Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文全文

第122巻第5号

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原著
小児期逆境体験が物質使用障害の重症度に及ぼす影響―不信感,被拒絶感,ストレス対処力の低下を媒介としたモデル検討―
板橋 登子, 小林 桜児, 黒澤 文貴, 福生 泰久, 吉松 尚彦, 西村 康平, 岩井 一正
神奈川県立精神医療センター
精神神経学雑誌 122: 357-369, 2020
受理日:2020年1月20日

 【目的】物質使用障害の成因論や治療論について,心理社会的な観点の1つに,生育歴上の生きづらさから他者への信頼感が障害されることで物質乱用に至るという「信頼障害仮説」がある.本研究では信頼障害仮説をもとに,「小児期逆境体験が対人不信感および被拒絶感を強め,世のなかの一貫性安定性を信じ他者を頼ってストレスに対処する力が低下し,物質使用障害が重症化する」というモデルを設定し検証を試みた.【方法】2015(平成27)年5月から2016(平成28)年11月に神奈川県立精神医療センター依存症外来を初診した患者のうち,研究同意を得られた者に自記式質問紙調査を実施した.不備なく回答し,主診断名が物質使用障害であった437名を分析対象とした.小児期逆境体験の累積度数を外生変数,信頼感尺度の「不信」,被拒絶感尺度,ストレス対処力を測定する首尾一貫感覚(SOC)尺度,アルコール使用障害もしくは薬物使用障害重症度をそれぞれ内生変数とし,仮説モデルについて共分散構造分析による検証を行った.【結果】アルコール群,薬物群ともに,小児期逆境累積度数は重症度・不信・被拒絶感の増加に,不信が被拒絶感の増加に,不信と被拒絶感がSOCの減少に,それぞれ影響を与えていた.アルコール群では被拒絶感が重症度の増加に,薬物群ではSOCが重症度の減少に,それぞれ影響を与えていた.各種適合度指標から設定モデルは一定の水準を満たしあてはまっていた.【考察】小児期のさまざまな逆境体験の重なりが不信感や被拒絶感を強め,物質使用障害を深刻化させることが示唆された.アルコール群では他者から受け入れられない孤独や不安を緩和する役割として,薬物群では低下したストレス対処力を補完する役割として物質に依存せざるをえないという特徴がそれぞれ見受けられた.児童思春期の段階で逆境体験を早期に発見して予防的にかかわることは,物質使用障害発症の予防にも重要であると考えられる.

