近年,周産期メンタルヘルスの問題は医療界内外から多くの関心が向けられている.特に,産後うつ,妊産婦の自殺,児の養育不全,子ども虐待問題など,その内容は多岐にわたっている.まず,産後にみられるうつ病,そして,その経過中に起こりうる妊産婦の自殺を避けるために,妊娠や授乳における向精神薬内服の影響の理解と最適化が必要である.また,親の精神的問題は,児に対する適切な養育を妨げ,子ども虐待につながる可能性があるが,周産期からの介入は可能である.いずれにせよ,これらを円滑に行っていくためには,精神科と産科との多職種による連携はきわめて重要と考えられる.ここ数年において,さまざまな領域で動きがみられている.第一に,日本産婦人科医会・日本周産期メンタルヘルス学会による研修会の開催である.特に日本産婦人科医会主催の研修会は,さまざまな地域で行われてきた.続いて,精神疾患患者に対し,産科,精神科,地域が協働でかかわることで算定されるハイリスク妊産婦連携指導料が定められた診療報酬改定である.そのほか,産婦健康診査における精神状態の把握に関する行政からの指導や,各種ガイドライン・マニュアル・診療ガイドが各学会によって作成されたことである.これらの状況をふまえ,本稿は,「周産期メンタルヘルス―今後の発展すべき方向性とは―」というテーマのもと,この領域の第一線で活躍している,産科医,精神科医,公認心理師を演者として迎えた第119回日本精神神経学会学術総会でのシンポジウムの内容をまとめたものである.はじめに,産科医が周産期医療を取り巻くわが国の状況について母子保健行政に関する内容について論じ,続いて精神科医が子ども虐待に至る親の精神病理とマネジメント,そして周産期メンタルヘルスのガイドラインなどに基づく薬物療法と心理療法に関する最新のエビデンスの解説,最後に心理職がこの領域におけるコメディカルの役割についてまとめたものである.本稿により,周産期メンタルヘルスの今後について知識を深めることができ,精神科医の妊産婦に向き合う姿勢に主体的にかかわっていく変化がもたらされるものと考えている.
2)横浜市立大学大学院医学研究科産婦人科学講座
3)防衛医科大学校病院精神科
4)筑波大学医学医療系精神医学
5)慶應義塾大学医学部精神・神経科
6)和楽会赤坂クリニック
7)済生会横浜市東部病院こころのケアセンター心理室
8)学而会木村病院
9)千葉大学社会精神保健教育研究センター
https://doi.org/10.57369/pnj.25-100
受付日:2024年11月13日
受理日:2025年3月1日
はじめに
周産期メンタルヘルスの問題は,産後うつ,妊産婦の自殺,虐待など多岐にわたり,近年注目度が高まっている.これらの問題に対応するために,母子保健行政に関する情報の取得,自殺や虐待に至る精神病理の理解,妊娠や授乳における向精神薬内服の影響に関する情報のアップデートはきわめて重要である.さらに,情報や理解を臨床現場で実践していくためには,多職種による介入は不可欠と考えられる.なお,「周産期」とは,一般的に妊娠22週から出生後7日未満までの期間のことをいうが,文献などではさまざまな定義が用いられており,妊産婦の自殺に関する研究では妊娠中から産後1年としている6).
本稿は,周産期メンタルヘルスに関して,複数の異なる職種の立場から論じることで,現時点で必要な情報を網羅的に説明することを目的に,この領域の第一線で活躍している産科医,精神科医,公認心理師を演者として迎えた第119回日本精神神経学会学術集会でのシンポジウムの内容をまとめたものである.まず,第I章では,倉澤(産科医)がわが国の母子保健行政に関する内容を,第II章では,高橋(精神科医)が虐待に至る親の精神病理とマネジメントを,第III章では,根本(精神科医)が周産期の薬物療法,第IV章では,南(精神科医)が周産期の心理療法を,第V章では,相川(公認心理師)が周産期におけるコメディカルの役割について,それぞれ執筆している.なお,第IV章と第V章では『周産期メンタルヘルスコンセンサスガイド』に基づいた内容を中心に記述しているが,本ガイドは,2017年に初版が日本周産期メンタルヘルス学会によって発行されたものである.そのなかで心理療法に関連した内容は,当時の日本における統合的なエビデンスや一貫して効果の確認された技法が少ないという判断から,英国国立保健医療研究所(National Institute for Health and Care Excellence:NICE)のガイドラインをもとに概観したものに過ぎなかった34).その後,精神療法におけるエビデンスが蓄積されてきたことから,2023年改訂版では,認知行動療法,マインドフルネス,対人関係療法の各療法に関して取り上げている35).
I.健やかな親子関係を醸成するために
1.わが国の母子保健行政の変遷
わが国における母子保健施策は,かつては『児童福祉法』の一部として行われてきたが,1965年に『母子保健法』が制定され現在に至っている.本法は,母子保健の向上に関する措置として,妊産婦・乳幼児健康診査,妊産婦・新生児などの訪問指導や妊娠の届け出・母子健康手帳の交付などが規定されている.
1990年代までの母子保健施策は,乳児死亡・妊産婦死亡率の改善に主眼がおかれており,これらについてはおおむね目標が達成されたといえよう.しかし,近年は女性の社会進出などにより子どもを産み育てる環境が変化しており,核家族化,少子化,晩婚化・晩産化も相まって妊産婦が安心して妊娠・出産・子育てするには課題が複雑化しており,十分な手当てがなされているとはいえない.実は,少子化問題が社会に認知される以前の1990年代より政府は少子化対策としてエンゼルプランを策定し解決を図っていたが,残念ながら現在に至るまで合計特殊出生率は低下の一途をたどっている.その後,新エンゼルプラン,健やか親子21,子ども・子育て応援プラン,少子化社会対策大綱などを次々に策定し,2015年には『子ども・子育て支援法』が施行され,現在はその成果が期待されているところである.しかしながら,社会環境の変化のスピードは凄まじく,妊産婦に対するタイムリーで適切な施策が講じられているとはいいがたく,晩婚化・晩産化もあり育児の孤立化などによる妊産婦や乳幼児を取り巻く環境は一層過酷になっている.死亡診断書(死体検案書)に後発妊産婦死亡(妊娠中または妊娠終了後満42日以降1年未満の死亡)が記載されるようになってはじめて「令和5年版自殺対策白書」に妊産婦の死亡が記載されたが,2022年における妊産婦の自殺を状況別(妊娠中・産後別)にみると,妊産婦は65人であり,30歳代が32人と最も多く,次いで20歳代が22人,40歳代が11人であった.また,妊娠中の18人のうち20歳代が12人で最多であり,産後1年以内の47人のうち30歳代が28人で最多であった21).
