(平均7.9歳),アスペルガー障害児76例(平均8.6歳)であった.物質乱用を受診理由としたASD児はなかった.ASD児の物質使用率は自閉性障害児6.3%,アスペルガー障害児2.7%で,ASD全体として他診断児の使用率(21.3%)より有意に低かった(オッズ比0.18).
 英国のSantosh, P. J. らの報告58)は,ASD(原論文では広汎性発達障害)をもつ青年97例(平均14.27歳)を対象とした.うち38例(39.2%)はIDを合併していた.ASD青年の物質使用率は3.1%(3例)で,他精神疾患対照群の16.7%より有意に低かった.3例ともID合併はなく,ID非合併59例のみで検討した場合,物質使用率は5.1%であった.以上よりSantoshらは,IDのみではASD群と他精神疾患対照群の物質使用率の差は説明されないとした.なお,3例ともADHDを合併していた.
 米国のJoshi, G. ら24)は,精神科を受診したASD児217例(3~17歳,平均9.7歳)の合併精神疾患を検討した.SUDは1例で,非ASD対照群より有意に少なかった.ASD児のADHD合併率は83%であった.対象児の知的能力は客観的に評価されていなかった.
 Mangerud, W. L. ら45)の報告では,ノルウェーで精神科治療を受けている青年(平均15.68歳)を対象として物質使用が検討された.「認知機能」が低い症例は除外された.ASD 39例中飲酒歴があるのは3例(7.7%)で,検討対象となった精神疾患中最低であった.喫煙歴や薬物使用歴のあるASD青年はいなかった.

