Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第125巻第5号

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総説
アルコール問題に対するハームリダクションアプローチ―理念と海外における実践を中心に―
高野 歩1)2), 熊倉 陽介2)3), 松本 俊彦2)
1)東京医科歯科大学精神保健看護学分野
2)国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部
3)東京大学医学部附属病院精神神経科
精神神経学雑誌 125: 352-364, 2023
https://doi.org/10.57369/pnj.23-052
受理日:2023年1月6日

 ハームリダクションは,合法・違法にかかわらず,必ずしも薬物の使用量は減ることがなくとも,その使用により生じる健康・社会・経済上の悪影響を減少させることを主たる目的とする政策・プログラムとその実践である.道徳モデルや疾病モデルとは異なる視点で物質使用問題をとらえ,断酒・断薬を唯一のゴールとする従来型の治療・支援方法とは異なるアプローチを用いる.ハームリダクションでは,アルコールを含むさまざまな物質の使用によって引き起こされるハーム(有害な結果)を減らすことにフォーカスし,より健康的に,より安全に物質を使用する方法を積極的に提案する.アルコール問題に対するハームリダクションの目標は,(i)飲酒に関連したハームを減らすこと,(ii)個人のニーズに合った目標を設定し,非寛容方式とは別の対応でサービスを提供すること,(iii)従来の予防・治療の代替となる敷居の低いサービスを提供し,支援へのアクセスを促進すること,である.本稿ではアルコール問題に対するハームリダクションについて,海外での取り組みを中心に具体的な実践とその効果について解説する.

索引用語:ハームリダクション, アルコール問題, アディクション>
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