わが国の妊産婦に対する社会的な支援は,諸外国と比べても潤沢とはいえないことは,社会保障費における家族支出をみても明らかである.2016年に公表された世界経済フォーラムによると,日本では高齢者47.3%,家族5.4%であり,家族だけでみても,フランスでは9.2%,スウェーデン13.1%,イギリス16.7%となっている19).海外に目を向けてみると,わが国のジェンダーギャップ指数は146ヵ国中125位であり47),日本でも女性のためにさまざまな支援が可及的速やかに,かつ重点的に行われる必要がある.政策実行のためには多方面からの研究の推進も重要な課題であり,厚生労働科学研究費光田班では,社会的ハイリスク妊娠について多方面から検討を行っている20).この研究では,社会的ハイリスク妊娠を「さまざまな要因により,今後の子育てが困難であろうと思われる妊娠」と定義し,ハイリスクとなる要因として精神疾患や初産婦,予期せぬ妊娠,経済的困窮,産科合併症,産後の貧血などさまざまな因子が関与していることがわかった.そして,分娩取扱施設では,産後長期に外来継続診療を行うことが少なく,特に精神疾患を合併した女性の場合は産後3ヵ月で30%,産後1年でほぼ0%となっており,子育てを行う産婦に対する産婦人科医療施設のサポートは十分とはいえないことが明らかとなった.
2.産婦健診の始まりと行政サポート
母子健康手帳の交付は,行政の母子保健担当者が妊産婦に接触する最初の機会であり,近年は助産師や保健師といった専門職が個別に対応することが多い23).交付が妊娠後半や産後になることもあるが,9割以上は妊娠初期に届け出がなされ,妊婦の健康面のみならず社会経済的状況についても把握することが可能であり,切れ目のない支援の入り口ともいえる.近年は電子化の要望も大きいが,市区町村担当者としては,対面で独自に開発されたアセスメントシートや質問票などを活用して,個別対応することも重要視しており,個人に適した支援につなげていく試みがなされている.
妊婦健康診査は,段階的に公費負担回数が増えて2015年以降は,主に医療機関で妊娠期間のうち14回程度実施されている.『子ども・子育て支援法』に沿って厚生労働大臣が「妊婦に対する健康診査についての望ましい基準」を定めており,全国的におおむね同様のスケジュールで健康診査が行われている.妊娠年齢の上昇や医療の発達もあり,健診業務は複雑化しているのが現状であり,医療機関においてもメンタルヘルスの不調についてさまざまな角度からアプローチしていることが多い.行政でも医療機関でも保健指導を個別あるいは集団で行う機会が多くなっている.
一方,産婦健康診査(いわゆる産後健診)における公費負担は,これまでほとんどの市区町村で行われていなかった.『母子保健法』上は,「妊産婦」健康診査を行うとされているが,上記大臣告示の内容が「妊婦」健康診査となっていることも原因の1つかもしれない.そこで妊産婦の費用負担軽減,さらに産後メンタルヘルスケアの観点から一定の要件はあるものの,2017年度より産後2週間および1ヵ月の産婦に対する健康診査の助成が始まることとなった.ここでは,母体の身体的機能の回復や授乳状況のみならず精神状態の把握を実施することが義務化され,その結果についても市区町村に報告する設計になっている.これまで妊婦健康診査は,市区町村の行政サービスの一環として各種検査が行われており,検査結果の報告は一部を除いて行われていなかった.行政が結果を把握するということは,事業の評価や新たなプランの策定や実行のためにはきわめて重要である.「産婦健康診査」は,今後の子育てを地域で支えていくべきとの考えもあり,医療機関での負担が1つ増えるデメリットはあるが,結果を報告するようになった意義は大きい.
3.日本産婦人科医会の取り組み
日本産婦人科医会では,2011年より分娩取扱施設で「妊娠等で悩んでいる妊婦の相談窓口」などを設置し,増えつつある望まぬ妊娠やその後に起こる虐待事例に対応を試みてきた.これはまさに,わが国のかかえる周産期医療の問題点が,母体死亡や合併症などといった身体的支援から精神面でのケアに移行しつつある時期であった.しかし,0歳児の0日死亡事例でもわかるように,医療機関へのアクセスが問題となっていたことや,産婦人科医をはじめ多くの医療職が妊産婦の精神的な支援に慣れていないことが課題として指摘されていたことから,2015年に妊産婦の心のケアに関する知識や技術を学ぶべく,「母と子のメンタルヘルスフォーラム」を開催するに至っている.周産期メンタルヘルスプロジェクトと称して,拾い上げるべき妊産婦のスクリーニングとケア,教育・研修システム,行政や他科を交えた連携システムを構築することが目的であり,以降,試行錯誤と改善を重ねて現在に至っている.2021年には母子保健の現場で,助産師や保健師が日常的にしばしば使用している『妊産婦メンタルヘルスケアマニュアル』が4年ぶりに改訂され31),多くの産婦人科医の参考書となっている.そして,特に力を入れているのが「母と子のメンタルヘルスケア研修会」の開催である.この研修会では,すでにメンタルヘルスの介入がなされているようなリスクの高い対象に専門的な立場から介入を行うハイリスクアプローチではなく,すべての妊産婦を対象としたポピュレーションアプローチにより,リスクの有無は問わずすべての集団に働きかけてリスク低減をめざすための知識や対応を学ぶことを目標にしている.プログラムは目的により3段階に分かれており,入門編では「3つの質問票」を用いてメンタルヘルスのスクリーニングができるようになること,基礎編では精神障害の病態や治療についての理解を深め,支援が必要な妊産婦に対する傾聴と共感によるケアができるようになること,となっている.応用編は指導者講習としての位置づけで,多職種連携に関する実践的内容となっている.