索引用語:物質使用障害, 小児期逆境体験, 不信感, 被拒絶感, 首尾一貫感覚>

はじめに
 物質使用障害の成因論についてはさまざまな観点から議論されている.心理社会的側面では,小児期の被虐待体験,親との別離,親の物質乱用などの逆境体験と物質乱用のリスクや物質使用障害の発症との関連についてすでに多数の研究が報告されている10)12)32)40)50)53).小児期逆境体験に関する疫学的研究であるAdverse Childhood Experience(ACE)Study15)では,さまざまな逆境体験の累積と後の健康上のリスクや行動上の問題との関連について検討し,物質使用障害に関連する問題では,逆境体験の累積が0の群に比して4以上の群は薬物使用が4.7倍,アルコール中毒が7.4倍,薬物注射の使用が10.3倍という結果が報告されている.小児期逆境体験から物質使用障害に至る心理的背景については,人生早期における慢性的なトラウマの体験による対人的な不信感とアルコールや薬物への依存との関連が指摘されている16).Khantzian, E. J. は,薬物使用障害患者について,生育過程上の過酷な体験による孤独感や対人不信から,対人関係で生じる苦痛を薬物に置き換えることで孤独な対処をしているという自己治療仮説を提示した24)
 メンタルヘルスの領域全般において信頼感は重要な概念であり,信頼感が不信感を上回るバランスを保つことが健康的なパーソナリティの発達に必須である4)14).Beard, M. T. は,対人的な信頼感を損なうことでの不信感がストレス源となって心身の疾患と関連することを調査研究から示し,信頼のレベルとストレスフルなライフイベントが予防精神医学に示唆をもたらすとした7).物質使用障害の治療においても,自分自身を信頼して他者と健康的な関係を再構築していくことが強調される18).特に,被虐待体験による心的外傷を抱えた物質乱用者はこれまでの外傷体験を背景とする過度な警戒により,治療初期から信頼感や安全感を共有できることは稀なため,治療の場を安全に保ち時間をかけて信頼感の獲得を図る必要性が指摘されている17).物質使用障害における対人的な側面については,アルコールや薬物の依存症者・乱用者は健常者や乱用未経験者に比して孤独感・疎外感が高いという報告がみられる8)27)35).物質使用障害患者のストレス対処に関しては,Antonovsky, A. によって提唱されたストレス対処力の指標の1つである首尾一貫感覚(sense of coherence:SOC)5)を用いた調査研究がみられる.これらの研究からは,ストレス対処力の低さがアルコール依存やアルコール使用による重大な問題を呈する傾向44),SOCや依存症の重症度とトラウマ後のストレス症状との相関6)などが示唆されている.
 小林は物質使用障害患者の抱える対人信頼の不全と自己治療仮説をもとにして,「信頼障害仮説」という観点から物質使用障害について説明した25).物質使用障害患者は,生育の過程での多様な逆境体験などの生きづらさにより他者や自分自身を信頼できず,自身の抱える孤独など負の感情にも気づけず,人に援助を求めることが難しい.そして自己の感情調整やストレス対処の不全についてアルコールや薬物に助けを求めるしかなく,心理的孤立を生き延びようとした結果の病と見立てる仮説である.逆境体験には,明らかな被虐待体験はもちろん,外部の者にはみえにくい家族内の慢性的な緊張状況のような体験も含まれるとしている.そして小林はこの信頼障害仮説を検証すべく,生育歴上の逆境体験の累積と物質使用障害重症度との間に信頼感の低下によるストレス対処の不全を想定し,神奈川県立精神医療センター依存症外来の初診患者227名を対象に,生育歴上の逆境体験,アルコールもしくは薬物使用障害の重症度,信頼感をそれぞれ測定する自記式尺度を用いた調査を実施した26).その結果,乱用する物質が覚せい剤や多剤である群には被虐待体験など明白な逆境体験がより多い一方で,それ以外の薬物(向精神薬など)やアルコールである群には過剰な期待や厳しいしつけを受け続けるなど一見明白ではない逆境体験が多く,また,物質使用障害の重症度と不信感の高さが有意な相関を示した.長は,アルコール使用障害患者を対象とした国内10ヵ所の多施設研究において,アルコール使用障害のスクリーニングテスト(Alcohol Use Disorders Identification Test:AUDIT)19)を目的変数,逆境体験累積度数,SOC尺度,信頼感尺度を説明変数として重回帰分析を行い,信頼障害仮説の検証を試みた9).その結果,AUDITと最も強い関連を認めたのは信頼感尺度の下位尺度「不信」であり,「被受容感」「被拒絶感」「自分への信頼(の低さ)」「他人への信頼(の低さ)」「SOC得点(の低さ)」と続き,信頼障害仮説は部分的に支持された.
 以上のように,物質使用障害の重症度が,小児期逆境体験の累積,信頼感が障害された結果の不信感,他者から拒絶されているという感覚,ストレス対処力などとそれぞれ関連しているという仮説を検証する試みは少しずつ蓄積されつつあるが,それぞれの変数がどのように媒介して物質使用障害の重症化に至るかをプロセスとして示した実証的研究は著者の知る限りみられない.もともと衝動性や多動性などの遺伝的素因をもった者が物質使用障害を発症しやすく,物質使用障害が重症化した結果としてストレス対処力や自他に対する信頼感が低下していったという解釈も成立しうる.そこでわれわれは小林26)の研究を継続し,アルコール使用障害,薬物使用障害の患者の症例数を増加し,信頼障害仮説をプロセスとして提示することを試みた.物質使用障害患者において「小児期のさまざまな逆境体験の累積が対人不信感および被拒絶感を強め,その結果として他者を頼りストレスに対処する力が低下し,物質乱用が重症化する」という信頼障害仮説のモデルを設定し,神奈川県立精神医療センター(以下,当院)依存症外来で初診患者に実施した自記式心理尺度による調査をもとに,そのモデルの妥当性を共分散構造分析により検証することを目的として本研究を行った.

