Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文全文

第117巻第6号

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総説
社交不安障害の診断と治療
朝倉 聡
北海道大学保健センター・大学院医学研究科精神医学分野
精神神経学雑誌 117: 413-430, 2015

 社交不安障害(SAD)は,DSM-IIIにおいて,社交恐怖としてその診断基準が示されて以降,欧米では多くの研究がなされるようになってきた.わが国では,対人交流場面で強い不安感や緊張感が生じて日常生活に困難をきたすSADと類似の病態については「対人恐怖」として多くの研究が行われてきている.特に,自己臭恐怖あるいは醜形恐怖などのように自分の身体的欠点が他人に不快感を与えていることを確信し悩む症例を確信型対人恐怖として検討してきたことが特徴と考えられる.DSM-5においては,「他者の迷惑になるだろう」と恐れることが診断基準に加えられ対人恐怖をSADとして診断する方向で改訂された.しかし,醜形恐怖症/身体醜形障害が身体表現性障害から強迫症および関連症に移り,自己臭恐怖,醜貌恐怖が日本語表記で他の特定される強迫症および関連症に分類されることになったことは混乱をきたしやすい.薬物療法としてはSSRIが多くのコントロール研究で有効性および忍容性が認められ,現在,第一選択薬と考えられるようになっている.また,認知行動療法の有効性も示されているが,SADは併存精神疾患が多いことから,その対応や治療効果不十分例に対する対応は今後の課題と考えられる.

索引用語:社交不安障害, 対人恐怖, 確信型対人恐怖, 診断, 治療>

はじめに
 社交不安障害(social anxiety disorder:SAD)は,1980年にDSM-III2)において,社交恐怖(social phobia)としてその診断基準が示されて以降,欧米では多くの研究が行われるようになってきている.以前はまれな病態であるとの認識であったが,大規模な疫学調査で3~13%という高い生涯有病率であることが示され,さらに社会生活上の障害も大きいことが明らかとなり,SADは「認識されず治療されなかった重大な障害」であるという考えが一挙に広まった4).また,治療については,薬物療法や認知行動療法などの精神療法の有効性に関する研究も多く行われており,臨床症状評価尺度も開発されている.わが国においては,現在SADの治療薬としてfluvoxamineとparoxetineが保険適用として認可されている.SADの日本語表記については,「社会不安障害」とされていたが,2008年の日本精神神経学会による精神神経学用語集より「社交不安障害」と表記されることとなった56).また,2013年に改訂されたDSM-55)のsocial anxiety disorder(social phobia)の日本語表記は「社交不安症/社交不安障害(社交恐怖)」となされることとなった57)
 わが国においては,社交場面や対人交流場面で強い不安感や緊張感が生じて日常生活に困難をきたすSADと類似の病態について「対人恐怖」として1930年代より研究がなされてきた.その研究は,神経症と精神病の境界領域にかかわる精神病理学的検討や森田療法をはじめとする精神療法的介入など多岐にわたっているが,このような病態については他の国からの報告は少なかった.このため,対人恐怖については,わが国の社会文化的背景に密接に関連して発症する文化結合症候群と考えられることが多かった.しかし,DSM-III以降,世界各国でわが国の対人恐怖と類似の病態であると考えられるSADが高頻度に発症していることが明らかとなり,SADと対人恐怖の関係についても議論されるようになってきている.
 本稿では,SADの診断,治療などについて,わが国の対人恐怖との関係も含めて概説してみたい.

