Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第123巻第2号

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症例報告
大麻精神病について―サイケデリック体験と精神病―
小田 晶彦
独立行政法人国立病院機構下総精神医療センター
精神神経学雑誌 123: 61-68, 2021
受理日:2020年10月1日

 わが国でも若年者を中心に大麻の乱用が広がっている.海外の一部の国では嗜好用の大麻が解禁され,また難病の治療に大麻の成分であるカンナビノイドの使用が認可されつつあるが,大麻の喫煙がもたらす精神障害についてはいまだに十分な検討がされていない.特にわが国ではまだ乱用者数が多くないためか,精神科臨床医でも大麻関連精神疾患の治療経験がないものがほとんどである.大麻精神病は被害妄想を中心とした覚せい剤精神病とは異なり,宗教的・超自然的な内容の妄想を呈することが多い.大麻は催幻覚性が弱いとはいえ,LSDや幻覚サボテン,幻覚キノコなどのサイケデリック薬物と近似の作用を有するからである.本稿では大麻の喫煙がもたらす意識の変容=サイケデリック体験がどのようなものであるかを詳しく描写し,症例のなかでその痕跡が中毒性精神病を発病後も残存している様相を詳述した.覚せい剤精神病よりも長く精神病症状が残存するため,長期的な再燃防止のために入院期間を十分にとり,薬害教育により断薬の動機づけを高めることが重要であることを論じた.

索引用語:大麻, サイケデリック, 精神病, LSD>
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