COVID-19罹患後症状は,急性期の症状が収束した後も持続または新たに現れるものを指す.その定義や呼称は一貫しておらず,コロナ後遺症やlong COVIDなどのさまざまな名称が使用される.これらの症状は多岐にわたり,その異質性から症状群として認識されることが一般的である.本稿では特に,罹患後症状における精神神経症状に焦点をあて,その臨床的特徴や分類,リスク因子や保護因子,流行と変異株ごとの特徴,現状の課題を整理する.さらに,国内における疫学研究や患者レジストリ研究からの最新の知見にも注目し,病態と治療に関する国内外の研究動向を概観する.ポストコロナと称される時代において,罹患後症状を長期的な視点で捉え,再考する意義を提唱する.
2)名古屋大学大学院医学系研究科精神医学分野
3)名古屋大学大学院医学系研究科精神疾患病態解明学
4)九州大学大学院医学研究院精神病態医学
https://doi.org/10.57369/pnj.25-015
受付日:2024年8月19日
受理日:2024年10月2日
はじめに
2023年5月に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態が終了し,日本では『感染症法』の5類感染症に引き下げられ,急性期の混乱は緩和された.一方,世界中で6,500万人以上のCOVID-19罹患後症状を有する患者がいると推定され12),罹患後症状がもたらす医療・社会・経済的問題の大きさはさまざまな疫学調査から明らかである.そのような状況のなか,2022年12月に米国と欧州連合が国際協力を促進するための会議を開催したように29),罹患後症状の研究は国際的かつ多面的な共同体制が必要不可欠であり,今後は長期的マネジメントを意識した取り組みに移行が求められている.
本稿では,ポストコロナと称される時代において,罹患後症状を再考する意義を唱える.まず,重要な疫学研究や臨床研究を概観し,罹患後症状の定義や疫学的特徴を整理する.それに関連する臨床的および研究上の課題についても触れる.次に,国内の研究動向や知見をまとめる.その後,罹患後症状の病態理解や研究の進展について詳述する.最後に,COVID-19に関連する精神症状に対するいくつかの有望な心理社会的プログラムを紹介し,今後の課題と展望について議論する.
I.COVID-19罹患後症状について
1.定義と呼称
COVID-19罹患後に,急性期の症状が回復したにもかかわらず持続する症状,あるいは新たに現れる症状を遷延症状や後遺症と表現されることがある.本稿では,厚生労働省の手引き81)に基づき,COVID-19罹患後症状または単に罹患後症状と統一して記載する.この症状の呼称が始まったのは,パンデミック初期に長期の症状を経験した患者団体が「long COVID」と名付けたことから始まる7).以降,国や組織によって定義や呼称が乱立していて,それらが同じ徴候や症状を示す場合もあれば,示さない場合もある.
一般的に急性期はおおむね4週間までとされ,罹患後症状はそれ以上経過した後も続く症状と広義に理解することができる9)55)69).期間以外の考慮として,罹患後症状が直接ウイルスの影響である場合をpost-acute sequalae of SARS-CoV-2 infection(PASC)と表現し,ウイルスによる間接的な影響も含める場合をpost-COVID-19 conditions(PCC)と区別する試みもある13).なお,PCCの略称は,アメリカ疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)が使用するpost-COVID conditionsと世界保健機関(World Health Organization:WHO)が使用するpost COVID-19 condition84)でも同様に使われるものの,それぞれの用語と定義が異なることに注意を要する.
2.臨床的特徴・分類と症状群の理解
罹患後症状は多岐にわたり,異質性も高いなか,どのように理解することができるだろうか.パンデミック初期に,203種類の罹患後症状の有病率の推定と,66種類の症状を7ヵ月にわたって調査したオンライン・アンケートの研究がある11).本研究では3,762名の解析の結果,感染半年後において最も頻度が高くみられた症状は倦怠感,労作後倦怠感(post-exertional malaise:PEM),認知機能障害(brain fog)であった.罹患後症状は経時的な変化に基づいて3つのクラスターに分類された.クラスター1は罹患初期に最も発生しやすく,数週間で発症率がピークに達し,その後,徐々に減少する症状で構成され,発熱,咳嗽,咽頭痛などの感冒症状が主体であった.クラスター2は時間の経過に対しておおむね横ばいで発症率が持続し,倦怠感,睡眠障害,頭痛,めまいなどの身体症状を伴う精神神経症状が含まれた.クラスター3は最初の2ヵ月で急激に発症率が増加し,その後持続する症状で構成され,PEM,聴覚障害,耳鳴り,brain fog,感覚障害などが代表的であった.すべてのクラスターには複数の臓器系の症状が含まれていた.