I.対象と方法
1.対 象
 2015(平成27)年5月から2016(平成28)年11月の当院依存症外来初診患者788名のうち,調査同意拒否の23名,質問紙回答上支障のある病状を有する,または同意能力がないなどの状態であった183名を除く582名を対象に,予診を担当するスタッフが口頭および書面にて対象者に調査参加の同意を得たうえで,基本属性として性別,初診時年齢,教育年数,依存物質の初使用年齢,習慣化年齢の情報を聴取し,診察前に自記式の質問紙調査を行った.記入不備のあった76名と,主診断が物質使用障害以外であった69名を除き,最終的に437名を分析の対象とした.そのうち,Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders,Fifth Edition(DSM-5)に基づいてアルコール使用障害と診断された者(以下,アルコール群)は217名(男性169名,女性48名),その他の薬物使用障害と診断された者(以下,薬物群)は220名(男性162名,女性58名)であった.なお,アルコールと薬物の併存例は多剤薬物依存症と捉えて「他の薬物使用障害」と診断されたため,本研究では薬物群に分類した.

2.質問紙の構成
1)15歳以前の小児期逆境体験
 17項目の小児期逆境体験について,15歳までの体験の有無を2件法で尋ね,「あり」を1と換算して累積度数を算出した.最小値は0,最大値は17である.小児期逆境体験に関する質問紙としては,ACE Studyの質問紙がある15).ACE Studyとは,カイザーパーマネンテ医学的治療プログラム(Kaiser Permanente Medical Care Program)と米国疾病管理センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)が中心となり,Kaiser Permanente健康保険に加入している被保険者17,737人から回答を得た,虐待と成人期の健康に関する調査研究である.質問項目には虐待のカテゴリーとして3項目(精神的虐待,身体的虐待,性的虐待),養育機能不全のカテゴリーとして5項目(父親から母親への暴力,家族にアルコール中毒か薬物中毒の人がいる,家族に精神疾患かうつ病の人がいる,両親が離婚または別居している,家族に刑務所に留置されている人がいる)の計8項目がある.いくつのACEが重なったかというACE累積度が高いほど,より広汎で深刻な健康上の問題を抱えやすくなるとされている11)15).日本では,上記のACE 8項目を基本として作成された質問紙として,松浦らが少年院における小児期逆境体験に関する調査のために1項目を追加したACE質問紙30)31),増田らによる家庭内外での逆境体験を問う日本版の家庭内逆境体験調査票(8項目)および家庭外逆境体験調査票(5項目)28)が挙げられる.長は,アルコール使用障害患者の小児期逆境体験を調査するにあたり,これらの先行研究を参考にしつつ,物質使用障害患者の生育歴としてしばしば報告される体験について,依存症医療の専門医師らによる協議を経て選定・追加を行い,虐待体験および一見明白になりにくい体験も含め,最終的に17項目を小児期逆境体験項目として用いた9).具体的には,慢性身体疾患,学業不振,いじめ,長期欠席,補導歴,養育者からの厳しいしつけ,過剰な期待,家族の慢性疾患,家族の精神疾患,家族の物質乱用,貧困,養育放棄,身体的虐待,心理的虐待,性的虐待,親との離別,同居家族の自殺の17項目から構成され,「はい」「いいえ」の2件法で回答を求める形式である.本研究ではこの17項目について,15歳までの体験の有無を2件法で尋ねて累積度数を算出した.
2)不信感
 信頼感尺度成人版の下位尺度である「不信」8項目を用いた2).信頼感尺度とは,天貝により,信頼感を“人や自分自身を安心して信じ,頼ることができるという気持ち”1)と定義して開発された,対人的信頼感を多次元的に測定するための尺度である.対自的側面を「自分への信頼」,対他的側面を「他人への信頼」,否定的側面を「不信」とした3つの下位尺度から構成される.本研究では,「人が信じられない」という信頼感の否定的側面を測定する下位尺度「不信」を用いた.「不信」は,「今心から頼れる人にもいつか裏切られるかもしれないと思う」「自分で自分をしっかり守っていないと,壊れてしまいそうな気がする」などの8項目からなる4件法の尺度で,各項目につき1~4点が与えられ,8項目の合計点が高得点であるほど不信が高いとされる1)3).本尺度の信頼性については,Cronbachのα係数が0.81と十分な整合性がある旨報告されている3).妥当性については,Locus of Control尺度22)および自尊感情尺度37)との関連から検証されている3).標準得点については,天貝が年齢段階および男女別に各項目の平均値と標準偏差を報告しており,8項目の尺度得点の平均と標準偏差を算出すると,30代男性は17.2±2.4,女性は17.5±2.3,40代男性は17.3±2.5,女性は17.6±2.7であった4)
