Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第122巻第11号

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特集 精神科専門医に必要な精神療法の学び方
精神療法の必要性と有効性について,改めて考えてみよう―精神科専門医をめざす先生方への10段階のメッセージ―
原田 誠一1)2)
1)原田メンタルクリニック
2)東京認知行動療法研究所
精神神経学雑誌 122: 832-844, 2020

 精神医療に携わり始めた若手の先生方に,精神科診療を行ううえで精神療法の実施が必要不可欠であることを,いかに説明し納得してもらうか.精神療法習得への動機づけを高め,できれば精神療法への親しみを抱いてもらうために,どのようなアプローチが考えられるか.こうした目標を実現するための方法論はさまざまな内容をとりうるが,今回は筆者が考案した10段階の説明法を紹介する.第1段階:精神療法を専門としないエキスパートが,精神科診療を行ううえで精神療法が必要である事情をどう述べているか,第2段階:心理教育について―歴史的経緯と精神科の特殊事情,概要と効用,第3段階:精神療法の基本原則について―受容(無条件の積極的関心),共感(共感的理解),一致(口先だけでない本心での対応):ロジャーズの中核3条件,第4段階:精神療法・精神科診療を行う際に,治療者が受容・共感・一致の姿勢をもつ/もたないことの影響,第5段階:いろいろなレベルの受容・共感・一致―専門知識~わからない~ストーリを読む(土居)をふまえた広がりと深まり,第6段階:受容・共感・一致を実践する難しさと工夫①―対応が容易ではない4症例,第7段階:受容・共感・一致を実践する難しさと工夫②―4症例での対応の実際,第8段階:臨床現場で頻繁に出会う多くの病態で,薬物療法が有効性を発揮できない,あるいは一部でしか奏効しえない事情(薬物療法抵抗性),第9段階:薬物療法が無効~薬物療法抵抗性の病態の治療で,受容・共感・一致をふまえたうえで,他のタイプの精神療法を併用すると効果を発揮する場合がある,第10段階:精神療法の各流派には共通点が認められ,各流派の関係性は相補的と考えられる(各流派の共通性と相補性).

索引用語:精神療法, 必要性と有効性, 若手精神科医, 10段階の説明法>
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