英国における大規模な診療データベースを用いた後方視的研究では,非入院患者のCOVID-19感染者486,149名と非感染者1,944,580名を対象に,傾向スコアマッチングを用いて115種類の症状を解析した.その結果,62種類の症状が罹患後症状と関連することが報告された86).罹患後症状は3つのクラスに分類され,80.0%がクラス1(痛み,倦怠感,発疹などの幅広い症状が主体),5.8%がクラス2(咳嗽,息切れ,痰が主体),14.2%がクラス3(抑うつ,不安,不眠,brain fogが主体)であった.症状が持続しない患者群と比較して,すべてのクラスで患者の社会経済的地位が低い傾向があり,女性が多くみられた.特に,精神神経症状を含むクラス3は,症状が持続しない患者群と比較して若年層に多くみられるという特徴があった.
米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)のRECOVER研究における9,764名の前向き縦断コホートを用いて感染者と非感染者の44種類の症状を比較し,PASCを同定するためのスコアリングシステムが開発された99).このシステムでは,12種類の症状に対して1から8点の範囲で点数が付与され,合計点が12点を超える場合にPASCと診断される最適な閾値が設定された.すなわち,罹患後症状の種類によって点数が異なり,合計点が12点を超えるとPASCと診断される仕組みである.最も頻度の高い症状としては,PEM,倦怠感,brain fogの順であり,それぞれ7点,1点,3点とされている.これらの点数は症状の特異度によって異なる.この定義に基づくPASCあり群は4つのサブグループに分類され,それぞれに特徴がみられた.サブグループ1では嗅覚や味覚の障害が100%みられた.サブグループ2ではPEMが99%,倦怠感が84%にみられたが,brain fogは0%であった.サブクループ3ではbrain fogが100%,PEMが99%,倦怠感が94%にみられた.サブグループ4では倦怠感,PEM,brain fogが各94%,めまいが94%,消化器症状が88%,動悸が86%にみられた.また,サブグループ4は最も多くの臓器系の関与を示し,患者報告アウトカムの健康関連の質(PROMIS Global 10)を用いた評価では,サブグループ1から4までそれぞれ53%,69%,77%,86%で健康状態や生活の質(QOL)が低いと評価され,サブグループ4が最も不良であった.
このように,罹患後症状を症状群として捉える報告は他にも多くある24)79).しかし,罹患後症状をどのように捉えるのが適切かについては,いまだに統一した方法や見解は存在しない.一方で,COVID-19が単なる呼吸器疾患ではなく,多臓器および全身性の関与に及ぶことは広く認識されている.
3.リスク因子と保護因子
成人における罹患後症状のリスク因子を調べた2022年12月までの文献のメタ解析では,41の研究における計860,783名の患者が解析の対象となった105).その結果,女性,高齢(40歳以上),高体格指数BMI(body mass index)30以上,喫煙が罹患後症状の発症リスク増加と有意に関連していた.さらに,不安・抑うつ,喘息,慢性閉塞性肺疾患,糖尿病,虚血性心疾患,免疫抑制の併存疾患も,罹患後症状のリスクを有意に上昇させることが示された.また,急性期に入院または集中治療室で治療を受けた患者は,そうでなかった患者と比較して罹患後症状の発症リスクが2倍以上高かった.同時期に報告されたレビューでは,より詳細な個々のリスク因子について考察が展開されている74).
保護因子としては,COVID-19ワクチンを2回以上接種した場合,罹患後症状の予防効果が示され(43%リスク減との関連)105),2023年11月にスウェーデンの地域住民589,722名を対象とした大規模コホート研究の報告でも,ワクチン接種歴は罹患後症状の予防効果があり(58%リスク減との関連),1~3回のワクチン接種回数に比例して罹患後症状のリスク比がそれぞれ0.79,0.41,0.27であった53).
4.COVID-19流行の進展と罹患後症状の関連
罹患後症状の管理において,患者の全人的な理解と適切な心理教育は必要不可欠である.患者の状況を理解・把握するための情報収集の過程で,患者の苦悩を聴取・受容・ノーマライズすることは重要である.また,全体的な見通しと展望を共有することも大切である.特に患者は,罹患後症状に加えて再感染の懸念や,ウイルスの変異株の出現,感染状況の変化に伴う流行の不確実性についても幅広く不安を抱いている.そのため,COVID-19流行状況を概観できることが望ましい.
COVID-19は新規変異株の出現と再流行を繰り返してきた.特徴として,変異株が感染性を高めてきたことが挙げられる.感染性の指標としては,基本再生産数(R0)と実効再生産数(Re)が用いられる.これらの指標が1以上の場合,1人の感染者が1名以上の二次感染者を生み出すことを意味し,感染が拡大していることを示す.これまで従来株(起源株),デルタ株,オミクロン株と変異してきたなかで,オミクロン株(R0 9.5,Re 3.4)はデルタ株と比較すると,2.5~3.8倍高い伝播性をもつ52).さらに,2024年1月時点で日本で流行しているオミクロン株(XBB系統とBA.2.86系統)102)はともに高い免疫逃避能を有していることが特徴的である109)112).再感染までの期間を追跡した研究によれば,デルタ株では半年程度でワクチンの有効性が74%に減少したが,オミクロン株では20%まで減少した72).同様に,米国でデルタ株とオミクロン株が流行していた2021~2022年の間に再感染を調べた報告では,全感染に占める再感染者の割合がデルタ株(2.7%)からオミクロン株(28.8%)まで大幅に増加した54).日本でもオミクロン株への移行後,抗N抗体保有率でみた全国の既感染率は56%に増加した47).COVID-19の感染拡大に伴い,各国は次第にエンデミックへと移行し76),いずれは季節性インフルエンザのように事態が収束していくことが予想されている104).