I.わが国における対人恐怖
 対人恐怖は「他人と同席する場面で,不当に強い不安と精神的緊張が生じ,そのため他人に軽蔑されるのではないか,他人に不快な感じを与えるのではないか,いやがられるのではないかと案じ,対人関係から身を退こうとする神経症の一型」と定義されてきた35).このような病態については,わが国では多くの報告がみられたが,DSM-IIIによるSADの診断基準が提出される以前は他の国からの報告が少なかったことから,特にわが国における社会文化的背景が注目され,文化結合症候群とも考えられていた.
 その後,わが国では1960年代頃からは自分の体から不快な臭いが出て周囲の人に迷惑をかけているのではないか,自分の視線がきつくて周囲の人に嫌な思いをさせているのではないか,あるいは自分の外見が周囲の人に嫌な印象を与えるのではないかなどのように自分の身体的欠点が他人に不快感を与えていることを悩む患者が注目されるようになった.これらは自己臭恐怖や自己視線恐怖,醜形恐怖などと身体的欠点の確信部位によって分類されて呼ばれていたが,山下86)はこれらの患者を対人恐怖定型例としてまとめ,その特徴として,自分の臭いや視線,表情,容姿などについての対人性をもつ欠点の存在,その存在に関する確信は極めて強固であるという確信性,その欠点は相手の行動などから直感的に感じとられるという関係妄想性,この妄想体験は一定の状況内にとどまり,それ以上発展することはないという妄想体験の限局性と生育歴や性格,状況要因などから症状形成が了解的に把握できるという了解性を見出している.
 さらに,わが国における対人恐怖という場合でも,研究者によって用いられる概念,用語は異なっていた(図1).山下86)は対人恐怖を対人恐怖軽症例と対人恐怖定型例に2分したが,1997年には操作的な国際分類も考慮しほぼ同様な概念を緊張型対人恐怖と確信型対人恐怖と呼び変えている87).笠原ら34)は対人恐怖を4群に分け,第1群:青春期という発達段階に一時的にみられるもの,第2群:恐怖症段階にとどまるもの,第3群:関係妄想性を帯びているもの(重症対人恐怖症),第4群:前統合失調症症状,統合失調症回復期にみられるもの,としている.植元,村上ら75)は特に妄想的確信をもっている患者に着目し,思春期妄想症という名称をつけて研究している.
 これらとDSM-5との対応をみると,SADは山下の緊張型対人恐怖,笠原らの第1群および第2群にほぼ対応していると考えられる.また,自己臭恐怖や自己視線恐怖,醜形恐怖などの身体的欠点を妄想的に確信しているという山下の確信型対人恐怖,笠原らの第3群の重症対人恐怖症や思春期妄想症は,妄想性障害の身体型,あるいは醜形恐怖症/身体醜形障害(body dysmorphic disorder:BDD)に分類されることとなると考えられる.DSM-5でやや混乱をきたしやすい点は,BDDが身体表現性障害から強迫症および関連症群/強迫性障害および関連障害群に移り,醜貌恐怖(shubo-kyofu),自己臭恐怖(jikoshu-kyofu)が日本語名のまま他の特定される強迫症および関連症/他の特定される強迫性障害および関連障害として記載されたことである.BDDを強迫関連症として検討していくのがよいか,あるいはSADに関連したものとして検討していくのがよいか診断学的にも議論がなされているが38),わが国では対人恐怖全体を一臨床疾患ととらえた上で亜型に分類するのが合理的であるとの考えが提案されている32)87)

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II.SADと対人恐怖
 SADと対人恐怖の関係を考える上では,自己臭恐怖や自己視線恐怖,醜形恐怖などの確信型対人恐怖がSADの精神病理と類似のものとしてとらえられるかが問題となると考えられる.他の国からの報告としては,米国から少数例ながらoffensive subtype of taijin-kyofu-shoとして報告があり18),韓国からは自己視線恐怖を含め,わが国と同様の症例が存在していることが報告されている42).自己臭恐怖については,これと類似の病態がolfactory reference syndromeとして報告されていることが散見される14)59).Marks50)はsocial phobiaの鑑別診断としてdysmorphobiaを取り上げているが,その中でdysmorphobic fear of body odorとして自己臭恐怖と類似の患者を記載している.この患者は,自宅近くの教会には行けず,わざわざ遠くの教会に出かけているとの記述があり,わが国の対人恐怖研究において指摘されている中間的な人間関係において恐怖症状が出現しやすいことが英国の患者でも認められるのかもしれない.