II.子ども虐待における親の精神病理とマネジメント
子ども虐待のリスク因子の多くは周産期に確認することができる.子ども虐待予防のためには,周産期からの親の精神病理に関するアセスメントとマネジメントが重要である.
1.子ども虐待のリスク因子
子ども虐待のリスク因子は虐待の種類によって異なり,さらに親の年齢や学歴などの親因子,子どもの心身の障害などの子ども因子,離婚歴や社会経済状況などの家族因子などそれぞれの要素が影響しあい,非常に複雑で捉えづらいものとなっている.メタ解析や集団研究によると親因子が多く指摘されており,親のメンタルヘルス,ストレス,怒りや過敏性,低学歴,自尊心の低さのほか,社会経済状況,家庭内暴力などが挙げられている28)37)41).親因子のなかでもメンタルヘルスが最も強い相関を示しているという総説もある49).親のうつ病やアルコール,物質使用障害などの精神疾患が養育不全のリスクを有意に増加させるという報告7)や,周産期メンタルヘルスの問題は養育不全のリスクを上げるという報告3)がある.子ども虐待をする母親の98.5%が精神的愁訴をもち,その多くは親がアルコール依存症であったり,離婚,家庭内暴力などのある混乱した家庭の出身だったり,被虐待歴をもつというわが国の報告もある40).世代間伝達については,母親の身体的被虐待歴が母親の社会的孤立と攻撃的な反応を媒介し子ども虐待と関連しているという報告がある4).
2.子ども虐待による死亡事例より
こども家庭庁の「こども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第19次報告)」18)によると,2021年度1年間の心中以外の虐待死は50人で,そのうち48%の24人が0歳である.妊娠期・周産期の問題については,若年(10歳代)妊娠(14%),遺棄(14%),計画していない妊娠(32%),妊婦健康診査未受診(28%),母子健康手帳未発行(18%)などの問題が一定の割合で認められている.心中以外の虐待死の実母の心理的・精神的問題について,養育能力の低さ,育児不安,知的障害などの問題解決能力の低さ,不安抑うつ状態,衝動性や怒りのコントロール不全などの感情調整の問題が高い割合で認められる.心中による虐待死では育児不安,抑うつ状態が高い割合となっており,精神障害の割合も33.3%と高く,その64%が気分障害となっており,抑うつが中心の病態のようである18).
3.親の精神的問題からみた子ども虐待のリスク因子と保護因子
子ども虐待のリスク因子として挙げられている横断的な親の精神的問題を暫定的に分類する.(i)若年,知的障害,養育能力の低さ,育児不安など問題解決能力の低い一群,(ii)離婚,被虐待歴,衝動性,攻撃性などの問題を有する一群,(iii)妊婦健診未受診,母子手帳未発行,計画していない妊娠などの一群などがあり,これらは重複する.(ii)においては対人不信や対人関係を維持することの困難さ,感情調整の困難さなどが存在するかもしれない.(iii),あるいは妊娠中の飲酒・喫煙の問題などにおいては児への愛着の乏しさが伺える.
さらに直接的なストレスとして家庭内暴力や社会経済状況(貧困)などがあると,これらの親の精神的問題と相互に作用して子ども虐待のリスクが上昇する可能性がある.子ども虐待の最大の保護因子である周囲のサポート44)49)により子ども虐待のリスクが低下することが考えられるが,上記に述べた親の精神的問題により起こりうる社会的孤立は周産期からの支援を阻害する可能性がある.
また,精神疾患により判断力の低下などが起こり,虐待に至る事例もあるが,既存の精神疾患そのものが子ども虐待の直接的なリスクになるというよりは,親の精神的問題や直接的なストレス,社会的孤立などの虐待リスク因子の影響から精神疾患を発症している場合もある.
4.アセスメントとマネジメント
防衛医科大学校病院の子どもの安全委員会(Child Protection Team:CPT)では,2013年から2020年までの間に276例が報告され,その6割で事例検討会を実施した.虐待が生じた事例,疑われる事例,特定妊婦などを対象としており,そのうち7割を特定妊婦が占めている42).CPTの精神科医は当事者および家族の精神医学的評価を行っている.精神疾患の診断や治療内容に加えて,家族メンバー個々の特性や生育歴,対人関係をわかる範囲で確認し,各個人の不安耐性や衝動性,対人関係特性,家族病理などについて評価している.事例検討会においては事例の生活史を時系列にまとめ,精神病理について見立て・仮説を立てる.三世代まで入るジェノグラムを作成し,知りえた情報を書き込むことで関係性理解に努めている.多職種の支援者により介入の必要性や方法について検討し,継続的な支援関係を結ぶために必要な事例理解を共有している.
同院での経験をもとに,特定妊婦,特に対応に難渋する介入拒否傾向のある妊婦や未治療精神病圏妊婦のマネジメントについて以下に述べる.まず関係各所との連携は必須である.各部署により評価可能な項目が異なり,緊急性に応じて事例検討会を実施する.切迫早産などの身体的緊急性,幻覚妄想状態,希死念慮などの精神的緊急性などは早急に評価する必要がある.精神病状態などにより自己決定能力が損なわれていると評価されるときは非自発的入院も検討する.同時に支援体制や養育能力を評価し,子ども虐待のリスク評価を行う.事例検討会を実施した際には上記のような精神医学的アセスメント(見立て・仮説を含む)を共有する.次に関係性の維持・強化に努める.産婦人科主治医や精神科主治医,行政担当者との関係性の維持はきわめて重要な要素である.まずは安全な分娩をめざし,本人への批判や叱責は厳に慎む.極力共感的に生活歴を聴取し,支持に努める.最後に,必要に応じて家族の支援や公的サポートの強化を図るように努める.