それでは罹患後症状はどのように変化してきたのだろうか.2022年7月までに行われたメタ解析では,異なる変異株と罹患後症状の発生率に有意な関連はないと結論づけた15).しかし,その後の報告では,オミクロン株と比較して,罹患後症状の調整ハザード比はデルタ株で3.26,アルファ株で5.33,従来株で6.31であるとされた30).同様の結果は,ワクチン接種回数を考慮した研究でも報告されていて,その認識が裏付けられた14).COVID-19の異なる変異株と罹患後症状との関連については議論が続いているが,デンマークで行われた806名の追跡コホート研究では,変異株の種類に関係なく,感染から1年半後においても全体の57%が臨床的に有意な罹患後症状の改善がみられなかったと報告した1).オミクロン株(BA.4/BA.5,BQ.1/BQ.1.1)は再感染までの期間が中央値で約1年とされ54),再感染により入院,合併症,罹患後症状のリスクが上昇することが報告されている5).さらに,罹患後症状のなかで最も多いとされる倦怠感の81%には認知機能障害(集中困難)が合併していて40),認知機能障害は1.5~2年を超えても有意に認められることが示されている73)95).最近の研究では,罹患後症状が2年間で寛解するのはわずか7.6%にとどまると報告されている57).このような背景から,エンデミックを迎えたとしても,今後数年間は続くことが予想される罹患後症状の対処やケアには,罹患後症状と共生する視点と適応力が求められる.
5.小 括
罹患後症状を理解するうえでの困難や知識ギャップに焦点をあて,現状の課題について整理する.これらの問題に対処しながら包括的な理解を深めることが,病態解明や治療開発につながると考える.
まず,各研究班が独自の定義を用いて測定や報告を行っているため,外的妥当性に影響を与える可能性がある.症状の閾値や寛解の定義が一貫していないことが,評価や経過の解釈を難しくしている.予後不良因子とされるPEMについても11),その診断にはさまざまな困難が報告されている10)39).同様にbrain fogに関しても,集中困難,記憶障害,コミュニケーションの困難さ,頭痛・めまい,倦怠感などのさまざまな症状が混在している59).さらに,認知機能は元々の心理状態や発達特性によって修飾される可能性もあり,その影響を罹患後症状と明確に区別するのは容易でない.そのため,患者の主観的な報告と客観的な検査や診察の結果に基づく評価が異なる可能性がある.
最後に,時間の経過とともに問題が複雑化する背景がある.例えば,「罹患あり」と「罹患なし」の2群を比較する際には,いつ,どの変異株に,何度罹患したか,ワクチンを何回接種したか,リスク因子をどれだけ保有しているかなど,多くの要因を考慮する必要がある.また,集団によっても罹患後症状のリスクが異なることが明らかになっており117),人種や民族,社会経済的要因なども考慮する必要がある57).これらの点を考慮した緻密な研究デザインが今後はより求められる.
II.COVID-19罹患後症状の国内における研究動向
1.パンデミックによるメンタルヘルスへの影響―罹患後症状との関連性―
パンデミックの影響で,抑うつや不安,心理的ストレスの増加が多く報告されている.特に若年層や中年層,退職や収入の減少,精神疾患の既往歴,COVID-19関連の不安や不眠,外出時間の減少,対人関係の変化がリスク因子として挙げられている42)87)107)115).これらの要因は,罹患後症状のリスク因子ともなりうるため,結果として労働不能や社会的困難につながる可能性がある.世界的には,罹患後症状が労働能力や経済的損失に与える影響が広く認識されているなか3)17)90),日本ではパンデミックによる感染拡大と同時に自殺率が11年ぶりに上昇し,特に40歳未満の女性108)や20歳未満の児童思春期層93)での自殺が増加した.警視庁の自殺統計では,自殺の動機として健康問題や経済・生活問題が挙げられているが46),罹患後症状の影響についてはさらなる検討が必要である.
パンデミックによるメンタルヘルスの問題を報告する研究では,罹患後症状への明示的な言及がなくとも,関連性が示唆されることが多い.例えば,集中治療室から退室した209名のCOVID-19罹患者を対象にした追跡調査では,13.5ヵ月時点で28.7%の患者がHADS(Hospital Anxiety and Depression Scale)で定義された精神疾患を有していることが報告された27).この研究は重症COVID-19患者における集中治療後症候群(post-intensive care syndrome:PICS)の報告であるが,COVID-19患者は生存者罪責感や心的外傷後ストレス障害のリスクが通常の集中治療室患者よりも高く,心理的サポートがより必要であることが示唆されていて100),広義には罹患後症状として捉えられる.