また,米国の181名とわが国の161名の一般の大学生に対し社交不安のスケール(Social Phobia Scale:SPS,Social Interaction Anxiety Scale:SIAS)と確信型の症状を含む対人恐怖のスケール(Taijin Kyofusho Scale:TKS)を施行し両国間の社交不安の文化差を比較した検討がある40).この検討では,米国の大学生でSPSとTKSともに高得点者は53%,SIASとTKSともに高得点者は53%であり,わが国の大学生ではSPSとTKSともに高得点者は54%,SIASとTKSともに高得点者は50%であったという.米国の大学生でSADタイプの社交不安と確信型を含む対人恐怖タイプの社交不安を併せ持つ人を合わせると全体の8.8%であり,わが国の大学生では8.1%であった.このことから,米国とわが国のどちらの文化圏でも確信型を含む対人恐怖タイプの社交不安を呈する人がいると考えられる.また,米国と韓国のDSM-IVで診断されるSAD患者で確信型対人恐怖の症状の出現頻度を検討した報告もなされている15).この検討では,米国のSAD患者181例中,こわばった表情に関する恐怖が48.9%,臭いに関する恐怖が32.4%,視線に関する恐怖が37.2%,腸のガスに関する恐怖が44.2%,外見に関する恐怖が37.6%認められ,これら5つの症状のいずれかが認められるものは75%に及んだと報告された.さらに,これらの症状により他人に迷惑をかけているのではないかと考える加害性をおびる患者の割合も韓国の患者と比較しても低くはなく,確信型対人恐怖の症状は米国のSAD患者の中でもさほど非一般的なものではないとしている.徐々に他の文化圏においても,わが国で確信型対人恐怖として検討されていた症例が存在する可能性が指摘されてきており,DSM-5においても「他者の迷惑になるだろう」と恐れることがSADの診断基準に加えられた.さらに文化に関連する診断的事項において,「対人恐怖症という症候群は,しばしば,社会的評価への懸念によって特徴づけられ,社交不安症の基準を満たしており,その人が他の人たちを不快にさせているという恐怖と関連しており,この恐れは時に妄想的な強さで経験される」と記載され,対人恐怖をSADとして考える方向となっている.また「この症状はアジア以外の状況でもみられるかもしれない」と指摘し,確信型対人恐怖も他の文化圏でもみられることが認められてきているが,さらなる比較文化的な検討は必要と考えられる.
 DSMでは,確信型対人恐怖の一部はBDDあるいは妄想性障害の身体型と診断されてきた可能性がある.欧米における近年のBDDの研究では,身体的欠陥へのとらわれの強固さから妄想的と考えられ,妄想型BDDといわれる患者が48.7%に及ぶことが指摘されており,これらは非妄想型BDDと比較して有病率,経過,合併精神障害,精神科家族歴,治療反応性において大きな差異は認められず,亜型に分類されると考えられるようになっている62).米国のBDDとSADとの関係についての検討では,BDDはSADの併存精神疾患としては4番目に多いものとされ28),時点併存率は8~12%程度とみられている85)88).一方,BDDにおいてのSADの時点併存率は16~69%程度とみられている82)88).SADとBDDが併存していると診断される患者が,わが国の確信型対人恐怖と類似の臨床症状を呈しているかどうかは興味がもたれるところである.
 また,確信型対人恐怖の生物学的基盤を考える上で,薬物療法に対する治療反応性を検討することも重要と考えられる.この病態に関しては,わが国ではセロトニン再取り込み阻害薬(serotonin reuptake inhibitor:SRI)が有効であったとの報告がみられていた6)7)51).また,確信型対人恐怖の一部が分類されると考えられるBDDに対しての欧米の研究では妄想型を含むBDDの29例に対し,SRIとしてclomipramineを使用し,desipramineとの16週間の二重盲検クロスオーバー試験を行ったものがある27).この検討では,妄想型を含めてもSRIはBDDに対し有効であったという.また,わが国で,Nagataら55)は22例の確信型対人恐怖に対し12週間でSSRIであるparoxetineのオープンラベル試験を行い有効性が認められたと報告している.治療の項目で後述するが,SADに対するSSRIの有効性が欧米およびわが国においても確立してきていることを考えると,確信型対人恐怖についてもSADと類似のセロトニン系に関する生物学的基盤が想定されるかもしれない.

