触法精神障害者には3つの法律,すなわち『刑法』『精神保健福祉法』『医療観察法』が適用される.この3つのグループに分けるには精緻な精神鑑定が必要とされる.したがって,精神鑑定には公平性,中立性,一貫性が求められる.有罪となり刑務所に収容されると精神科担当の矯正医官が診ることになる.限られた医療資源を効率的に分配するために矯正施設は,一般施設,医療重点施設,医療専門施設の3つのグループに分かれている.東日本矯正医療センターは最も大きな医療刑務所のうちの1つであり,精神または身体に障害のある受刑者を全国から受け入れている.矯正精神医療は処遇部門と医療部門の2つの支柱から成り立っており,受刑者を適切に処遇・治療するためには両者の連携・協力は必須である.医療専門施設から出所する際,少なからぬ障壁があり,治療継続だけでなく社会復帰も困難にしている.
わが国における矯正精神医療の現状と課題
東日本矯正医療センター
精神神経学雑誌
126:
783-790, 2024
https://doi.org/10.57369/pnj.24-127
https://doi.org/10.57369/pnj.24-127
<索引用語:矯正精神医療, 精神鑑定, 触法精神障害者, 拘禁反応>