2.横断・縦断研究や後方視的調査研究
国内におけるCOVID-19罹患後症状の研究は,精神症状に関する調査が限られている.これまでの横断的研究は一般的に小規模であり,身体症状の有病率やリスク因子の報告に重点がおかれてきた36)92).QOLに関する報告もあるが32)106),精神神経症状の報告はbrain fogや不眠に限定されている2).
パンデミック初期の縦断的調査37)でも,身体症状が中心であり,精神症状の報告は不眠に限られた.HADSはQOLに関連するパラメータとして使用され,精神症状の評価としては報告されなかった.本研究37)では国内の26施設において,COVID-19入院歴のある935名の患者に対して,退院1年後までの症状経過を縦断的に追ったアンケート調査の結果をもとに5つのクラスターが示された.クラスター1は多臓器にわたる多数の症状を有する群,クラスター2は症状がないか軽度の群,クラスター3は味覚・嗅覚障害を有する群,クラスター4は倦怠感や精神神経症状(brain fog,頭痛,不眠)などを伴う群,クラスター5は倦怠感と咳嗽を伴う呼吸困難感を伴う群であった.クラスター1は高齢者で重症症状を伴いQOLが最も障害され,HADSも最も高かったの対し,クラスター4もHADSが高く,その他のQOL指標も低い傾向があった.
日本の徳洲会グループが保有する医療データベースから得られた122,045名のデータを用いた国内最大級の後方視的観察研究43)では,COVID-19罹患後3ヵ月間の患者の精神症状を含む各種症状が評価され,60歳以上の高齢者や重症患者で抑うつの割合が高かったと報告した.この研究では国際疾病分類第10版(ICD-10)コードを使用し,抑うつはF3,F4,F5のコードで定義されているため,診療の実態と乖離している可能性がある.また,COVID-19の診断から2週間以内を急性期,2週間以降を慢性期と定義し,抑うつの82%は急性期で報告されていた.さらに,この研究は3ヵ月までのデータしか報告していないため,一般的な罹患後症状の定義(例えばWHOの定義では感染から3ヵ月以上の経過を要する)84)と照らし合わせると限界がある.
3.実態調査研究やレジストリ研究
厚生労働科学研究で2020~2021年度に行われた福永ら22),横山ら116)の調査では,1,000例規模でCOVID-19罹患後の身体症状が主に追跡された.福永らの研究では98),約3分の1の患者が12ヵ月後にも罹患後症状を有していて,特に女性や中年層で罹患後症状を有する割合が高かった.また,罹患後症状を有する患者はQOLが低く,HADSは高く,COVID-19に対する恐怖や睡眠障害をより伴っていることを報告した.労働生産性の低下も多くの患者でみられた.
同様に2022年度には厚生労働科学研究で門田ら45)が住民を対象とした大規模な疫学調査を実施した.この調査では,精神症状の評価は行われていないが,成人感染者の11.7~23.4%がいずれかの罹患後症状を有していると回答した.非感染者と比較した性・年齢調整オッズ比は2.3~3.9であり,非感染者のなかでも4.4~9.1%がいずれかの症状があったと回答した.この結果は,罹患後症状の評価において非感染者の状況も把握する重要性を示している.
厚生労働省障害者総合福祉推進事業の一環として,中尾らによる研究64)65)では,COVID-19罹患後の精神症状の発症状況を把握するための調査が行われた.福岡県内の主要9医療機関に入院した患者を対象に,診断群分類包括評価(Diagnosis Procedure Combination:DPC)データと診療録を用いて調査を実施した.DPC調査では,COVID-19入院患者2,743名を解析し,睡眠薬と抗うつ薬の投与が急性気道感染症入院患者に比べて有意に多いことが明らかとなり,抗不安薬の投薬割合は急性気道感染症入院患者のほうが有意に高かった(図).
診療録調査では,COVID-19の入院患者で精神科受診となった患者221名の精神症状を解析した結果,主な症状として不眠(29.0%),混乱(19.5%),不安(16.3%)が多くみられた(表).COVID-19の重症度別では,軽症群,中等症群,重症群の順に不眠と混乱の割合が高く,不安は軽症群と中等症群に多くみられた.この調査結果から,COVID-19の感染は従来の呼吸器感染症に比べて,抑うつや不眠が有意に出現しやすいことを示した.また,重症度が上がるにつれて不眠や混乱が増加する一方で,不安は軽症例や中等症例に多くみられることが示唆された.なお,DPCデータにおいてCOVID-19群における抗不安薬の投与率が低いことについては,一定の抗不安効果も有する睡眠薬・抗うつ薬投与率の増加が,相対的に同群における抗不安薬投与率の減少につながった可能性がある.COVID-19感染初期から精神症状が出現し,その後の罹患後症状として精神症状に進展する可能性があることが示された64)65).