III.SADの診断
 DSMにおけるSADの診断の変遷について整理してみたい.DSM-III,DSM-III-R3)ではSADはsocial phobiaという診断名であった.DSM-IIIで,I軸診断として診断基準が示されたが,ここでは,人前で話をしたり,人前で字を書いたり,会食をしたり,公衆トイレを使用したりするような特定の状況に対する恐怖が強調されていた.主にある行為状況に対する恐怖,不安症状が示されており,単一恐怖の一種という程度の認識であった.また,全般的な社交的状況に対する恐怖症状あるいは回避行動をとる症例はII軸診断の回避性パーソナリティ障害に分類されることとなっていた.その後,診断基準が示されたことにより大規模な疫学調査(epidemiologic catchment area:ECA)61)などが行われ,SADは,典型的な発症年齢が10歳代半ばと早く,有病率が高く,うつ病やアルコール依存の併存が多いことなどが示された.さらにSAD患者は,特定の状況のみならず多くの社交的状況で困難をきたしており,学業や職業上また婚姻や日常の社会生活全般に大きな障害をきたしていることが明らかとなってきた.
 これらを踏まえ,DSM-III-Rでの大きな変更点は,1つあるいは2つ程度の状況のみならず多くの社交的状況で恐怖,不安症状や回避行動を示す全般性の特定をすることとなった点である.ここで,SADは非全般性と全般性の2つの亜型に分類されることとなった.
 さらに,DSM-IVでは,人目につく赤面,震え,発汗などの不安症状を恐れることが診断基準に明記されるようになった.社交的状況で出現するこれらの不安症状をコントロールできなくなる経験にとらわれ,予期不安の悪循環に陥り,このため他者からの注目や恥ずかしいふるまいをしてしまうのではないかということを恐れることが示された.診断名も,social phobiaからsocial phobia(social anxiety disorder)と変更された.
 DSM-5においては,恐怖する状況の多さはSADの重症度に関連する要因と考えられるため全般性を特定するのではなく,人前で話をしたり演技をしたりする行為状況のみに状況が限定されるものをパフォーマンス限局型と特定することとなった.DSM-IIIでSADの診断基準が示されたときには,特定の行為状況における恐怖感が主に指摘されており,対人交流場面での恐怖,不安症状を中心に考えられていた対人恐怖とSADとの関係を考える場合に問題になっていた点の1つであった.この変更により,SADの中核群をより対人恐怖に近い病態と理解できるようになると思われる.また,自分が恥をかかされたり,恥ずかしい思いをしたりすることを恐れることに加え,他者に迷惑をかけることを恐れることが記載された.他者に迷惑をかけることを恐れる加害性については,特に確信型対人恐怖の研究で指摘されていた症状と考えられ興味深い.確信型対人恐怖とSADとの関係を検討する上で問題であった恐怖の不合理性の認識は,必要とされなくなっている.これらのことから,DSM-5はわが国の対人恐怖をSADとして診断していく方向で考えられている.DSM-5の診断基準を表1に示す.
 SADの研究が進むにつれ,DSM-IIIからIII-R,IV,5へと,より病態の把握が洗練されてきている.さらに,今後,DSM-5により検討されることになるとSADとわが国の対人恐怖との関係についても明らかになってくる点が多いのではないかと考えられる.