2.成人期
 疫学的研究を5報紹介する.スウェーデンのLundström, S. ら42)の双生児研究では小児と成人を対象にASD特性と精神的問題の関連が検討され,物質乱用については成人18,349例のみが対象とされた.その結果,ASD者では物質乱用合併のオッズ比(5.7)が高いとされた.ただし,ID合併が厳密に統制されていない.
 De Alwis, D. らの報告11)は,3,080例(27~40歳)を対象として物質使用を検討したオーストラリアの研究である.ASD特性が高いと酩酊するまで飲酒する率が低下する一方,アルコール依存症発症率は高かった.ADHD症状に関しては酩酊するまで飲酒する率との相関は認めなかったが,アルコール依存症発症率との間には正の相関を認めた.
 スウェーデンのButwicka, A. ら10)はASD者26,986例の物質使用を検討し,ASDはSUDの危険因子となりうるとした.具体的には,3.6%にSUDを認め,非ASD対照群の0.8%より有意に高かった.AUDもASD群の2.1%に認め,非ASD対照群の0.6%より有意に高かった.ID合併によりSUD発症が増すことはなく,ADHD合併は物質使用に影響しなかった.
 カナダのWeiss, J. A. ら72)は,若年ASD成人(18~24歳)5,095例の健康状態を他の発達障害群および非発達障害群と比較検討した.その結果,ASD群のSUD合併率は他の発達障害群より低かった(オッズ比0.74)が,非発達障害群より高かった(同1.58).このことより,児童青年期から成人期への移行期の支援ギャップに注意するよう訴えた.
 高齢者に焦点をあてたのが,スウェーデンのNylander, L. ら48)である.この報告では,55~96歳のASD者601例の合併精神疾患やサービス利用状況を検討した.ID合併は57%,ADHD合併は4%であった.具体的な数値の記載はないが,SUD合併は数%で合併精神疾患としては少数であり,ID非合併例が多かった.物質依存症専門医療機関の受診回数は117回(8%)で,全例アスペルガー症候群であった.
 臨床的研究は9報挙げる.オランダのKetelaars, C. ら28)は,IDを伴わない「軽度ASD」と診断された成人15例(18~24.5歳)の合併精神疾患を検討した.個別の診断は,特定不能の広汎性発達障害10例,アスペルガー障害4例,高機能自閉症1例であった.物質乱用に関しては非ASD対照群との間に有意差を認めなかった.この研究は少数の「軽度ASD」例を対象としたパイロット研究であり,結果を一般化することは難しい.
 Hofvander, B. ら19)は,IDのないASD児者122例(平均29歳)をフランスとスウェーデンでリクルートし,精神疾患合併率を検討した.その結果,19例(16%)にSUDを認め,SUDがASD児者に多くみられるわけではないとした.使用物質はアルコールが15例と最多で,大麻4例がこれに次いだ.ADHD合併は52例(43%)であった.4例に反社会性パーソナリティ障害を合併していた.
 ID合併のないASD者70例(平均34歳)を対象としたSizooらの研究63)では,ギャンブル依存症を含むSUD合併率がADHD成人53例と比較された.ASD/SUD合併率は30%でADHD成人の58%より有意に低かったが,他の精神疾患のSUD合併率と差はなかった.AUDに絞ると,ASD(14%)とADHD(13%)は同等であった.以上よりSizooらは,ASDはSUD発症リスクをはらんでいると結論した.
 スウェーデンのLugnegård, T. ら40)は,アスペルガー障害をもつ若年成人54例(平均27歳)の精神疾患合併率を検討した.ID合併例はなかった.物質依存症合併率は11%(アルコール4例,薬物4例)で,他精神疾患の合併率より低かった.著者らは,この結果はADHD合併で説明される部分が大きいとした.
 米国のMandellら44)は,州立精神病院に長期収容(平均17.6年)されている患者を調査した.入院患者141例(平均52.0歳)中14例(9.9%)に自閉症を認め,うち9例(64.3%)にIDが合併していた.物質使用または物質乱用歴をASD群中5例(35.7%)に認め,非ASD対照群の78.7%より有意に少なかった.
 オランダのvan Wijngaarden-Cremersら70)は,SUD成人118例中にASD合併を8例(6.7%)認めたとし,ASD合併率は一般集団の1%より高いとした.AUD 4例を含む8例中,ID合併はなかった.
 ドイツのRoy, M. ら56)は,IDのないアスペルガー障害成人50例(20~62歳)の合併精神疾患を検討した.アルコール乱用を5例(10%),アルコール依存症を4例(8%)に認めた.アルコール乱用/依存症は男性に多く,アルコール依存症は全例40歳以上であった.この報告によると一般ドイツ人のアルコール依存症有病率は6.3%で,著者らは「アルコールの乱用と依存症は,成人アスペルガー障害者において要注意である」とした.なお,大麻乱用を6例(12%)に認めたが,アルコール以外の薬物依存は認められなかった.
 米国のFortuna, R. J. ら13)は,ASD者255例(18~71歳)の健康状態と機能レベルを検討した.Fortunaらは,ほぼ毎日4ドリンク以上の飲酒を不適切飲酒と定義した.知能指数が判明しているのは141例(55.3%)で,うち128例がIDを合併していた.この報告の特徴は,諸変数を年齢層別に検討した点である.ADHD合併率は年齢層によって異なり,18~29歳で27.6%,30~39歳で9.0%,40歳以上で2.8%であった.しかし,喫煙率と不適切飲酒率はすべての年齢層で一般集団より有意に低かった.
 オランダのLever, A. G. ら39)は,IDを伴わないASD者172例の合併精神疾患を年齢層別に検討した.ASD者と一般集団のSUD合併率はそれぞれ,若年層(19~38歳)で19.6%と33.3%,中年層(39~54歳)で10.6%と19.6%,老年層(55~79歳)で17.8%と21.9%,全年齢層で15.9%と25.3%で,全体的にASD者のSUD合併率が有意に低かった.ただし,本報告の一般集団対照群のSUD合併率は先行研究のそれより高かった.