国内のレジストリ研究として,2020年3月より国立国際医療研究センターが主導して運用している全国規模のレジストリ〔COVID-19 Registry Japan(COVIREGI-JP)〕があり,COVID-19患者の治療経過や臨床アウトカム,治療効果を評価するための情報を蓄積していて,多くの研究報告がされている.特に,入院から退院後半年までの身体症状に関する経過が詳細に追跡されている58).
また,国立精神・神経医療研究センターでは,2022年度に実施した日本医療研究開発機構(AMED)の事業に引き続き,2023年度以降も継続している大規模レジストリ研究(Psychiatric Symptoms for COVID-19 Registry Japan:PSCORE-J)48)78)がある.これはCOVID-19罹患後の精神症状の病態解明および最適な治療法の解明を目的として,COVID-19罹患者の生体情報や精神症状の評価項目を含む医療データを縦断的に収集している.収集データは,第1層情報(人口統計学的情報,各種症状の有無),第2層情報(抑うつ,不安,睡眠,認知機能,QOL,生活満足度を自己記入式項目の電子的収集および身体・神経機能の医師による評価),第3層情報〔生体試料(血漿,末梢血単核細胞,DNA)および脳神経画像の解析〕から構成される.1,000例規模の調査が予定され,10ヵ月間にわたる縦断調査では,患者の主観だけでなく,医師による身体・精神評価,血液検査,脳画像検査といった他覚的評価も実施される.精神症状の評価に加え,生物学的,心理的,社会的要因を含む多面的なデータを収集し,罹患後症状の理解と治療法の開発に貢献することが期待される.
4.小 括
日本国内における罹患後症状の研究は主に身体症状に焦点をあてていて,精神症状に関する調査は限定的である.パンデミックによるメンタルヘルスへの影響として抑うつや不安の増加が報告されているが,これらの精神症状と罹患後症状との関連性に関する包括的な評価は不足している.既存の研究は自記式アンケートによる実態調査が中心であり,他覚的な評価や病態解明,治療法の確立が求められている.現在進行中のレジストリ研究により,精神症状の長期的な経過や治療法の解明が期待される.今後は,これらの研究成果をもとに精神症状の実態把握と適切な対応策の構築が求められる.
III.COVID-19罹患後症状の病態と今後の病態解明に向けて
1.病態仮説
多岐にわたる罹患後症状の理解を深めるために,その複雑性や病態がまとめられたレビュー論文は多く存在する12)73).日本でも,COVID-19罹患後,脳脊髄液中のサイトカイン上昇を認め,その後認知機能低下が遷延した例41)や,ターナー症候群の患者に緊張病症状が引き起こされた例63)を含め,COVID-19罹患後に精神神経症状を呈したさまざまな症例が報告されている.罹患後症状の出現には個人差があり,罹患後症状発症脆弱性に関与しうる患者側のゲノム要因などは,いまだ同定されていないが,これまでの病態解明研究に関するさまざまな病態仮説が存在する.
罹患後症状の中枢神経系病態仮説として,SARS-CoV-2感染後の急性期に生じうる(i)低酸素状態,(ii)過剰炎症,(iii)凝血能亢進などが想定される21).(i)低酸素症はこれまでCOVID-19の剖検例においても確認されている26).(ii)感染後にサイトカインストームと呼ばれる過剰炎症が生じ97),血中の炎症性サイトカインが上昇することで,内皮細胞の障害から血管透過性亢進を引き起こし,血液脳関門(blood brain barrier:BBB)の障害を引き起こす可能性が指摘されている34).実際に,COVID-19患者の神経病理学的研究にて,内皮細胞障害,微小血腫,微小血管基底膜の破壊,フィブリノーゲンの脳実質への漏出が確認されており,炎症状態が引き起こしたBBBの破壊が示唆されている50).(iii)凝固能亢進状態は,内皮細胞の障害と合わさり,虚血性の脳卒中や脳内の出血性病変を引き起こすと考えられ,急性期におけるフィブリノーゲンやD-dimerがCOVID-19罹患後症状における認知機能障害を予測するという報告が存在する96).
また,これら急性期に生じた過剰炎症や凝血能亢進などに伴うBBBの破壊が進行性の神経変性を引き起こす可能性も指摘されている.神経変性疾患に関連する血液マーカー〔ubiquitin carboxy-terminal hydrolase L1(UCHL1),glial fibrillary acidic protein(GFAP),neurofilament light chain(NFL),それぞれ神経細胞,グリア細胞,軸索の損傷を示す〕の値が,神経学的症状を呈したCOVID-19患者においてアルツハイマー病患者と同程度までに上昇する可能性を示唆する報告が存在する20).