3)被拒絶感
 被受容感・被拒絶感尺度42)のうち被拒絶感尺度8項目を用いた.杉山が,「自分は他者に大切にされている」という認識や情緒である「被受容感」,および「他者に疎まれている,ないがしろにされている」という「被拒絶感」を概念化したことをもとに41),杉山・坂本によって被受容感・被拒絶感尺度が開発された42).本研究で使用した被拒絶感尺度は,「私は悪く思われがちだ」「私は,よく人からないがしろにされる」「少しでもうまくいかないとき,私は見捨てられるだろう」などの8項目からなる5件法の尺度で,各項目につき1~5点が与えられ,8項目の合計点が高得点であるほど被拒絶感が高いとされる.信頼性についてはα=0.85と高い数値が報告され,妥当性については愛着スタイル尺度45)を使用し,仮説と一致する相関係数から検証されている42).標準得点については,杉山・坂本が尺度作成の際に平均値を報告しており,男性の平均値が17.37±5.13,女性の平均値が16.33±5.40であった42)
4)ストレス対処力
 ストレス対処力概念であるSOC尺度5)を使用した.SOCは,Antonovskyが健康生成論の立場から提唱した,心身の健康を保持しストレスへの対処に成功している一群の人々の中核に共通して存在する健康要因として見いだした概念である5).その概念をもとに,世のなかの一貫性安定性を信じほどよく他者に援助を求めてストレスに対処できる感覚として尺度化されたものがSOC尺度であり,本研究ではSOCスケール日本語版13項目7件法を用いた51).「あなたは,不慣れな状況にいると感じ,どうすればよいかわからない,と感じることがありますか?」「あなたは,自分の周りで起こっていることがどうでもいい,という気持ちになることがありますか?」「あなたは,自制心を保つ自信がなくなることがありますか?」などの13項目からなり,13点から91点の間に分布する.得点が高ければ高いほどストレス対処力が高く,心身の状態が健全であることを示す.信頼性については戸ヶ里らの調査研究によりα=0.84と高い数値が報告されており47),妥当性については遠藤らにより抑うつスケール(Self-rating Depression Scale:SDS)54)との基準連関妥当性が支持されている13).戸ヶ里らが全国代表サンプルによる調査データを用いて日本語版の基準値を算出し,全体の平均得点が59.0±12.2と報告された47)
5)物質使用障害重症度
 主な依存物質がアルコールである患者にはアルコール使用障害スクリーニングに用いるAUDIT19)を,それ以外の薬物である患者には薬物乱用・依存の重症度を測定するDrug Abuse Screening Test-20(DAST-20)39)をそれぞれ実施した.AUDITは過度の飲酒をスクリーニングするための10項目で構成され,質問1~8は5件法,9~10は3件法で回答を求めるようになっている.AUDIT日本語版の信頼性について,廣・島により信頼性はα=0.81と良好な数値であったこと,半構造化面接による診断を外的基準とした評価およびCAGE(Cut down, Annoyed by criticism, Guilty feeling, Eye-opener)アルコール症スクリーニング尺度日本語版23)との比較により問題飲酒者およびアルコール依存症者のスクリーニングにおける高い妥当性を有していたことが報告されている19).12点以上が問題飲酒の,15点以上がアルコール依存症のカットオフポイントである20).DAST-20は薬物乱用・依存の重症度を測定するための20項目からなる質問紙であり,「はい」「いいえ」の2件法で回答を求めるようになっている.嶋根らにより信頼性はα=0.95,再テスト法による信頼性係数0.86と高い数値であったこと,妥当性はSeverity of Dependence Scale-J(SDS-J)36)との相関係数0.85およびAUDITとの相関係数0.41と十分な数値であったことが報告されている39).0点が「問題なし」,1~5点が「軽度」,6~10点が「中等度」,11~15点が「重大」,16~20点が「重度」と判定される29)