3.合併頻度のまとめ
 以上を概観するとわかるように,ASD/AUD合併は多いのか少ないのかという単純な問題ではない.両者の関連には,年齢や知的水準,他の合併症などの要素が複雑に絡み合っている.傾向としては,ASDにおけるSUD合併率は,ADHD合併で高くなり,ID合併で低くなるようである.ADHDとSUDの合併が多いことはよく知られており,ASD児者もADHD合併によりSUD有病率が高まることは驚くにあたらない.しかし今回展望した文献のなかで,ADHDを含む合併症を統制した報告でASD児者の高いSUD有病率を報告しているもの10)20)もあり,ASD児者にみられるSUDはADHDなどの合併症のみで説明されるものではないと著者らは考える.
 また,児童青年期より成人期のほうが,SUD合併が高いとする報告が多い.1つの理由として,以下のようなことが考えられる.ASD児は従来いわれている通り,規則遵守傾向のためにアルコールや薬物の経験が定型発達児より少ないのかもしれない.しかし成年年齢に達すると,特に合法であるアルコールに関しては,何らかの理由で使用率や使用障害発症率が高くなるのではないか.やはり成人期への移行期が転換点となるのであろう72)
 したがって合併頻度だけに着目するのではなく,ASD児者のSUDリスクは何かということが重要になる.先に紹介したBerney7)が「より重要なのは飲酒頻度ではなく,精神病理の質的な問題である」と指摘したのはこの点である.次セクションでは,ASD児者にとって飲酒がもつ意味についての文献を展望する.ここからは,先述したわが国の現状に鑑み,飲酒とAUDを中心に論を進める.

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II.ASD児者の飲酒に関する心理社会的要因
1.ASD児者の飲酒の心理
 ASD児者が飲酒する場合,ASD特性との関連はあるだろうか.対人スキルが低いASD児者は不安が高まりやすく,不安障害合併率が高い39)54).先述のごとく,Berney7)はASD児者にとってアルコールが不安対処のための安定剤となりうると指摘したが,具体的なデータは示されていない.
 実証的なデータが報告されるようになったのは,その後である.Tinsley69)は自身の体験をもとに,ASD者が対人緊張の緩和手段として飲酒することを詳細に記載した.そして,アスペルガー症候群者が「飲酒する理由は,多くの問題飲酒者やアルコール依存症者が飲酒する理由と同じだが,その必要性の度合いが異なる」(p.21)と述べた.オランダのKronenberg, L. M. ら34)は,ASD/SUD合併成人31例(知能指数80以上)を検討して飲酒がASD児者の対人交流を促進することを報告し,他の報告70)も同様の指摘をした.Lalanne, L. ら38)が報告した2例はいずれも,予期しないこと,感覚負荷,対人場面などで生じる不安に対処し,対人スキルを向上させるために飲酒をしていたと述べた.また,ロシアのJargin, S. V.22)は,おそらく自身の体験であると思われる症例を報告し,ASD者が飲酒によってコミュニケーションの困難さを克服しようとする様を描いた.米国のAbello, L. S.2)は文献のメタ解析を行い,ASD児者は対人スキルを高めるために飲酒するとした.Helverschou, S. B. らの研究18)でASD/SUD患者4例が挙げた物質使用の理由は,不安を軽減し対人スキルや集中力を高めるため,対人交流を可能にするため,問題を忘れるため,気持ちを落ち着けるためなどであった.先に紹介したRegan52)は,13歳で初めて飲酒したときの体験を次のように綴っている.

 わたしの頭のなかの歯車は錆びついてギシギシ軋んでいたけれど,このほろ苦い魔法の液体によって,油を注されたかのようだったわ.何もかもがスムーズになったの.何もかもが静かになったの.世のなかのものすべてが現実味を帯びて,何でもできそうな気がしてきたの.しらふのときには感覚が研ぎ澄まされすぎて,ちょっとしたことで壊れそうなくらい脆くて触れることができなかったこの世界が,ちょっと変わったのよ.(著者訳)(p.13)

 このように,ASD児者にとってのアルコールは,いわゆる自己治療となっていることが少なくない18)21)37).そのため,逆に,飲酒しているASD者の振る舞いは「普通」に近くなり,ASD者のSUDは気づかれにくいことをLalanneら38)が指摘した.Tinsleyら69)も,アルコールは「正常」になるための手段であると述べた.
 またResselら53)は,Brown, S. A. の「予期仮説」を紹介している.これは,「物質使用に対して個々人が抱く特定の期待が満たされることにより,使用の増加や持続につながる」(p.914)とするものである.つまり,自己治療としての実際の効果を別にしても,物質の効用を期待する心理的要因が働き,物質使用が強化されるという.ASD児者の飲酒にこの心理が関与している可能性もある.
 学術文献ではないが,当事者のガーランド,G.15)は,別の物質使用理由を次のように述べた.