これらの急性期の病態に関連して,罹患後症状の代表的な症状である認知機能障害やニューロパチーやミオパチーなどの運動機能障害が出現すると考えられ,数ヵ月から数年にわたって持続し,一部は永続的な障害として残存する可能性があると考えられる.一方で,これまでの脳神経系組織を用いた研究結果からは,SARS-CoV-2の直接的な中枢神経系への侵入が罹患後症状につながるという見解は現段階では否定的である.
2.慢性化の機序
罹患後症状が出現し慢性化する機序としては,自己免疫的な機序も想定されている.急性散在性脳脊髄炎やギラン・バレー症候群などがSARS-CoV-2の感染直後の急性期に生じうることが報告されている111)が,これらは自己免疫的機序である分子模倣(molecular mimicry)によって引き起こされると考えられている.COVID-19急性期後においても,抗インターフェロンα2抗体や抗核抗体などの自己抗体のレベルが,急性期が過ぎた後に持続する呼吸器症状や胃腸症状,睡眠障害と相関しているという報告が存在している85).罹患後症状は,同じく自己抗体やサイトカインプロファイルの変化などの関与が示唆されている慢性疲労症候群と症状が類似している部分があり,COVID-19罹患後の3~9ヵ月において,慢性疲労症候群の診断率が上昇しているとする報告が存在する16).さらに,COVID-19による,エプスタイン・バーウイルス(Epstein-Barr virus:EBV)を含めた各種のヘルペスウイルスの再活性化も,罹患後症状への関与が示唆されている85).また,罹患後症状の患者では,リンパ球などの免疫系細胞の分布や抗体に対する反応が非罹患後症状患者と有意に異なることが報告されている44).これらの結果から,自己抗体や免疫細胞/サイトカインレベルの変動などの免疫系異常が,慢性炎症状態を作り出し,罹患後症状の持続に関与していると考えられる.例えば,抑うつや不安症状を引き起こしうる罹患後症状の患者では血中のinterleukin(IL)-6が増加することが報告されているが,不安症やうつ病,そして心的外傷後ストレス障害(post-traumatic stress disorder:PTSD)患者でも血中のIL-6などの炎症性サイトカイの持続的増加が知られる60).そのため,サイトカインなどの血中炎症関連物質を調べることで,罹患後症状を予測するための研究が行われてきた.例えば,罹患後症状の患者の免疫細胞プロファイリングや血中炎症関連物質を解析すると,Interferon(IFN)-β,Pentraxin 3(PTX3),IFN-γ,IFN-γ 2/3,IL-6の値で,78.5%~81.6%で罹患後症状を予想できるとする研究75)や,IL-1β,Tumor necrosis factor(TNF)-α,IL-6の3種類のサイトカインで罹患後症状の出現を予測したという報告80)が存在する.
罹患後症状のなかで,特に長期の社会機能低下につながりうる認知機能障害が最近注目されるようになった95).実際に,慢性的な脳虚血はアミロイドβの蓄積を引き起こしアルツハイマー病の病理を引き起こしうることや,COVID-19罹患後にパーキンソン病が進行することも示唆されている.脳画像研究でも,COVID-19患者において,眼窩前頭皮質や海馬傍回(一次嗅覚皮質につながる領域)の厚さが減少し,それが認知機能の低下と関与していることが示されている.さらに,brain fogを呈した患者においてケモカインのCCL11の上昇が知られるが,SARS-CoV-2感染マウスモデルにおいても,脳内ミクログリア反応性とともに,CCL11の上昇が認められ,このことが認知機能障害と神経新生障害に関連していることが見出されている18).同研究において,CCL11は,T細胞や骨髄球の活性化や血中炎症状態の持続に関与し,不安やうつ様行動と相関することも示されている.
最近のメタボロミクス解析では,罹患後症状を呈する患者の血漿中セロトニン濃度が低下していて,症状が改善するにつれてセロトニン濃度が上昇することが報告された114).この結果は,セロトニンが免疫系や凝固系に与える影響として注目されている.
また,罹患後症状の発症脆弱性に関与しうる患者側のゲノム要因の同定が進むことも期待されており,日本より,COVID-19の重症度に関与する患者側のゲノム要因としてDOCK2という免疫細胞の働きに関与する遺伝子が報告された66).
3.小括―今後の病態解明に向けて―
本稿で概説したとおり,罹患後症状の病態仮説はさまざまに存在するも,いまだ解明に至る道筋の初期段階にあるといえる.これまでの病態研究により,さまざまな潜在的な治療ターゲットが提案されているが,鋭敏なバイオマーカーが存在しないことや,長期経過で改善していく症状に対して侵襲的な治療を実施しにくく,実際の開発には結びつきにくいのが現状である.その背景には,罹患後症状を統一的に説明できるメカニズムが存在しないことがあり,本稿で言及していない病態を含む多様な原因が複合的に影響を及ぼしていると考えられる.今後は,長期間にわたる経過を観察した大規模な患者の臨床データに基づき,ゲノム解析やヒト末梢血単核細胞(peripheral blood mononuclear cells:PBMC),血中炎症関連物質などの広範な生体データを統合的に解析することが必要になる.さらに,これまで解析されてこなかった糖鎖などの新規生体情報を加えることで,より有用な知見が得られる可能性がある.