3.分析の方法
 まず,アルコール群と薬物群のそれぞれにおいて初診時年齢,平均教育年数,初使用年齢,習慣化年齢,各尺度得点の平均値を算出し,Mann-WhitneyのU検定により両群の比較を行った.次に,アルコール群はAUDIT,薬物群はDASTをそれぞれ目的変数として,小児期逆境体験,不信,被拒絶感,ストレス対処力SOCが因果関係で影響を及ぼす,という仮説モデルを作成し,共分散構造分析を用いて検証を行った.共分散構造分析とは,分析者が変数間の因果関係について仮説を立てて検証する解析方法である34).まず,小児期逆境体験→不信→被拒絶感→SOC→AUDIT/DASTという因果関係の連鎖をパス図として描き,それぞれの項目間の関係の強さを表す標準化されたパス係数を算出した.次に,有意でないパスがあれば削除してモデルを修正し,モデルの適合度について検討を行った.適合度の指標は,χ2値,Goodness of Fit Index(GFI),Adjusted Goodness of Fit Index(AGFI),Comparative Fit Index(CFI),Root Mean Square of Approximation(RMSEA)を使用した.χ2値は小さいほどよく,有意確率は有意でないほど望ましい.GFIとAGFIは0~1までの値をとるが,値が1に近いほど説明力のあるモデルとされ,0.90よりも大きいと,あてはまりのよいモデルとされる.CFIは1に近いほど望ましく,0.90よりも大きいとよいモデルといわれる.RMSEAは小さいほど望ましく,一般的に0.05以下がよく,0.10以下が許容水準である.
 本研究では,小児期逆境体験を外生変数とし,信頼感尺度の「不信」,被拒絶感尺度,ストレス対処力を測定するSOC尺度,AUDITもしくはDASTをそれぞれ内生変数とした.また,共分散構造分析により,小児期逆境体験が物質使用障害重症度に及ぼす影響において,不信,被拒絶感,SOCの間接効果が考えられた場合は,ブートストラップ法(リサンプリング回数2,000)によって95%信頼区間を算出し,媒介分析による間接効果の有意性の検討を行った.ブートストラップ法は,標本集団からのリサンプリングを繰り返すことにより,母集団の性質を推定する方法の1つであり,信頼区間の値域にゼロが含まれない場合に間接効果を有意とする方法である.解析には,解析ソフトとしてSPSS Statistics 25およびAmos Graphics version 25を使用した.

4.倫理的配慮
 本研究は,神奈川県立精神医療センターの倫理委員会の承認を経て実施した.対象者には,口頭と文書で説明を行い発表に関する同意を得たうえで,個人情報の保護に配慮し調査研究を行った.

II.結果
1.対象者の属性
 アルコール群と薬物群別の属性およびMann-WhitneyのU検定の結果,および質問紙の尺度得点のアルコール群・薬物群別の記述統計量およびMann-WhitneyのU検定の結果をに示した.アルコール群の平均年齢は48.2±10.5歳,薬物群の平均年齢は37.3±10.1歳でアルコール群のほうが初診時の年齢が有意に高かった.平均教育年数はアルコール群のほうが長かった.初使用年齢には両群に統計的な有意な差はみられなかったが,習慣化年齢は薬物群のほうが有意に低年齢であった.薬物群のほうがより多くの小児期逆境体験があり,不信や被拒絶感が高く,ストレス対処力が低い傾向がみられた.各尺度についてCronbachのα係数を算出したところ,小児期逆境累積度数は0.692と十分とは言いがたいが許容範囲であり,それ以外の尺度はすべて0.7以上で十分な内的一貫性を有していた.