以上のように,周産期からの子ども虐待の予防には精神科医が重要な役割を果たす.精神科医の積極的な周産期診療への参加,患者,医療者の周産期メンタルヘルスリテラシーの向上が求められる.
III.ガイドラインにみる周産期の薬物療法
精神科に通院している患者から「妊娠しましたが薬はどうしたらいいですか?」と質問されて当惑した経験のある精神科医は少なくないであろう.近年,周産期メンタルヘルスに関してのガイドラインが充実してきている.ここでは,主に統合失調症,うつ病,双極症に焦点をあてて一部のガイドラインを紹介する.
1.統合失調症
統合失調症は,疾患そのものが妊娠に与える影響は明らかではない.しかし,統合失調症に罹患していることによる二次的な社会機能の低下が分娩合併症のリスクを高めることが指摘されている26).統合失調症を有している女性は産後の精神症状が増悪しやすいことも知られている29).
抗精神病薬が妊娠に及ぼす影響としては,抗精神病薬は第一世代・第二世代抗精神病薬ともに胎児の先天異常のリスクを有意に増やさないことが示されている13).一方,妊娠中の抗精神病薬内服が妊娠糖尿病のリスクを増やすことが示されている22).なお,わが国ではハロペリドール,ブロムペリドールは妊娠に禁忌となっていることに留意する必要がある.
授乳に関してであるが,抗精神病薬は児の母乳からの薬剤摂取は治療量の10%に満たないことが大半であり,大半の薬剤で薬物治療と母乳栄養の両立が可能と考えられている.これらの知見を受けて,現在,多くの添付文書が「治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し,授乳の継続又は中止を検討すること」と改訂されてきている.しかし,依然として「授乳中の婦人に投与する場合には,授乳を中止させること」となっているものもある.このことから添付文書とエビデンスに乖離がある場合にはどちらも示しつつ,患者と共同意思決定を行うことが好ましい.
これらから『統合失調症薬物治療ガイドライン2022』では,統合失調症患者に対しては,妊娠中・授乳中であっても抗精神病薬の治療を継続することを推奨している32).
2.うつ病
うつ病自体が一般的な産科合併症のリスクを上げるかということについては,統一した見解は得られていない.一方,うつ病を治療しないことによる早産・胎児発育不全のリスク増加の報告があり,抑うつ状態が胎児の発育に影響を与える可能性が指摘されている15).
抗うつ薬の催奇形性に関しては,選択的セロトニン再取り込み阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitor:SSRI)と催奇形性についての研究が多い.大規模コホート研究によると,妊娠第1三半期のSSRI投与により心奇形のリスクが上昇するが,対照者をうつ病患者でSSRIを内服していない者とし,さらに交絡因子を調整すると,心奇形の有意なリスク増加はみられなかった12).その他にも共変量を考慮すると,SSRIの内服は大奇形や心奇形のリスクを大きく増加させることはないという結果が示されている.SSRI以外についてもサンプルサイズは小さいものの催奇形性が有意に増加するという報告はない.
妊娠中の抗うつ薬使用と児の自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder:ASD)および注意欠如・多動症(attention dificit activity disorder:AD/HD)のリスクとの関連について複数のメタ解析が行われ,共変量を考慮すると,抗うつ薬とASD,AD/HDのリスク増加には関連がないことが示されている24).授乳であるが,一般に,抗うつ薬は乳汁移行が低く,授乳中の使用は安全と考えられている.
以上をまとめて『周産期メンタルヘルスコンセンサスガイド2023』では,「妊娠中に発症あるいは再燃・再発したうつ病患者の薬物療法については,重症度に応じて,抗うつ薬使用を考慮することが勧められる」としている35).
3.双極症
気分安定薬が妊娠に与える影響は大きい.炭酸リチウムは先天性心疾患の発生率が上昇することが知られており,わが国では添付文書上,禁忌となっている.しかし,近年のメタ解析では,リチウムは第1三半期に600 mg/日以下ではリスクは上昇していなかった10).英国NICEガイドラインでは,「リチウムを使用している場合,以下の3つの選択肢を考慮する.1.抗精神病薬に変薬する.2.第1三半期はリチウムを休薬し,それ以降にリチウムを再開する.3.リチウムしか効果がない場合はリチウムを継続する」となっている30).カナダのCANMATガイドラインにおいては「近年のデータでは,リチウムのリスクは過剰評価されていた可能性がある」となっており,国際的にリチウムのリスクは以前ほど高くないと評価されてきている5).これらをふまえて,『日本うつ病学会診療ガイドライン双極症2023』では,「リチウムは,第二世代抗精神病薬など他の治療薬が効果的でない場合を除いて,使用しないことを弱く推奨する」となっている36).バルプロ酸は先天異常のリスクがベースラインの約3倍に高まることが示されている45).また,大奇形だけでなく,児の発達にも影響を引き起こすことが知られている46).これらから,妊娠可能年齢の双極症の女性にはバルプロ酸の使用は避けるべきである.カルバマゼピンも形態学的先天異常が知られているが,用量依存性がある.ラモトリギンに関しては先天異常のリスクは増加しない.なお,カルバマゼピンもラモトリギンも児の発達の遅れは認められない.
授乳に関しては,バルプロ酸,カルバマゼピンは乳汁移行性が低く,児に有害事象が出る可能性は低い.また,リチウム,ラモトリギンは,乳汁移行性はバルプロ酸やカルバマゼピンに比べると相対的に高いものの,児の血中濃度は一定程度に保たれ,重篤な有害事象の報告は少ない.このため,『日本うつ病学会診療ガイドライン双極症2023』では,「産後(授乳婦を含む)の双極性障害の患者に対しては,授乳中であっても気分安定薬を使用することを弱く推奨する」となっている36).
IV.周産期の心理療法の今後の展望
冒頭でも述べたように『周産期メンタルヘルスコンセンサスガイド2023』35)では,心理療法のCQが追加された.ここでは,このコンセンサスガイドに沿って3つの心理療法について解説をし,今後の周産期心理療法の展望について論じる.