米国NIHは,罹患後症状に関する長期的な研究と対策の必要性を鑑みて,RECOVERプログラム71)を立ち上げ,さらに米国保健福祉省はOffice of Long COVID Research and Practice110)を設置して,国をあげて罹患後症状の病態解明に基づく治療法開発に取り組んでいる.これに対して,日本も国内外のニーズに応えるために,罹患後症状に関する研究を引き続き発展させる必要があることを認識することが重要である.
IV.COVID-19罹患後症状の治療
1.現在の治療法の概要
現在,罹患後症状に対して標準的な治療法はまだ確立されていない.「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 罹患後症状のマネジメント」(第3.0版)や諸外国の診療ガイドラインでは,対症療法を中心とした症状の管理が推奨されている69)81)82).2022年3月に東京都が公表した都内の都立病院・公社病院の外来受診データ分析101)によると,これまでは主に倦怠感・息切れ・頭痛に対して,症状に応じた漢方薬,抗うつ薬,解熱鎮痛薬,咳止め薬などが多く用いられてきた.
2.心理社会的介入法の研究動向
2022年に報告されたスコーピング・レビュー8)では,臨床試験データベースを用いて進行中の罹患後症状に関する治療の検証を行っている研究が調査された.その結果,その時点ですでに59件の研究が実施されていた.このうち,3割以上は身体機能障害や生活機能上の制限に対処する理学療法や,呼吸器症状に焦点をあてたリハビリテーションが占めた.また,疲労感,認知機能障害,嗅覚障害などに対する治療薬,その他,精神療法,栄養補助食品,脳神経刺激,代替療法など合計44種の薬品や治療が同定された.精神症状と認知機能障害に焦点をあてた別の系統的レビュー28)では,42件の臨床試験登録が同定され,精神症状に対しては認知行動療法などの精神療法が11件と最も多く,続いて治療薬やその他の栄養学的介入・代替療法が報告された.認知機能障害をアウトカムとする研究に関しては,9件の認知リハビリテーションのほか,理学療法などの身体症状に対するリハビリテーションが含まれた.
精神症状に関しては,COVID-19罹患者の精神症状に対する心理社会的介入法に関する臨床試験登録のスコーピング・レビュー88)が実施され,認知行動療法,多職種によるリハビリテーションを主としたプログラム,マインドフルネス,代替療法など20件の研究が同定された89).このレビューでは,不安,抑うつ,PTSD症状が主な治療ターゲットとされるが,QOLや睡眠を副次アウトカムとする臨床試験も含まれた.また半数の研究では,Web会議ツールなどを用いたテレヘルス形式が用いられるという特徴もみられた.他に,漢方薬での治療38)や,バーチャルペットを用いたセラピー(virtual-pet assisted therapy)62)の効果と安全性を検証する臨床試験が進行している.
3.認知行動療法の期待と可能性
特に注目されている心理社会的介入法の1つが認知行動療法である.認知行動療法は精神疾患に対する適用が最も知られているが,慢性頭痛や線維筋痛症などを含むさまざまな慢性疾患における精神症状やQOLの改善,身体症状の管理と緩和,生活機能の向上などにも有効である35).認知行動療法は,COVID-19罹患によって生じるさまざまな心理社会的なリスク要因や,罹患後の身体症状に起因する精神的苦痛と生活機能障害について概念化や機能分析を行い,個々の患者の精神症状の維持要因の同定・変容に取り組む.罹患後症状の病態が多様である点から,このように高い個別性をもって介入を行う認知行動療法は適していると期待される.実際,罹患後症状の患者を対象とした,精神症状にアプローチする認知行動療法の安全性と有効性が2つの臨床試験で示されている.Priyamvada, R. ら77)は,急性期症状から回復したCOVID-19患者30名を対象に,呼吸法,自律訓練法,行動活性化,感情調節スキル訓練などによって構成されたプロトコルを実施した.面接は1回に30分間設けられ,1ヵ月間にわたって8セッション提供された.その結果,不安・抑うつ症状に改善が認められた.同様に,Torbati, A. G. ら103)も,不安・抑うつ症状に対するコンパッションに焦点をあてた認知行動療法の効果を報告している.他にも,PTSD,睡眠,QOLをアウトカムとした認知行動療法の臨床試験も進行している.
認知行動療法は,疲労感を訴える罹患後症状の患者に対しても適用が検討されている.Kuut, T. A. ら49)は,重度の疲労を認める患者114名を対象に多施設ランダム化比較試験を実施し,疲労の認知行動モデルを基に作成された17週間のプロトコルを実施した.これは,COVID-19が疲労の引き金となる一方で,認知・行動要因が疲労を持続・悪化させるとするモデルであり,個別に特定される要因にアプローチすることで,より適切な症状対処スキルの獲得や症状の低減を図るとされる.その結果,介入群は通常治療群と比較して疲労重症度が低下し,6ヵ月後の追跡調査までその効果が維持された.また,集団で認知行動療法を実施した例33)や,多職種によるリハビリテーションのコンポーネントとして認知行動療法を導入した研究19)でも,疲労感や傷病休暇率の改善が報告されている.