2.共分散構造分析の結果
1)アルコール群
 アルコール群においては,標準化係数が有意でなかった小児期逆境体験→SOC(-0.09),不信→AUDIT(-0.07),SOC→AUDIT(-0.06)のパスをそれぞれ削除して再度分析を行った.再分析を行ったアルコール群のパス図に,パスは実線矢印,標準化係数は太字で示した().適合度指標は,GFI=0.993,AGFI=0.967,CFI=0.998,RMSEA=0.029であり,モデルのあてはまりは良好であった.
 小児期逆境体験の数は直接AUDITに影響を及ぼすとともに,不信から被拒絶感を介してAUDITに影響を及ぼしていた.また,小児期逆境体験の数は不信から被拒絶感を介してストレス対処力の低下にも影響を及ぼしていた.
 小児期逆境体験からSOCへの直接のパスは有意でなかったが,ブートストラップ法によって95%信頼区間を算出した結果,小児期逆境体験とSOCの間に不信を媒介させた場合の標準化係数の信頼区間に0が含まれておらず([-0.38,-0.20]),間接効果は有意であった.さらに,小児期逆境体験とSOCの間に不信,被拒絶感を媒介させた場合の標準化係数の信頼区間にも0が含まれておらず([-0.40,-0.23]),間接効果は有意であった.また,不信からAUDITへの直接のパスも有意でなかったが,不信とAUDITの間に被拒絶感を媒介させた場合の標準化係数の信頼区間に0が含まれておらず([-0.02,-0.23]),間接効果は有意であった.
 小児期逆境体験からAUDITへの直接効果は有意であったが,小児期逆境体験とAUDITとの間に不信と被拒絶感を媒介させた場合の標準化係数の信頼区間に0が含まれておらず([0.02,0.14]),小児期逆境体験の多さは,部分的にはAUDIT得点の高さに直接影響を与えるとともに,部分的には不信から被拒絶感を媒介してAUDITへの効果に至るという部分媒介も確認された.
2)薬物群
 薬物群においては,標準化係数が有意でなかった小児期逆境体験→SOC(-0.05),不信→DAST(-0.13),被拒絶感→DAST(-0.02)のパスをそれぞれ削除して再度分析を行った.再分析を行った薬物群のパス図に,パスは破線矢印,標準化係数は細字で示した().適合度指標は,GFI=0.993,AGFI=0.966,CFI=0.998,RMSEA=0.033であり,モデルのあてはまりは良好であった.小児期逆境体験の数は,直接DASTに影響を及ぼすとともに,不信から被拒絶感そしてストレス対処を介してDASTに影響を及ぼしていた.
 小児期逆境体験からSOCへの直接のパスは有意でなかったが,ブートストラップ法によって95%信頼区間を算出した結果,小児期逆境体験とSOCの間に不信を媒介させた場合の標準化係数の信頼区間に0が含まれておらず([-0.31,
 -0.16]),間接効果は有意であった.さらに,小児期逆境体験とSOCの間に不信,被拒絶感を媒介させた場合の標準化係数の信頼区間にも0が含まれておらず([-0.36,-0.19]),間接効果は有意であった.また,不信からDASTへの直接のパスも有意でなかったが,不信とDASTの間に被拒絶感とSOCを媒介させた場合の標準化係数の信頼区間に0が含まれておらず([0.15,0.30]),間接効果は有意であった.
 小児期逆境体験からDASTへの直接効果は有意であったが,小児期逆境体験とDASTとの間に不信,被拒絶感,SOCを媒介させた場合の標準化係数の信頼区間に0が含まれておらず([0.06,0.16]),小児期逆境体験の多さは,部分的にはDAST得点の高さに直接影響を与えるとともに,部分的には不信,被拒絶感,SOCを媒介してDASTへの効果に至るという部分媒介も確認された.