1.認知行動療法
認知行動療法(Cognitive behavioral therapy:CBT)とは,患者が現在かかえている問題に焦点をあて,認知(考え方)や行動へ働きかけることで,患者が自分自身で困難を乗り越えられるよう支援する心理療法である35).周産期の軽度~中等度の抑うつ・不安に対してCBTは効果が十分に示されており,強く推奨されている35).周産期のCBTは,各研究グループが周産期に適したプログラムを開発しており,回数などや実施方法はさまざまで,標準的なCBTよりも短期間で回数が少ない傾向にある.注目すべき点として,心理職だけではなく短期間のトレーニングなどを受けた助産師,看護師,保健師などの非心理職によるCBTプログラムが多く行われており,十分に効果を示している.Li,X.らのメタアナリシスによると,介入実施者が,専門家vs非専門家で,短期的な抑うつへの効果における差を認めていない25).今後,わが国でも助産師や保健師が通常業務として行う保健指導や訪問ケアに,簡易CBTを組み合わせ導入していくと効率的なケアにつながる可能性がある.ただし,わが国での非専門家による低強度CBTについては,トレーニングや実施環境の整備など,今後の発展が期待される.周産期の抑うつ・不安に悩む女性は,その精神症状および治療を求めることに抵抗感を示し,自ら求めず,適切な支援へつながることが難しい傾向がある8)27).セルフヘルプによるCBTは物理的にも心理的にもアクセスしやすく,コストの点においても有用性が高い.複数のRCTではインターネットを用いたCBT(Internet-based CBT:iCBT)は周産期の抑うつと不安に効果が示されたが,先述のメタアナリシスでは,ガイドなしの周産期CBTは,不安に対しては有意な効果を認めたが抑うつ症状への効果は有意差を示せておらず25),今後のさらなる研究やプログラム開発が望まれる.
2.マインドフルネス
マインドフルネスとは,「今ここで生じる体験に,意図的に,その瞬間に,評価や判断を加えることなく注意を向けることで生じる気づき」を意味する心理的態度・状態と,それを高める瞑想やヨーガといった特定の心身修養法から構成されるプログラムを指す言葉である34).
周産期の軽度~中等度の抑うつ・不安の予防および低減に対するマインドフルネスの有効性が示されているが,いまだ論文数が少なく,弱く推奨されている35).Mindfulness-Based Childbirth and Parenting Program(MBCP)は,8週間のMindfulness Based Stress Reduction(MBSR)に妊娠・出産の内容を加えた,3時間×9週間のプログラムである.妊娠・出産に続く育児においても役立つレジリエンスを身につける助けになるとしている.台湾で行われたRCTでは,妊娠13~28週の一般の妊婦(精神病症状の既往・母体または胎児の合併症を有する者は除外)を対象に8週間に修正したMBCPを施行し通常ケア群と比較したところ,妊娠36週時点において,ストレスと抑うつ症状が有意に低く,出産の自己効力感とマインドフルネススコアが有意に高いことが示された38).このように,マインドフルネスによる介入は,ハイリスク群に限らず,一般妊産婦に対してもポジティブな効果が得られる可能性が示唆され,母子保健における一次予防としての活用も期待される.プログラムは8週間程度のものが多いが,短期間の集中的なプログラム(2.5日)でも抑うつ症状が低減したとの報告があり9),それぞれの妊産婦に合わせた実施方法での効果も期待される.
3.対人関係療法
対人関係療法(Interpersonal Psychotherapy:IPT)とは,治療初期に選択された問題領域における「現在の対人関係」に治療の焦点をあてることで症状改善をめざす,うつ病を対象として開発された精神療法である.周産期は大きな役割の変化の時期であり,その際には重要他者との不和をかかえることも多く,IPTが役立つ可能性がある35).周産期の軽度~中等度の抑うつ・不安に対するIPTによる治療や予防の有効性は十分に示されているが,日本では提供できる施設が限られていることも加味し,弱く推奨されている35).Interpersonal Psychotherapy for perinatal Depression(IPT-P)はIPTを周産期うつ用に修正した治療法で,対人関係に関する情報収集の際に重点をおく点や選択される問題領域が特徴的である.例えば,産後うつに対するIPTでは,対人関係に関する情報収集の際,乳児・パートナー・患者自身の家族・パートナーの家族・友人との関係性に重点をおく必要がある.個人療法のみならず,集団療法(Group Interpersonal Psychotherapy:IPT-G)も効果がみられる.IPT-Gは対象者同士の精神的支え合いにより,治療の脱落率を抑えることが期待でき,治療後2年間のうつ病の再発が防がれたという報告もある39).海外では産科などの医療機関や行政機関などでIPT-Gが多く実施されている.
4.周産期の心理療法の展望と課題
周産期の心理療法はいまだシステムやアクセスの点において十分に整備されていない.周産期の心理的ケアはWHOにより母子保健におけるステップドケアが提唱されている48).妊産婦に精神的不調を認めた際にはリスクと重症度を分類し,ハイリスクまたは重症な妊産婦には高強度な介入を提供し,軽症以下の妊産婦には低強度な介入やセルフヘルプを通じた支援を行うことにより,効率的で効果的な予防および治療が可能となる仕組みである.このステップドケアをわが国の妊産婦の支援に適用する場合,周産期の抑うつ・不安にエビデンスを有する心理療法を,各対象に応じて取り入れることが有用であると考えられる.例えば,まだ精神症状を有さない妊産婦に対して予防的なアプローチとして,CBTの周産期に特化したセルフヘルプ資材の提供や妊産婦向けのマインドフルネスに参加できる機会の提供が役に立つ可能性がある.また一時的や軽度な精神不調を有する妊産婦に対して母子保健にかかわる助産師・看護師・保健師などから低強度(例えば数回で完結するものや集団療法など)な心理療法を広く提供できれば,適切なタイミングで効率的に介入が行えるであろう.中等度以上の精神不調に対しては精神科医と相談のもと,心理職などの専門家による高強度のCBTまたはIPTの提供が望ましい.このように精神不調を有する妊産婦のすべてが高強度の心理療法を要するわけではなく,リスクと重症度が高くない妊産婦向けに広く低強度のCBTを提供することはコストとベネフィットの双方でメリットがあると考える.ただし,これらを実現するためには,周産期にかかわる多職種が心理的介入技法を習得するための教育機会の拡充が急務である16).そのうえで,母子保健領域でのステップドケアに基づく介入システムの整備が最も重要な課題となる.さらに,より効果的なセルフヘルプ資材の開発が望まれる.このようにステップドケアに基づき効率的に心理的ケアを妊産婦に届けることが可能になれば,妊産婦やその家族だけではなく,次世代にも良い影響が及ぶことが期待される.
