Advertisement第119回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第124巻第10号

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総説
エネルギー器官としての脳―組織構造と統合失調症―
糸川 昌成1)2), 大島 健一1)2), 鳥海 和也1), 吉川 茜1), 堀内 泰江1)2), 宮下 光弘1)2), 宮野 康寛1)2), 石田 裕昭1)2), 小堀 晶子1)2), 井上 智子1)2), 新井 誠1)2), 鳥居 洋太3), 久島 周3), 入谷 修司2)3), 尾崎 紀夫3), 鈴木 芳生4), 野口 千太5), 雑賀 里乃5), 水谷 隆太5)
1)東京都医学総合研究所
2)東京都立松沢病院
3)名古屋大学大学院医学系研究科
4)高エネルギー加速器研究機構
5)東海大学工学部生命化学科
精神神経学雑誌 124: 688-699, 2022
受理日:2022年5月16日

 統合失調症研究にとって脳は中心的な標的器官である.脳は重量比にして体重の50分の1程度の小さな臓器だが,膨大なエネルギー(全グルコースの5分の1,酸素の4分の1)を必要とする.膨大な酸素とグルコースは,ミトコンドリアの酸化的リン酸化という代謝過程を経てATPにエネルギー転換され,これは神経細胞の静止膜電位の維持に消費される.脳は高度に機能分化した局所の集合体でもあり,血管系と神経系が緻密に連携することで,エネルギーを細部へ効果的に届けることができている.この脳の特徴―グルコース酸化と神経血管カップリング―から,統合失調症の代謝と構造について概説し,統合失調症研究の再現性問題を解決する方策の1例として,症候群から抽出した糖化ストレスを伴う小亜種を紹介した.脳構造を個人差レベルまで識別できる解像度をもつ放射光ナノCT法により,脳血管と神経細胞の構造アンバランスを同定した自験例を,統合失調症のエネルギー代謝研究への応用例として紹介した.

索引用語:統合失調症, 毛細血管, 神経血管カップリング, 放射光>
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