他方で,疲労症状に対する認知行動療法の適用に関しては賛否両論がある.疲労の認知行動モデルをもとにした認知行動療法は慢性疲労症候群に対して推奨されてきたが,エビデンスとして用いられてきた臨床試験の方法論の問題や有害事象の記録が不十分であったことで批判されている23)56).プロトコルからの逸脱が発見された,ある大規模ランダム化比較試験では,その再解析の結果,認知行動療法と対照群に有意差がなかったことが明らかになった113).現在,英国国立医療技術評価機構(National Institute for Health and Care Excellence:NICE)70)など諸外国は認知行動療法の推奨は控え,症状の管理,生活機能の改善,疾患に伴う苦痛の軽減を目的とした治療を提供するように発信している.罹患後症状の患者に対する疲労の認知行動療法のエビデンスはまだ限定的だが,厳格な方法論を用いてその安全性と効果を検証することが今後求められる.また,慢性疲労症候群と同様に,症状による機能的な制約や精神的な苦痛に対処するために,当該治療法を用いることが望ましい.
不眠症に対する認知行動療法のエビデンスも強く,ベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系睡眠薬よりも有効であることが報告されている61).これは,罹患後症状によくみられる閉塞型睡眠時無呼吸症候群91)や,その他の慢性身体症状や精神疾患との併存の場合も効果的であり83),罹患後症状の患者を対象にその効果検証が進められている31).他に,認知行動療法を頭痛に対しても適用する試みもあり,リラクセーション法や抗うつ薬よりも頭痛の強度や頻度を低減させることが報告されている4)25).
4.小 括
罹患後症状の種類や経過は幅広く,多職種による全人的なケアが必要となるなか,認知行動療法は複数の精神神経症状に対して適応できる有望な治療選択の1つである.イギリスではすでに,認知機能障害・精神症状を呈する患者に対して全国に配置されている心理療法へのアクセス改善サービスへのリファーを推奨しており,そこで検査や認知行動療法を受けることのできるシステムができている67)68).ただし,罹患後症状を対象としたエビデンスは非常に少ないため,他の治療と同様に臨床試験をとおして個々の症状に対する安全性・有効性の検証を継続するべきである.また,治療開発と同時に複数の症状を呈する患者に対して,治療の優先順位や併用に関する研究も今後の課題となる.
V.今後の展望
COVID-19がエンデミック期に入るなか,罹患後症状の管理と長期的な対応が今後ますます重要となっている.米国での研究基盤やアプローチを参考に94),国内でも同様の取り組みが求められる.特に,プライマリケアと専門医療の連携や多職種の協力を重視し6)51)81),加えて保健および公衆衛生行政の長期的マネジメントに焦点をあてることが必要である.統合的なアプローチをとることで,罹患後症状の管理と長期的なケアの充実が図られ,患者および社会全体のメンタルヘルスと福祉の向上が期待される.このような取り組みには異なる診療科や職種が協力し合うことが不可欠であり,各職種がもつ役割や専門知識に対する理解を深めることが重要である.また,患者の病態やニーズに対する理解も同様に重要であり,これらの理解を通じてより効果的な支援が提供できると考えられる.
おわりに
以上,本稿ではCOVID-19罹患後症状の特に精神神経症状に焦点をあて,関連する知見を概観した.国内外の代表的な研究を紹介し,疫学や臨床研究の最前線に触れるとともに,病態および治療について考察した.未解明な点も多く残るなかで,今後も罹患後症状に伴う困難に直面する患者が増え,長期化する傾向があることを考慮すると,これらの課題への継続的な取り組みが不可欠である.今後より多くの知見が集積し,支援が充実していくことが期待される.
なお,本論文に関連して開示すべき利益相反はない.
謝 辞 以下の研究費が,本研究の実施において資金源として利用された:
・中尾智博(代表):令和3年度厚生労働科学研究費補助金障害者総合福祉推進事業「新型コロナウイルス感染症罹患後に精神症状が出現した者に関する実態調査」
・鬼頭伸輔(代表):精神・神経疾患研究開発費5-PSCORE「COVID-19感染後の精神症状を有する患者レジストリの構築と病態解明及び新規治療法の開発に資する研究」
・高尾昌樹(代表):精神・神経疾患研究開発費3-8「NCNPブレインバンクの運営およびブレインバンク生前登録システムの推進」
・中尾智博(代表):令和6年度厚生労働科学研究費補助金障害者政策総合研究事業「新型コロナウイルス感染に起因すると考えられる精神症状に関する疫学的検討と支援策の検討に資する研究」
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