V.周産期メンタルヘルスケアにおけるコメディカルの役割
周産期における心理療法は,心理専門職以外でも実践できる可能性があるのは前述したとおりである.ここでは,周産期メンタルヘルスケアにおける看護職および心理職といったコメディカルの役割について提示し,続けて済生会横浜市東部病院の取り組みを紹介する.
1.看護職(助産師・看護師・保健師)に期待される役割
『周産期メンタルヘルスコンセンサスガイド2023』35)においてメンタルケアを担う人材として看護職が示されるなど,精神科医療に抵抗感のある妊産褥婦にも自然にかかわれる看護職は周産期メンタルヘルスケアを担う役割を期待されている.妊産褥婦は,社会や個人のスティグマ,薬物の催奇形性や母乳移行性リスクなどへの恐れから,精神科などの専門的加療にはつながりにくいことがわかっている9).そして症状コントロールの不良のままで悪化してしまうと,母子や家族にとってかけがえのない時期に家族の絆を形成することが阻害され,子どもの認知・社会的情緒発達への悪影響など,多くの有害なアウトカムに関連してしまう11)17).そのため,うつ病,不安障害,死産,新生児死亡,乳幼児疾患などさまざまな状況に対して,助産師による心理的健康の評価と情緒的支援を行うことは,国際助産師連盟によって必須の能力としても示されている14).しかし,看護職側から考えると,メンタルケアを提供する以前に,母親の出産年齢の上昇や肥満割合の増加など,出産にまつわる多様性や複雑性が増しているため,すでに看護職の仕事量は増大している.また,周産期に従事する看護職にとって,メンタルケアや精神疾患合併妊産婦への対応は専門ではなく,戸惑いや心理的負担が大きいことが推測される.2018年に実施された臨床助産師を対象としたフォーカスグループインタビュー調査でも,助産師はスクリーニングツールの適切な使用方法がわからないことから,相談先が少ない心もとなさ,役に立っていない自責感までが表出された2).そのうえで改めて,身体的ハイリスクを含む妊産婦のケアに追われる医療現場を考えると,実際に臨床の看護職が各心理療法のトレーニングを受け臨床で実施するには,面接時間が短い簡易版であってもさまざまな障壁があることが予測される.また,保健師は,地域全体および地域の人々の健康の保持・増進をはかり,健康状態を認識し行動変容をはかることができるよう活動する専門職である.そのため,母子保健活動もすべての母子を対象としたポピュレーションアプローチを基本とし,母子健康手帳交付時の全数面接から,出産後は『母子保健法』に基づく新生児訪問指導や,『児童福祉法』に基づく乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)などの活動を通じて,健康水準の向上をめざす役割を担っている.包括的な支援をしつつハイリスク妊産婦へのきめ細かな対応を併行して求められる活動は,保健師にとっても負担が増していると思われる.そのため,心理職が周産期メンタルヘルスケアを担うメンバーの一員となり,さまざまな障壁の低減やスムーズな多職種連携に寄与していくことができることが望ましいと考える.
2.心理職に期待される役割
公認心理師は,2015年に成立した『公認心理師法』に基づく,心理職の国家資格である33).それ以降は原則として,診療報酬上評価する心理職の範囲が「公認心理師」に統一された43).ただ,心理相談やカウンセリングといった業務そのものに保険点数の項目はないことが多く,周産期メンタルヘルスケア領域でもまだできていないため,所属する組織の収益に寄与する専門職として認知されるまでには,まだまだ議論や時間が必要かと思われる.しかし,看護職がスキルを習得しやすい環境づくりのため,心理療法に関する教育・研修を共に企画実施する,医療者がメンタルヘルスケアを提供した際はその相談に乗る,医師や看護職が各々の専門業務に専念すべき場面ではメンタルヘルスケアは心理職が担うなど,臨機応変に心理職が分担できる場面はあると考えられる.
3.済生会横浜市東部病院の取り組み
済生会横浜市東部病院では,ペアレンティング・サポート委員会が設置され,院内外の多職種で連携し,チーム医療として周産期におけるメンタルケアを提供できるよう活動している1).なお,チーム医療の構成員は,医師(産科医・精神科医・新生児科医),看護職(助産師・看護師・保健師),コメディカル(心理職,薬剤師,ソーシャルワーカー)から成り立っている.
同院でチーム医療を提供する場合はまず,妊娠中の健診ですべての妊婦に助産師が面接を行い,その結果,専門的なメンタルケアが必要と判断したケースの人には「心理師にお話だけでもしてみませんか」という紹介をし,本人や家族の承諾が得られた場合は,心理職が個別に面接を実施している.話すだけで気持ちが楽になるケースもあれば,医師の診察と服薬などの加療が必要な妊産婦もおり,その場合は精神科医や薬剤師,ソーシャルワーカーとも協働していくこととなる.このような活動を続けるなかで,心理職の役割は本人や家族の,混乱や途方に暮れる気持ちに寄り添いつつ,必要な専門医療への橋渡しをしながら伴走し,できるだけ安定した状態で出産や子育てに臨めることを共にめざすことだと考えられる.
4.心理職が配慮すべきこと
周産期領域を専門とする心理職はまだ少数ではあるが,チームに心理職が入ることで,メンタルヘルスケアが専門ではない職種も安心して,保証を得ながら患者対応・支援ができるための後方支援となり,身体科の医療者が本来の業務に専念できるためのタスクシフト先にもなれるのではと考えられる.そのために心理職側が配慮すべきことは,心理面接で何が行われているかわかりにくい「閉じた個人臨床」から,ケースを通じたやり取りやわかりやすい見立ての伝え方などを工夫し「業務の透明化」を図ること,またチーム医療への関与,多職種カンファレンスへも積極的に参加することで,周産期多職種チームでも心理職が認知され,患者家族や他の専門職から「まずちょっと心理師さんに相談してみよう」というような,アクセスしやすい存在になっていくことが望まれる.