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III.考察
1.アルコール群・薬物群の尺度得点
 AUDITの平均得点から,アルコール使用障害と診断された対象者の多くが深刻なアルコール関連問題を呈していた.DASTの平均得点から,薬物使用障害と診断された対象者の多くは中等度~重度の状態にあったと考えられる.アルコール使用障害の患者も薬物使用障害の患者も,信頼感に対して否定的で他者や世のなかを信用できず,また自分自身も他者からないがしろにされているという感覚も強く,他者に援助を求めながらストレス対処をすることに困難を呈しやすい.そしてその傾向は,より多くの小児期逆境体験を経験している薬物群においてさらに顕著になるものと考えられる.

2.アルコール群・薬物群の小児期逆境体験から物質使用障害の深刻化に至る共通のプロセス
 アルコール群においても薬物群においても,生育歴上の小児期逆境体験は,不信,被拒絶感,および物質使用障害の重症度に,それぞれ直接影響を及ぼすことが示唆された.その一方で,両群とも小児期逆境体験が直接ストレス対処力に及ぼす影響は有意ではなかったが,小児期逆境体験が不信から被拒絶感を媒介してストレス対処力に及ぼす影響は有意であった.もともとSOCという概念は,極度に過酷なストレッサーに曝され極限のストレスを経験しながらも心身の健康を守れる人もおり,そのような人々に共通する特性が何であるかという問題意識から提唱されたものであり,乳幼児期,思春期,成人期以降,それぞれの段階で良好な人生経験が提供されることによって発達しうるものとされている46)52).本研究の結果から,物質使用障害の患者においても小児期逆境体験の多さが直接SOCを低下させるわけではないが,その後の人生経験により不信や被拒絶感が高まることで間接的にSOCが低下しうることが示唆される.

3.アルコール群・薬物群の相違
 アルコール群では,小児期逆境体験は不信から被拒絶感を通して,ストレス対処力とAUDITのそれぞれに影響を及ぼすという部分媒介が認められた.不信からAUDIT,SOCからAUDITへの直接のパスは有意ではなく,いずれも被拒絶感という媒介を通して有意であった.アルコール使用障害患者には,依存欲求と見捨てられ不安の防衛や,抑うつ感や空虚感の否認のために「仕事中毒」などになりやすかったり38),「まじめ」で「他者への気遣いをする」などの性格傾向が見受けられたり43),他者からの評価を気にする公的自己意識が高かったりする49)など,過剰適応になりやすい傾向があることが知られている.中年期まである程度社会の枠のなかで適応し,飲みながらも仕事は頑張っていると感じるアルコール使用障害患者も少なくはなく,本研究のアルコール群においても,小児期逆境体験による不信感を抱えながらも,自分自身のストレス対処が不全になっているということを実感するよりも先に,「これほど頑張っている自分を人はなぜ認めてくれないのか」という被拒絶感に結びついてアルコールへの依存が深刻になる,というプロセスをたどる傾向が想定される.
 薬物群では,小児期逆境体験は不信から被拒絶感そしてストレス対処力を通して,DASTに影響を及ぼすという部分媒介が認められた.不信からDAST,被拒絶感からDASTへの直接のパスは有意ではなく,いずれもSOCという媒介を通して有意であった.薬物使用障害患者の場合は,特に違法薬物においては,同じ薬物乱用者の友人知人とのかかわりにおけるpeer pressureの果たす意味がたびたび指摘されている48).薬物に依存する仲間にしか共感をもちえなくなり,社会的孤立は深まりやすく,その乱用の開始に薬物を勧めた仲間が必ずいたように,回復過程でも回復してゆく仲間を強烈に求めていることも指摘されている33).本研究の結果からも,薬物使用障害の場合は薬物に依存する仲間がいたために,小児期逆境体験による不信感が直接被拒絶感には結びつかない傾向があるが,比較的若年のうちから社会的枠組みから外れ,自分はストレス対処がうまくできないという思いを強く抱えているために,不信感がストレス対処の低下に結びつき,薬物への依存が深刻化するという傾向が考えられる.