 いろいろ苦手なことをごまかすのにも,ハシシは恰好の口実になってくれた.(中略)「あれを吸ったから,こうなった」―実に明快ではないか.(p.178-179)

 つまり,自身の弱点の理由づけのための大麻使用である.自己治療とは異なる意味で,自身がもつ特性と折り合う手段になっている.これは当然,飲酒にもあてはまろう.
 性格傾向に関する研究を1報紹介する.スペインのRamos, M. ら51)は,知的問題のないアスペルガー障害青年26例について薬物使用リスクと性格傾向の相関を検討し,内向的,自己抑制的,陰鬱的な性格,およびボーダーライン傾向は物質使用リスクになりうるとした.

2.ASD児者の飲酒の感覚
 King, A. ら29)はAUDの「刺激-鋭敏化仮説」を紹介しており,ASDの感覚特性との関係にも目を向ける必要があると論じている.この仮説によると,AUD者の飲酒継続理由は慢性飲酒で生じる耐性のためではなく,飲酒の主観的体感が継時的に変化してアルコールをより求めるようになる.独特の感覚特性をもつASD児者では,その感覚がAUD発症にかかわっているかもしれない.
 河本ら31)は,「自閉症型自己」においては「アルコールの薬理作用による酩酊感覚それ自体が飲酒行動の主動因になる」とした.そして,「異常酩酊の出現が多く,爆発的な逸脱行動にも至りやすい傾向がある」と指摘した.

3.ASD児者の飲酒の社会的要因
 ASD児者の飲酒の社会的要因を検討した報告は少ないが,今後検討を要する話題であるため,諸文献のなかで社会的要因についてふれている記述を紹介する.
 小児期にASDの診断を受けている場合,その生活環境に保護者の関与が大きく影響する.縦断的双生児研究のデータを分析したKalteneggerら26)は,「ASD児の保護者には主観的ならびに客観的な保護監督責任が重くのしかかっており,これには,注意深い育児と見守りが含まれる」と指摘した.そして,12~18歳の広汎性発達障害青年を検討したSantoshら58)は,保護者の監督が不十分である場合に物質使用率が高い(オッズ比1.44)とした.
 年齢を問わず,対人関係も無視できない社会的要因となる.Ramosらの報告51)は,この点について示唆している.本報告の対象となったアスペルガー症候群の青年26例は,友人達は物質使用に関して否定的な考えをもっていて薬物使用に手を染めることは少ないと感じていた.また,物質使用の場に近づかないなど危険な行動を控えるよう心がけていた.これらはいずれも,薬物使用に対して保護的な要因であった.その一方,家族関係,学校生活,余暇活動などに関しては困難を感じることが多く,これらは薬物使用リスクを高める要因と考えられた.

4.心理社会的要因のまとめ
 ASD児者が飲酒する目的は対人場面での不安緊張や感覚的負荷を緩和するためであり,ASD特性と密接に関連している.それは,社会生活に伴うストレス対処法としての自己治療と考えられる.もちろん定型発達児者も同様のストレスは経験するが,ASD児者にとってはより耐え難い37).そのため,ASDの諸特性は社会的要請が高まる青年期に顕在化することがあり7),物質使用リスクも青年期から成人期への移行期に高まる56)
 ここでも,ADHD合併の問題にふれておく.ASD/SUD者とADHD/SUD者のパーソナリティを検討したSizooら61)は,両者の気質が異なることを指摘した.すなわち,前者は報酬依存傾向が低く危害回避傾向が高い一方,後者は新奇探索傾向が高かった.この違いが物質使用に影響を及ぼすことは十分ありうる.Kronenbergらは,物質使用の結果32)やコーピングスタイル34)について両者の違いを指摘した.例えば,ADHD者の物質使用は多動を改善しうる一方,ASD者の物質使用はとりとめのない思考や感情を抑制する,リラックスして過ごせる,退屈しのぎになるという.このように,質的側面に関しても,ASD児者の物質使用はADHD合併のみで説明できるものではないだろう.
 そう考えれば,ASD特性自体がAUDのリスク要因になりうることは否定できない.これは,ASD/AUD合併児者の評価や治療を考える際に欠かせない視点である.