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IV.SADの併存精神疾患
 SADの臨床では,併存精神疾患について考慮することは重要である.米国で行われたNational Comorbidity Survey(NCS)による疫学調査では,SAD患者1,077人の6割近くに併存精神疾患がみられ,SAD以外の不安障害が56%,うつ病が42%,アルコール依存が40%であったという39)
 独国での14~24歳の一般人口を対象とし,4年間追跡調査したEarly Development Stages of Psychopathology Study(EDSP)によると,調査開始時にSADの診断がなされた人は,精神疾患の診断がなされなかった人に比べ30~50ヵ月後に3.5倍大うつ病エピソードを経験していたという67).うつ病を併存したSAD患者では,自殺念慮,自殺企図,抑うつ症状数の増加,うつ病エピソードの期間増加の危険が高くなった.このことから,SADはうつ病発症の危険因子であるだけではなく,うつ病の経過の増悪因子であることも指摘され,SADとうつ病の併存例には治療反応性や経過について慎重な対応が求められると考えられる.さらに,うつ病が双極性うつ病の可能性がないかどうかも検討する必要がある.米国で行われたNational Comorbidity Survey Replication(NCS-R)においては,双極性障害に不安障害は74.9%併存し,その中でSADが37.8%と最も多かったとされている52)
 最近行われた,Achimら1)による52の研究の4,032例を対象としたメタ解析の結果では,統合失調症圏の疾患に対する不安障害の併存率は38.3%であり,その中でSADは14.9%と最も高かったという.Edinburgh High-Risk Studyにおいては,SAD症状は統合失調症の発症の危険度を高める因子であることが指摘されている31).SADの併存は統合失調症の精神病症状の重症度とも関連が指摘されており,SAD症状は妄想症状を強めるとされ49),統合失調症の経過に影響を及ぼし,日常生活能力の低下をもたらすという.
 米国におけるNational Epidemiologic Survey on Alcohol and Related Conditions(NESARC)では,SADの生涯診断がなされる人の48%はアルコール使用障害の生涯診断がなされたとされる24).SAD患者におけるアルコール使用障害の12ヵ月有病率は13.1%とされ,一般人口におけるアルコール使用障害の12ヵ月有病率の8.5%と比較し高いとされる23).また,SADを併存するアルコール使用障害では,SADを併存しないアルコール使用障害と比較し,より重度のアルコール依存となりやすく,うつ病エピソードも伴いやすく,社会的支援も受けにくいことが指摘されている73)
 このように,SADは早期に発症し,その後,他の精神疾患が併存しやすいことが考えられる.他の精神疾患が併存してくる前にSADに早期に介入し治療的対応を行うことは,SADに併存しやすい他の精神疾患の治療という観点からも重要と考えられる.