おわりに
産科医,精神科医,公認心理師といった,異なる立場からみた周産期メンタルヘルスの今後の発展すべき方向性について論じた.変わりゆく社会情勢のなかでの周産期に対する行政の動き,周産期に確認できるとされる子ども虐待のリスク因子の評価とそのマネジメント,最新のガイドラインに基づく周産期の薬物療法,周産期における心理療法の有効性,そして周産期におけるコメディカルの役割について,網羅的に把握することができ,さまざまな視点からの理解が進んだものと考えている.本稿が,周産期メンタルヘルスに関する精神科医のリテラシー向上につながることを願っている.
利益相反
筆頭著者の竹内崇は武田薬品工業株式会社より講演料を,共著者の根本清貴は大塚製薬株式会社より講演料を受理している.上記に記載のない著者については,本論文に関連して開示すべき利益相反はない
1) 相川祐里: 母親を中心とした「ペアレンティング・サポート」〈助産師〉. 子どもを虐待から護る (上野昌江編, Nursing Todayブックレット3). 日本看護協会出版, 東京, p.32-43, 2019
2) 相川祐里, 片岡弥恵子, 小黒道子: 助産師が抱えるメンタルヘルススクリーニングにおける困難―質的記述的研究―. 聖路加看護学会誌, 27; 42-51, 2023
3) Ayers, S., Bond, R., Webb, R., et al.: Perinatal mental health and risk of child maltreatment: a systematic review and meta-analysis. Child Abuse Negl, 98; 104172, 2019![]()
4) Berlin, L. J., Appleyard, K., Dodge, K. A.: Intergenerational continuity in child maltreatment: mediating mechanisms and implications for prevention. Child Dev, 82 (1); 162-176, 2011![]()
5) Canadian Network for Mood and Anxiety Treatments (https://www.canmat.org/) (参照2024-05-31)
6) Chin, K., Wendt, A., Bennett, I. M., et al.: Suicide and maternal mortality. Curr Psychiatry Rep, 24 (4); 239-275, 2022![]()
7) De Bellis, M. D., Broussard, E. R., Herring, D. J., et al.: Psychiatric co-morbidity in caregivers and children involved in maltreatment: a pilot research study with policy implications. Child Abuse Negl, 25 (7); 923-944, 2001![]()
8) Dennis, C. L., Chung—Lee, L.: Chung-Lee, L.: Postpartum depression help-seeking barriers and maternal treatment preferences: a qualitative systematic review. Birth, 33 (4); 323-331, 2006![]()
9) Duncan, L. G., Cohn, M. A., Chao, M. T., et al.: Benefits of preparing for childbirth with mindfulness training: a randomized controlled trial with active comparison. BMC Pregnancy Childbirth, 17 (1); 140, 2017![]()
10) Fornaro, M., Maritan, E., Ferranti, R., et al.: Lithium exposure during pregnancy and the postpartum period: a systematic review and meta-analysis of safety and efficacy outcomes. Am J Psychiatry, 177 (1); 76-92, 2020![]()
11) Glasheen, C., Richardson, G. A., Fabio, A.: A systematic review of the effects of postnatal maternal anxiety on children. Arch Womens Ment Health, 13 (1); 61-74, 2010![]()
12) Huybrechts, K. F., Palmsten, K., Avorn, J., et al.: Antidepressant use in pregnancy and the risk of cardiac defects. N Engl J Med, 370 (25); 2397-2407, 2014![]()
13) Huybrechts, K. F., Straub, L., Karlsson, P., et al.: Association of in utero antipsychotic medication exposure with risk of congenital malformations in Nordic countries and the US. JAMA Psychiatry, 80 (2); 156-166, 2023![]()
14) International Confederation of Midwives: Essential Competencies for Midwifery Practice (https://internationalmidwives.org/resources/essential-competencies-for-midwifery-practice/) (参照2024-02-16)
15) Jarde, A., Morais, M., Kingston, D., et al.: Neonatal outcomes in women with untreated antenatal depression compared with women without depression: a systematic review and meta-analysis. JAMA Psychiatry, 73 (8); 826-837, 2016![]()
16) 蟹江絢子, 久保田智香, 中嶋愛一郎ほか: 周産期におけるメンタルヘルスの不調に対する認知行動療法に基づく支援. 精神経誌, 123 (11); 746-753, 2021
17) Kingston, D., Tough, S., Whitfield, H.: Prenatal and postpartum maternal psychological distress and infant development: a systematic review. Child Psychiatry Hum Dev, 43 (5); 683-714, 2012![]()
18) こども家庭庁: こども虐待による死亡事例等の検証結果等について (第19次報告) (https://www.cfa.go.jp/councils/shingikai/gyakutai_boushi/hogojirei/19-houkoku/) (参照2024-01-08)
19) 国立社会保障・人口問題研究所: 平成26年度社会保障費用統計 (https://www.ipss.go.jp/ss-cost/j/fsss-h26/fsss_h26.asp) (参照2025-07-21)
20) 厚労科研科学研究厚生労働科学研究費補助金疾病・障害対策研究分野成育疾患克服等次世代育成基盤研究「妊婦健康診査および妊娠届を活用したハイリスク妊産婦の把握と効果的な保健指導のあり方に関する研究」(研究代表者: 光田信明). 2017 (https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/26434) (参照2025-02-09)
21) 厚生労働省: 令和4年の詳細な自殺の状況令和5年版自殺対策白書 (https://www.mhlw.go.jp/content/r5hs-1-1-04.pdf) (参照2024-05-26)
22) Kucukgoncu, S., Guloksuz, S., Celik, K., et al.: Antipsychotic exposure in pregnancy and the risk of gestational diabetes: a systematic review and meta-analysis. Schizophr Bull, 46 (2); 311-318, 2020![]()
23) 倉澤健太郎: 妊産褥婦に対する社会のサポートシステム. 妊産褥婦メンタルケアガイドブック―自殺企図, うつ病, 育児放棄を防ぐために―(日本臨床救急医学会「自殺企図者のケアに関する検討委員会」監). へるす出版, 東京, p.31-37, 2021