III.ASD/AUD合併例の評価と治療
1.評 価
 ASD/AUD合併例の評価について検討した文献も少ないため,諸報告の考察で指摘されていることを紹介する.
 まず,ASD診断の重要性にふれたい.2つの報告35)38)で,SUD治療中にASD特性に初めて気づかれる症例があることが指摘されている.Lalanneら38)が報告した症例はSUD治療開始後にASDを診断され,ASD特性に沿って治療方針が見直された結果,SUD治療を継続しつつ節酒を維持できた.当然,ASD特性の認識がなければその支援もできない.Resselら53)は,ASD診断の遅れがSUDリスクになることを指摘した.SUD児者支援においてASDの可能性を常に念頭におくことは,いくら強調してもしすぎることはない67)69)
 逆に,ASD診療でSUDに留意する必要もある.特に青年や成人の診療においては,SUDスクリーニングを行うべきであろう37).ただしResselら53)によると,ASD例に特化した物質乱用評価法やスクリーニング法はなく,今後の課題である.Fortunaら13)は,ASD児者を診療する医療関係者が物質使用について質問しない傾向があるとした.コミュニケーションに難のあるASD児者の診療では,物質使用について医療関係者が明確に尋ねる必要がある21).また,本論冒頭で述べたようなASDに関する先入観も評価を困難にする要因となるため注意が必要である13)
 先述のごとく,ADHDやIDの合併はSUDと関連するので特に慎重に評価する必要があるが,ASDやSUDと合併するADHDやIDの評価には特殊な困難さが伴う37).例えばSizooら62)は,SUDを合併するASD者とADHD者を自閉症スペクトラム指数(Autism-Spectrum Quotient:AQ)によって鑑別することは困難であると報告した.この報告では,SUD合併ASD者の対人スキルがSUD非合併ASD者の対人スキルより優位であった.このことからSizooらは,「SUDを合併する場合,臨床家は注意する必要がある.この場合,ASD者のAQが対人スキルの得点によって低くなる可能性がある」(p.1,295)と述べた.

2.治療目標
 従来のAUD治療では断酒が原則であった.しかし,最近この傾向が変化しつつある.一般米国人の飲酒動向を調査した報告60)は,近年飲酒率が増加傾向にあるとし,問題飲酒を取り扱う臨床においても「断酒に至らない減酒」によって「身体的,心理社会的,情緒的改善が達成可能である」ことを指摘した.わが国でも「飲酒量低減薬」であるナルメフェンが2019年に承認・販売された.ASD/AUD合併例の治療目標は,どのように設定するべきだろうか.
 文献上も,先述したASD心性を考慮して,従来のAUD治療とは異なる目標設定が提案されている.Kronenbergら34)は,「飲酒は対人交流の助けとなるため,SUD/ASD合併患者は断酒でなく飲酒量低減を希望する」と述べた.そのうえで,Slade, M. ら64)のパーソナルリカバリーの考え方を援用し,ASDをもつAUD患者の治療ゴールとして,節酒を推奨した35).パーソナルリカバリーとは,クリニカルリカバリー,つまり疾患の症状改善をめざす従来の考え方に対し,患者自身の主観的治療目標を重視する考え方である.この考え方に立脚すると,断酒が唯一の治療目標ではなくなる.「自分流」に固執するASD者にとっては,断酒を強制されるよりも自分なりの節酒術を見つけるほうが受け入れやすいという指摘もある18)37).さらに,完全断酒したASD者は社会機能の低下を感じるという報告35)もある.このように,節酒も現実的な治療目標となると提唱されている.