V.臨床症状評価
1.Liebowitz Social Anxiety Scale(LSAS)によるSADの臨床症状評価
 SADの評価者が臨床症状を評価する尺度としては,LSAS43)が使用されることが多い.LSASは,SAD患者が症状を呈することが多い行為状況(13項目),社交状況(11項目)の24項目からなり,それぞれの項目に対して恐怖感/不安感と回避行動の程度を0~3の4段階で評価する.DSM-IIIにおいてSADの診断基準が示されたときに重点がおかれていた,人前で話をしたり,会食をしたり,公衆トイレを使用したりするような行為状況のみならず,注目を浴びたり,他人の意見に賛成できないことを表明したり,人と目を合わせたりするなどの社交状況についても評価するように作成されており,症状出現状況として行為状況に偏らない評価尺度となっている.LSASの評価は,過去1週間の症状を評価するものとされ,項目にあたる状況を経験していなかった場合は,そのような状況におかれた場合を想像して回答してもらい評価することとなる.治療反応性の検討を行う場合は,項目ごとの想定されている状況を一定にすることに注意が必要である.例えば「人に姿を見られながら仕事(勉強)する」の項目であれば,社長や友人に見られながら仕事をすることは稀であり,一般的に直属の上司のもとで仕事をすることが多いと考えられる人であれば,治療経過を通して一貫して上司の見ている状況で仕事をしているときの症状を評価することにする.
 わが国のSAD患者について検討することを目的として,再翻訳の手続きを経てLSAS日本語版(LSAS-J)を作成し,症例群30例,健常対照群60例を対象として,その信頼性と妥当性を検討してみた結果をみてみたい8)表2にLSAS-Jを示す.症例群における全項目のCronbachのα係数は0.95を示し,内的整合性は保たれていると考えられた.健常対照群において2週間の間隔をおいて2回施行した場合の全項目の級内相関係数(intraclass correlation coefficient:ICC)は0.92を示し再テスト信頼性も高いと考えられた.また,LSAS-Jは社交不安の自己記入式評価尺度であるSocial Avoidance and Distress Scale(SADS)日本語版30)と相関を示し,診察医が軽症,中等症,重症の3段階に判定した臨床的重症度とも相関を示した.また,ROC曲線を作成しカットオフ値を求めたところ42であった.LSAS-Jはわが国におけるfluvoxamine9)とparoxetine10)のSADに対する臨床試験にも使用され,治療反応性の評価にも適していることが示されている.
 LSASは,比較的多くの状況を評価するように作成されているため治療初期に症状の出現状況を確認していくときにも役立つと思われる.面接場面では語られなかった不安感が高まる状況が確認できたり,不安階層表などを作成するときにも参考になると考えられる.また,評価を得点として視覚化して確認しながら治療をすすめていくことは問題点を検討しそれを克服していく方法を治療者と一緒に考えていく一助にもなると思われる.

2.社交不安/対人恐怖評価尺度(Social Anxiety/Taijin-kyofu Scale:SATS)
 SADの臨床症状評価尺度では,自己臭恐怖や自己視線恐怖,醜形恐怖などのわが国において確信型対人恐怖として検討されてきた症例の症状評価には不十分な点があると考えられる.このため,確信型対人恐怖を含め,その臨床症状を評価する構造化面接によるSATSを強迫性障害の臨床症状評価尺度であるYale-Brown Obsessive Compulsive Scale(Y-BOCS)を参考に考案した12)
 SATSでは,Y-BOCSと同様に最初に症状チェックリストを行い,不安感/恐怖感あるいは回避行動の出現しやすい状況(聴衆の前で話す,会議などで意見を述べる,相手に反対の意見を言う,自分より権威のある人と話す,異性と話す,人を誘う,相手の目を見て話す,知らない人の多い集まりに参加する,少人数のグループ活動や行事に参加する,他の人が集まっている部屋に入っていく,人に見られながら仕事や勉強をする,人に見られながら文字を書く,公共の場所で飲食をする,あまり知らない人に電話をかける,かかってきた電話に出る,注目を浴びる,他の人が乗っている公共の交通機関を使用するなど),恐怖感/不安感に関連する身体症状(体や表情がこわばる,体や手や足が震える,赤面する,息苦しくなる,多量に汗をかく,声が出にくくなったり震えたりする,お腹が鳴ったり痛くなったりする,動悸がする,吐き気がする,すぐに排尿したくなるなど),確信型対人恐怖の認知症状(自分の体の臭い,視線,外見,表情が他の人に嫌な感じを与えており,それは他の人の様子からわかる)を確認し,それらを標的症状リストにまとめる.その後,構造化された面接により恐怖感/不安感(予期不安の程度,恐怖感/不安感に伴う苦痛,恐怖感/不安感に対する抵抗,恐怖感/不安感に関連する身体症状),回避行動(回避行動の頻度,回避行動と苦痛,回避行動に対する抵抗,回避行動による社会的障害),認知症状(確信の程度,関係念慮,加害性,認知症状に伴う苦痛)について0~4の5段階で評価する.SATSを表3に示す.
 確信型対人恐怖の患者15例を対象とし,信頼性,妥当性の検討を行った結果では,SATSのCronbachのα係数は0.97を示し,内的整合性は高かった.SATS合計は恐怖感/不安感,回避行動,認知症状の各項目と高い相関が示され,ICCによる10人の評価者でのSATS合計,恐怖感/不安感,回避行動,認知症状の評価者間信頼性も高く,再テスト信頼性も高く,Clinical Global Impression(CGI)重症度評価とも相関がみられた.
 DSM-5では,SADにわが国の対人恐怖を含めて考えられるようになってきており,確信型対人恐怖の症状を含めて臨床症状を評価できるSATSは,今後,SADと対人恐怖との関係を検討していく上でも有用と考えられる.