4.本研究の意義
 生育歴上の生きづらさと物質使用障害の重症化を結ぶ媒介因子として,自他への不信感とストレス対処力の低下を想定する信頼障害仮説のモデルは,特に物質使用障害患者の重症化のプロセスを理解するうえで臨床的意義があると考えられる.本研究の対象者は,アルコール使用障害もしくは薬物使用障害と診断されるほど重篤な物質関連の問題を抱えて来院し,基準値より高い不信と被拒絶感,低いストレス対処力を有する傾向にあった.そして小児期逆境体験の累積が多ければ多いほどその傾向は強かった.また,不信感や被拒絶感が媒介因子として物質使用障害の重症度と関連していたことから,特に重症の物質使用障害患者ほど他者と信頼関係を構築することに困難を抱えていることが推測され,児童思春期の段階で小児期逆境体験を早期に発見することは,子どもたちに対する後の物質使用障害発症や深刻化の予防という観点でも重要になる可能性がある.

5.本研究の限界と今後の課題
 本研究の限界として単一施設のデータによる症例の偏りや,対象が物質使用障害患者のみであったことが挙げられ,多施設研究を視野に入れたり,他の疾患群との比較検討を行ったりすることが今後の課題である.また,本研究では心理社会的な視点から,心理尺度を用いた横断的調査により信頼障害仮説についてモデル検証を試みた.小児期逆境体験を背景とする健康上のリスクに関しては神経生理学をもとにした知見もあり15),脳画像や各種血中ホルモン濃度などといった生物学的な情報も含め,縦断的調査の蓄積やコホート研究を視野に入れることも長期的な課題といえよう.
 今回使用した逆境項目は,ACE Study15)で用いられるACE質問紙の項目のみでなく,小林25)26)の指摘する明白にならない小児期逆境体験も追加してエキスパートコンセンサスにより作成された自記式質問票であること,得られた回答が対象者の過去の主観的経験を想起する形で収集したものであるためある程度のバイアスを避けられないことなどの限界を有する.また,今回は17項目の小児期逆境体験の有無の総計を1つの変数として分析を行ったが,われわれは今回用いた17項目について下位分類を試みており21),特にどのような小児期逆境体験がどの変数に影響を及ぼすかについては今後詳細に検討したいと考える.
 また,本研究では小児期逆境体験の累積度数に着目して量的な分析を試みたが,早期幼児期における体験か思春期における体験か,本人の発達の状態はどのようであったか,特定の小児期逆境体験について頻度はどのくらいであったか,どのようなカテゴリーの小児期逆境体験であったか,などの違いを吟味できるように,質問項目や回答方法についても検討が望まれる.本研究における調査では医療機関の初診患者を対象としたため,初診前の限られた時間で回答可能かつ侵襲的にならない範囲での項目にとどめたが,今後は面接調査などをもとにした質的研究や事例研究により,小児期逆境体験の質的側面および治療的対人関係や生活上の対人関係への影響について検討することも課題である.

おわりに
 本研究では物質使用障害の初診患者を対象に,小児期逆境体験,不信,被拒絶感,ストレス対処力,物質使用障害重症度に関する質問紙調査を行い,信頼障害仮説をもとにした仮説モデルの検証を行った.作成,改良したモデルは,適合度指標からみるとおおむね適切であった.アルコール群,薬物群ともに,小児期逆境体験は不信から被拒絶感を媒介して,ストレス対処の低下に影響していた.物質使用障害の重症度との関連では,アルコール群においては,小児期逆境体験は部分的には直接重症度に影響を及ぼしていたが,それと同時に,不信から被拒絶感を媒介して重症度に影響するパスも有意であった.薬物群においても,小児期逆境体験は部分的には直接重症度に影響を及ぼしていたが,それと同時に,不信からストレス対処を媒介して重症度に影響するパスも有意であった.信頼障害仮説のモデルから,小児期逆境体験から不信や被拒絶感が強まり,他者に上手に頼れないがためにストレス対処が低下し,代償的に物質使用障害が深刻になっていく過程が示唆された.

 本研究は,第113回日本精神神経学会学術総会において発表した.

 なお,本論文に関連して開示すべき利益相反はない.

 謝 辞 本研究にご協力いただいたすべての患者に深く感謝申し上げる.

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