24) Leshem, R., Bar-Oz, B., Diav-Citrin, O., et al.: Selective serotonin reuptake inhibitors (SSRIs) and serotonin norepinephrine reuptake inhibitors (SNRIs) during pregnancy and the risk for autism spectrum disorder (ASD) and attention deficit hyperactivity disorder (ADHD) in the offspring: a true effect or a bias? A systematic review & meta-analysis. Curr Neuropharmacol, 19 (6); 896-906, 2021![]()
25) Li, X., Laplante, D. P., Paquin, V., et al.: Effectiveness of cognitive behavioral therapy for perinatal maternal depression, anxiety and stress: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Clin Psychol Rev, 92; 102129, 2022![]()
26) Matevosyan, N. R.: Pregnancy and postpartum specifics in women with schizophrenia: a meta-study. Arch Gynecol Obstet, 283 (2); 141-147, 2011![]()
27) Moore, D., Ayers, S., Drey, N.: A thematic analysis of stigma and disclosure for perinatal depression on an online forum. JMIR Ment Health, 3 (2); e18, 2016![]()
28) Mulder, T. M., Kuiper, K. C., van der Put, C. E., et al.: Risk factors for child neglect: a meta-analytic review. Child Abuse Negl, 77; 198-210, 2018![]()
29) Munk-Olsen, T., Laursen, T. M., Pedersen, C. B., et al.: New parents and mental disorders: a population-based register study. JAMA, 296 (21); 2582-2589, 2006![]()
30) National Institute for Health and Care Excellence: Antenatal and postnatal mental health: clinical management and service guidance (https://www.nice.org.uk/guidance/cg192) (参照2024-05-31)
31) 日本産婦人科医会: 妊産婦メンタルヘルスケアマニュアル―産後ケアへの切れ目のない支援に向けて―改訂版. 日本産婦人科医会, 東京, p.70-126, 2021
32) 日本神経精神薬理学会, 日本臨床精神神経薬理学会編: 統合失調症薬物治療ガイドライン2022. 医学書院, 東京, 2022
33) 日本心理研修センター: 公認心理師の都道府県別登録者数2024年度 (https://www.jccpp.or.jp/download/pdf/number_of_registered.pdf) (参照2024-02-16)
34) 日本周産期メンタルヘルス学会: 周産期メンタルヘルスコンセンサスガイド2017 (http://pmhguideline.com/consensus_guide/consensus_guide2017.html) (参照2024-01-18)
35) 日本周産期メンタルヘルス学会: 周産期メンタルヘルスコンセンサスガイド2023 (http://pmhguideline.com/consensus_guide2023/consensus_guide2023.html) (参照2024-01-18)
36) 日本うつ病学会監, 気分障害の治療ガイドライン検討委員会, 双極性障害委員会編: 日本うつ病学会診療ガイドライン双極症2023. 医学書院, 東京, 2023
37) O'Donnell, M., Nassar, N., Leonard, H., et al.: Characteristics of non-aboriginal and aboriginal children and families with substantiated child maltreatment: a population-based study. Int J Epidemiol, 39 (3); 921-928, 2010![]()
38) Pan, W. L., Gau, M. L., Lee, T. Y., et al.: Mindfulness-based programme on the psychological health of pregnant women. Women Birth, 32 (1); e102-109, 2019![]()
39) Reay, R. E., Owen, C., Shadbolt, B., et al.: Trajectories of long-term outcomes for postnatally depressed mothers treated with group interpersonal psychotherapy. Arch Womens Ment Health, 15 (3); 217-228, 2012![]()
40) 斎藤 学: 虐待する親とはどんな人たちか. 子どもの虐待とネグレクト, 5 (1); 98-105, 2003
41) Stith, S. M., Liu, T., Davies, L. C., et al.: Risk factors in child maltreatment: a meta-analytic review of the literature. Aggress Violent Behav, 14 (1); 13-29, 2009
42) 高橋明美: 特定妊婦との出会いと援助―医療機関と地域の保健福祉機関との連携―. 保健師ジャーナル, 76 (5); 362-367, 2020
43) 津川律子: 日本における心理臨床に関する資格の歴史と現状. 心理臨床における法と倫理 (津川律子, 元永拓郎編). 放送大学教育振興会, 東京, p.229-230, 2017
44) van IJzendoorn, M. H., Bakermans-Kranenburg, M. J., Coughlan, B., et al.: Annual research review: umbrella synthesis of meta-analyses on child maltreatment antecedents and interventions: differential susceptibility perspective on risk and resilience. J Child Psychol Psychiatry, 61 (3); 272-290, 2020![]()
45) Veroniki, A. A., Cogo, E., Rios, P., et al.: Comparative safety of anti-epileptic drugs during pregnancy: a systematic review and network meta-analysis of congenital malformations and prenatal outcomes. BMC Med, 15 (1); 95, 2017![]()
46) Veroniki, A. A., Rios, P., Cogo, E., et al.: Comparative safety of antiepileptic drugs for neurological development in children exposed during pregnancy and breast feeding: a systematic review and network meta-analysis. BMJ Open, 7 (7); e017248, 2017![]()
47) World Economic Forum: Global Gender Gap Report 2023 (https://www3.weforum.org/docs/WEF_GGGR_2023.pdf) (参照2024-10-30)
48) World Health Organization: WHO guide for integration of perinatal mental health in maternal and child health services. 2022 (https://www.who.int/publications/i/item/9789240057142) (参照2024-02-03)
49) Younas, F., Gutman, L. M.: Parental risk and protective factors in child maltreatment: a systematic review of the evidence. Trauma Violence Abuse, 24 (5); 3697-3714, 2023![]()