表2画像拡大表3画像拡大

VI.SADの治療
 SADの治療については,薬物療法や認知行動療法の有効性が多くのコントロール研究により示されている.メタ解析によるとSSRIのエフェクトサイズは1.5程度,曝露療法と認知再構成のエフェクトサイズは1.8程度とされる20).薬物療法と精神療法の直接の治療効果比較は精神療法の検討では対照群にウエイティングリストを用いるなど薬物療法と検討方法が異なるため難しい面もある.一般的には,薬物療法の効果発現は早く,認知行動療法の効果は長く続くことが指摘されている22)25).治療ガイドラインでは,薬物療法と認知行動療法はいずれもSADの治療として第一選択の治療法として提唱されている71).現在のところ,薬物療法と認知行動療法の併用は,それぞれの単独療法よりどの程度有効かははっきりとしないところがある.治療法の選択については,個々の患者の状態に合わせてなされることになると思われる.不安感が強く認知行動療法で用いられるホームワークができにくい場合などは,薬物療法が選択されることが多いかもしれない.また,D-cycloserineが行動療法の有効性を高める報告26)などから,今後,精神療法を施行するときの有効な増強療法が開発されていくかもしれない.

1.薬物療法
 初期のSADに対する薬物療法としては,モノアミン酸化酵素阻害薬(monoamine oxidase inhibitor:MAOI)の有用性が検討されていたが,副作用とチラミン含有物の食事制限などが必要なこともあり忍容性と安全性の面から問題が指摘されていた44).また,高力価のベンゾジアゼピン系坑不安薬についてはalprazolamとclonazepamについて検討され19)22),ある程度の有効性が認められたが,SADにアルコールや物質使用障害が併存しやすいことなどを考慮すると,副作用や依存性の観点からベンゾジアゼピン系抗不安薬は第一選択薬とはなり得ていない.
 SSRIについては,fluvoxamine9)66)80),paroxetine45)47)65),sertraline37)46)78),escitalopram36)41)で,セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(serotonin noradrenaline reuptake inhibitor:SNRI)については,venlafaxine47)48)60)68)で大規模なコントロール研究が行われ,その有効性と忍容性が確認されている.メタ解析によるSSRIのSADに対するnumber need to treat(NNT)は3.7と報告されており,その有用性は高いと考えられる79)
 用量比較試験からは,SADに対するSSRIの効果に用量依存性は少ないとされているが45),高用量にして治療反応性が得られる例があることも知られている63).わが国で行われた,paroxetineのSADに対するプラセボ対照二重盲検試験の結果では,全例を対象とした解析では,paroxetine 20 mg/日群,paroxetine 40 mg/日群ともに12週間の治療期間でSADの臨床症状評価尺度であるLSAS-Jがプラセボ群より有意な改善をみせたが,治療開始時にCGI重症度評価で重症以上の例に限るとparoxetine 40 mg/日群はプラセボ群と比較しLSAS-Jが有意に改善したが,paroxetine 20 mg/日群ではその改善度は有意ではなかった10).このことから,重症例については高用量を使用してみる価値があるかもしれない.
 多くのSSRIやSNRIのSADに対するコントロール研究は12週程度の短期間のものであるが,paroxetine64),sertraline84),escitalopram53)で行われた再発防止試験からは,薬物療法継続群での再発率は4~14%であったのに対し,プラセボ群では36~39%であったとされる.このため,治療反応性がみられた後も1年程度は薬物療法を継続した方がよいのではないかと考えられている.薬物療法による治療反応性の予測因子については,治療期間の長さが指摘されていることから63),良好な治療関係を保ち,薬物療法を継続させることが肝要と思われる.わが国で行われたオープンラベルの長期投与試験によると52週でのCGIによる治療反応率はfluvoxamineでは64.7%であり9),paroxetineでは71.2%であったことから10),1年程度のSSRIによる薬物療法で約6~7割程度の症例で効果が得られる可能性はあると考えられるが,3~4割程度の症例についてはSSRI単剤投与以外の薬物療法的工夫が必要かもしれない.
 多くのコントロール研究は,成人を対象にして行われているが,SADは発症年齢が低いことから,児童青年期の患者に対する薬物療法の研究も必要と考えられる.SADを含む児童青年期の不安障害に対するfluvoxamineによるプラセボ対照試験では,fluvoxamineの有効性が指摘されている72).また,paroxetineも児童青年期のSADに対して有効性が指摘されている83).希死念慮や副作用を注意深く観察しながら,児童青年期のSADに対してもSSRIによる薬物療法を施行することは,その後に併発してくることが多い他の精神疾患の予防という観点からも重要かもしれない.
 セロトニン1 Aアゴニストのbuspironeについては,単剤療法ではSADに対し有効性は示されなかったが81),比較的少数例のオープンラベルの検討では,SSRIにbuspironeを併用することで有効性が認められたと報告されている77).わが国では,tandospironeを増強療法として使用することが可能かもしれない.抗てんかん薬のgabapentin58)とpregabalin21)については,SADに対する有効性がコントロール研究で示されているが,levetiracetam69)では有効性が示されなかった.非定型抗精神病薬では,小規模の研究であるが,quetiapine76)とolanzapine13)でSADに対する有効性が示されており,SSRIにより効果がみられない場合は,体重増加やメタボリック症候群などの副作用に注意しながら試みる価値はあるかもしれない.
 SADと単極性うつ病の併存例については,SSRIにより薬物療法を行うことは妥当と考えられるが,双極性うつ病との併存例に対しては,SSRIを使用するか,気分安定薬を使用するか,両者を併用するか,エビデンスは多くはないが両疾患に有効性が期待されるかもしれないquetiapine,olanzapineなどの非定型抗精神病薬を使用するか,バルプロ酸との併用でgabapentin,pregabalinなどのSADに対して有効性が指摘されている抗てんかん薬を考慮するかなど,試行錯誤になると思われる.統合失調症に併存するSAD症状の治療においては,薬物療法としては少数例でのオープンラベルの検討ではあるが,aripiprazole有効性を指摘する報告がある70).アルコールや物質使用障害が併存する場合は,まずはその治療が優先されると考えられる.薬物療法としては,依存性を考慮しベンゾジアゼピン系抗不安薬は避け,SSRIから始めた方がよいと思われる.他の不安障害としてパニック障害が併存している場合は,SSRIによる薬物療法は投与初期の不安感の増強を避けるため,少量から開始した方がよい.また,妊娠,授乳中の女性に関しては,薬物療法におけるベネフィットとリスクを十分に考慮して,治療を考える必要がある74)