3.治療技法
 従来のAUD治療は,ASD児者には不向きな面がある5)18)21).例えば,AA(Alcoholics Anonymous)や断酒会などの集団療法が重要視されてきた.しかし,対人スキルの障害のために社交場面を苦手とするASD児者にとって集団の場は居心地が悪い5)21)31)70).さらにAAは宗教的思想が基盤にあって「神」との関係が取り上げられるが,抽象的観念はASD児者には理解し難い37)69).断酒会でこれに相当するのは「先輩断酒者」との関係だが,これも他者と情緒的つながりを感じにくいASD児者は戸惑うかもしれない.以上を考慮すると,ASDを合併するAUD治療においては個人療法に重点をおいたほうがよいのではないか.
 また,抽象概念の理解が困難なASD特性により,未経験の状況を想定することが難しい.「飲み続けると命にかかわる」などの助言が功を奏さないのはそのためでもある69).したがって,洞察志向的精神療法よりもより具体的かつ指示的な精神療法のほうが有効と思われる18)35).行動療法では,より直接的かつ有形な強化子が有用であろう21).ASD児者は常識的知識を欠くことがあるので,薬物使用の違法性についても改めて確認する必要がある21)
 数は少ないが,さまざまな治療法を試みた報告もある.Helverschouら18)は認知行動療法によるASD/SUD者治療を4例報告した.すべて男性で,知能指数は70以上であった.2例が断酒・断薬に至り,1例は使用低減を維持したが,1例は飲酒を継続した.Kalteneggerら25)は,臨床診断閾下のASD特性と境界性パーソナリティ障害をもつSUD患者の治療法として,メンタライゼーションを用いた.この研究では,ASD特性が顕著であるほど治療後の飲酒日数が有意に多かった.
 どの治療技法を用いるにしても,不安軽減のために飲酒するASD児者に対しては,不安への対処が必要となる69).また,社会活動参加の機会とそのために必要な行動パターンの学習も重要である32)
 ASD/AUD合併例では,AUD治療だけでは不十分である35).ASD特性のために社会適応が困難なことが多いので,生活支援や就労支援も視野に入れる必要がある.Kronenbergら32)は,ASD(12例)またはADHD(11例)を合併するSUD成人の面談調査に基づいて,物質使用は日常の困難さを短期的に改善するものの,長期的には深刻な問題に発展する悪循環に陥るとした.Resselら53)も,ASD児者の物質使用またはSUD合併リスクとして社会的支援不足やASD診断の遅れなどを挙げて「物質使用によって生活構造がさらに破綻し,安定した生活を送ることが一層困難になるという悪循環が生じる」(p.914)と述べ,他の報告18)も同様の指摘をした.
 SUD予防のためには,物質使用に関する早期教育とともに,青年期から成人期への移行期の支援が重要となる72).Kunreuther, E. ら37)は,大学進学後の支援の必要性を強調した.ASD支援で重要視される切れ目ない支援は,SUD支援にもなると考えられる.

4.予 後
 Tabata, K. ら67)は3例を提示し,強いこだわりや強迫傾向をもつASD者の場合,治療によって断酒を維持しやすいと報告した.河本ら31)も,ASD特性としての過剰選択性ゆえに「回復プロセス」や「断酒者像」を知的レベルで取り込むことが断酒の原動力となるとした(過剰選択性とは,時に「シングルフォーカス」と呼ばれる意識的な注意集中を指す).
 IDのないASD成人75例を検討したSizooら61)は,SUD合併ASD者はSUD非合併ASD者より社会機能が高いと報告し,「二重診断者の逆説」49)と関連づけて考察した.この概念はSUDと統合失調症の関連について提唱されたものであり,SUD合併統合失調症患者は,SUD非合併統合失調症患者と比較した場合,行動障害はより重度であるのに社会能力は高いというものである.ASDにもこれがあてはまるなら,断酒後も比較的高い社会能力のために断酒を維持しやすいかもしれない.しかし,これはあくまでSUD非合併ASD者と比較した場合のことであり,ASD特性に伴う社会生活の困難さを支援する必要性には変わりない.