2.精神療法
 SADに対する精神療法としては,わが国の対人恐怖に対する精神療法として検討されてきた森田療法は有効と考えられるが,欧米では認知行動療法の有効性が多く検討されている.
 SADの認知モデルとしては,ClarkとWellsのモデル16)が興味深い(図2).このモデルによると,SAD患者は恐れている社交的状況に接すると,「好意を示してくれなければ,その人は自分を嫌いなのだ.皆に好かれなければ,自分は価値がない.もし,自分が不安な様子をみせたら,奇妙に思われ拒絶されるだろう」などの患者自身の社交的状況に関する一連の思い込みを活性化するという.これらの思い込みのために,SAD患者は,通常の社交的状況における対人関係も否定的に解釈し危険のサインとみなし,不安のプログラムが始動し始めるという.それは,3つの相互に関連する構成要素からなる.第1は,危険を察知することによって始まる身体的,認知的な不安症状とされる.赤面,震え,動悸,集中困難感,何も考えられない感じなどが起こり,これらが,それぞれ察知された危険のさらなる原因と考えられ不安を維持する悪循環が形成される.第2の構成要素は,患者が恐れている社交的状況に対する脅威を減らすためにとる安全保障行動を含めた回避行動である.第3の重要な構成要素は自己を社会的対象として処理する過程とされる.自己の注意が他者の視点にシフトしてしまい,不安時に生じる自分の内部感覚的な情報を使って,他者からみる自分自身の印象を作り上げてしまう.自己に注意が集中するために,口の周りの筋肉が緊張するのを感じるとすぐに,この感覚は誰の目にも明らかな引きつった表情のイメージにつながることもあり,また,ちょっとした汗の感覚が額を滝のように流れる映像につながっていくこともある.そして,その自分自身についての印象は,実際に他者が患者について考えていることが反映されていると思い込むのである.このように,閉じたシステムの中で自己の内部で作られた情報によって自分が否定的に評価される危険があるという信念が強化され,実際の社交的状況で起こっていることは見過ごされてしまうことが多くなるという.
 わが国の自己臭恐怖や自己視線恐怖,醜形恐怖などの確信型対人恐怖の症状形成を考える場合もこの自己を社会的対象として処理する過程は興味深い.「観察者の視点で自己を注目する処理(自己注目)」「内的情報への注意シフト,内的情報に基づいて自分が他者にどう見えるかを推論(事実と一致しない自己イメージ)」「自分の価値は他人の判断で決まる」ことが起こり,その中で自分の臭いや視線,外見などの対人性をもつ身体的欠点の存在に事実と一致しない自己イメージが焦点化し確信していくことが,確信型対人恐怖では起こるのかもしれない.
 認知行動療法の治療技法としては,心理教育,リラクセーション(漸進的筋弛緩法や呼吸法),社会技能訓練,曝露療法,ビデオフィードバック,認知再構成法などを組み合わせて行われることが多い29).どの技法の効果が高いかについては議論があるが,近年では認知的技法の重要性が多く指摘されるようになってきている17).SADの認知モデルに沿って,非機能的認知や回避行動を改善していくように対応していく.認知行動療法は,個人療法と集団療法の両方で行われているが,近年の研究では,個人療法の方が集団療法よりも有効性が高いことが指摘されている54)
 一般臨床の外来場面では,認知行動療法や森田療法などの体系的な精神療法の施行が難しい場合も多いと考えられる.このため,わが国で2006年から3年間にわたり検討されたSAD研究会による「SADの小精神療法」も参考になると考えられるため,以下解説したい11)表4).
 1)「SADは治療可能な病態である(心理教育)」
 心理教育時のポイントは,まず,笠原敏彦33)の指摘する「心の落穂拾い:不安感の出現しやすい社会的状況を確認しながら惨めな思い出を心情的レベルで丁寧に聞き取ること」を十分に行うことと思われる.SAD患者は周囲の人から「気にしすぎだ,気持ちを強くもて」などと言われるのみで,その症状を理解してもらえなかったと感じていることも多いので,今までのつらかったことを広げてみせてもらうようにすることも重要と思われる.その中で,症状の好発状況を確認していく.その上で「社会的にも頭の中でも,対人関係や社交的状況に条件づけられた不安が起こりやすい悪循環の回路ができてしまっているかもしれない」と病態を説明し「その悪循環の回路が回りださないように,悪循環がとれてよい循環になるように」一緒に治療していくということを説明する.
 2)「今のままでは大変困ってしまうと思われるので,治療者と一緒に日常生活を立て直していこう(動機づけ)」
 治療方針を説明する際には,まず,治療に対する動機づけを高めることが鍵になると思われる.本来やりたかったが,不安が強く避けてきたためできなかったことを聞き出していくことも有効と思われる.このとき,治療者は「避けたくない」けれども「避けたい」という両方の気持ちがあることを確認しておいた方がよい.森田療法的対応に慣れた治療者であれば,症状の裏にある向上発展の希求(生の欲望)をうまく利用できるかもしれない.
 3)「しばらくは不安感をうまく手なずけようという気持ちで(不安感の扱い),まずは3ヵ月間一緒に治療を行ってみよう.効果が感じられるようであれば,少なくとも1年間は治療を続けてみよう(予想される治療期間を示す)」
 不安感の扱いは,最初から完全になくさなければいけないと思わない方がよいかもしれない.うまく手なずける,折り合いをつける程度にしておき,まずは3ヵ月,効果が感じられるようであれば1年間程度は治療を続けてみた方がよいと説明し,予想される改善の時点を最初に設定しておく.
 4)「薬物療法は力強い味方になる(薬物に変えられるのではなく手助けに)」
 薬物療法に対する不安感をもつ人もいるので,薬物療法を手助けにし,頭の中の悪循環の回路が回りだすことがなくなり,良い循環の回路がうまく形成されてくるとだんだん薬物は必要なくなってくるかもしれないと説明しておく.
 5)「まずは,日常生活の中で,できそうなことから(行動)始めてみよう(階層化)」
 不安階層表などを作成してみてもよいかもしれない.日常生活で必要な行動がとれるようになっていくことが重要であることを説明する.不安感が多少あっても行動ができていればよいというメッセージを伝える.
 6)「できていることに目を向けよう」
 できていないこと,不安感が出現することに目が向きやすいので,できていることに目が向くように配慮する.うまくできそうな方法を治療者とともに検討していく.
 7)「周囲の人の話をよく聴き,よく見てみよう(自分の身体反応に注意が集中しないように,自分への過剰な観察に陥らないように)」
 意外とよく聴いていなかったり,よく見ていなかったりし,周囲の人の様子を誤解していることが多い.よく聴くことができるようになり,よく見ることができるようになると落ち着いてくることもある.可能であれば,徐々に安全保障行動(不安感が起こらないように自然にとってしまう回避行動)をとらないで行動してもらい,その前後での周囲の人の様子を確認してもらう.
 8)「治療中,症状に一進一退があるため,一喜一憂しないようにしよう」
 うまくいかないことが生じると失敗したという感じを強くもつことも多いので,うまくいったり,うまくいかなかったりしながら,一緒にうまくいく方法を考えて,全体として徐々に改善していくことを伝えておく.
 9)「元来,人に気をつかえることは長所でもある」
 治療の後半では,人に気をつかいすぎてしまうことは大変であったが,人に気をつかえることの長所も話しておく.
 このように,一般臨床の外来場面で可能な精神療法的対応を行いながら,社交場面での不安感にとらわれすぎずに生活する自信を獲得できるように支援していくことも重要と考えられる.

図2画像拡大
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おわりに
 SADについて,わが国の対人恐怖を含めて,その診断,治療などについて概説した.診断についてはDSM-5では,わが国の対人恐怖はSADとして組み入れる方向で考えられてきている.今後,特に確信型対人恐怖が国際的にどのような診断的位置づけになっていくか興味がもたれる.治療については薬物療法としてはSSRIが多くのコントロール研究で有効性が示されていることから第一選択薬となっているが,SSRIで効果不十分な症例や治療困難例に対する対応は今後の課題と思われる.また,精神療法と薬物療法とのより有効な組み合わせ方についても検討が必要であると考えられる.

 編 注:編集委員会からの依頼による総説論文である.

 なお,本論文に関連して開示すべき利益相反はない

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