5.評価と治療のまとめ
 AUDの従来の治療的枠組みだけではASD/AUD児者治療は不十分である.集団療法より個人的アプローチを重視する,断酒でなく節酒を目標にするなど,ASD特性に由来する「精神病理の質的な問題」7)を考慮して治療計画を練る必要性が主張されている.さらには,SUD治療のみならず,生活支援,就労支援といった生活全般の支援も忘れてはならない.そのために,ASD特性の理解がSUD治療者に求められる18)

IV.全体の考察
 本論で紹介した文献は著者らが同定・入手しえたものに限られており,系統的な展望ではない.そのため文献選択に偏りがある可能性は否定できない.
 それらを概観すると,ASDとSUDの合併率に関する報告に比べて,ASD児者の物質使用心理やAUD治療に関する報告は少ない印象である.そして,合併率に関する研究も,その手法や対象はまちまちである.さらに,通常の飲酒や障害レベルに至らない物質使用についての調査もあればSUDについての調査もあり,これらは厳密には区別されるべきである.加えて,アルコール以外の薬物使用(障害)を薬物種別に検討した報告はごく少ない.ASD/SUD合併の問題は,今後の深まりが期待される分野である.
 総括として,ASD/SUD合併患者は,その治療や支援にあたってASD特性を考慮することが重要である.児童青年期より成人期においてSUD合併率が高いとすれば,それは,違法薬物使用や未成年の飲酒が法令で禁止されているため,ASD特性の規則遵守傾向が保護的に作用しているのかもしれない.一方,アルコールに関しては,成人年齢到達後の飲酒は合法となり,社会生活で経験する対人緊張の緩和のために飲酒に頼り,他の対処スキルが乏しいために飲酒から抜け出せなくなるという筋書きが考えられる.そこで,断酒でなく節酒をめざすことによって社交場面での不安緊張を緩和し,社会生活が円滑に運ぶ可能性が指摘されている.
 ただし,AUDが本来飲酒をコントロールできない疾患であることを考えれば,節酒に関しては慎重に判断する必要がある.最近発刊されたわが国の『新アルコール・薬物使用障害の診断治療ガイドライン』59)でも,治療目標は断酒が原則であると明言されている.適切な治療目標は個々のケースの重症度によって設定されるべきであり,ASD/AUD児者に一律に節酒を勧めるべきではないと著者らは考える.ASDについて精神分析的に考察した福本14)は,「現実には,AS(自閉スペクトラム)構造のみからなる人はおらず,通常の神経症的葛藤やパーソナリティ機能を備えた構造の部分も有して」おり,「『偽りの自己』として通常は機能していて不適応時に代償不全を起こす」ことがあると述べている(p.901).飲酒は,この「偽りの自己」を支えるにすぎないともいえる.いずれにしろ,ASD心性を考慮に入れて治療計画を設定することの重要性を,改めて強調したい.

おわりに
 ここで紹介した諸報告以外にも,ASD/SUD合併例の自覚的ニーズやQOLを調査した報告33),家族の負担を検討した報告36)もある.本論で紹介した諸報告を概観すればわかるように欧米の報告が多く,その知見が他地域でも通用するとは限らない.特に飲酒習慣や違法薬物を取り巻く状況には地域差もあるため,わが国独自の取り組みが必要である.世界的に注目されているこの問題について,関心が寄せられることを期待する.

 なお,本論文に関連して開示すべき利益相反はない.

 追記:本論文受理後に,下記の論文が発表された.本論文と密接に関連する内容なので紹介したい.
 Weir, E., Allison, C., Baron-Cohen, S.: Understanding the substance use of autistic adolescents and adults: a mixed-methods approach. Lancet Psychiatry, 8 (8); 673-685, 2021

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