Advertisement第116回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第122巻第10号

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総説
精神障害の労災認定後の長期療養の現状と課題
黒木 宣夫1)2)
1)医療法人社団宣而会勝田台メディカルクリニック院長
2)東邦大学名誉教授
精神神経学雑誌 122: 723-733, 2020

 精神障害などによる労災請求件数は毎年,過去最高を更新し,2018年度は1,820件(前年度比88件増),実際に労災認定された件数は2017年度506件,2018年度465件でやや減少しているが,「自殺ではない精神障害」の労災請求件数は,2017年度1,511件,2018年度1,620件と増加しており,今後も増加するものと推測される.精神障害の社会保険の障害給付の場合は,どんなに遅くとも傷病の初診日から1年6ヵ月が経過した日に障害認定されるが,労災保険の障害給付の場合は,原則としてその傷病が治ゆしない限り障害認定はされない.そのため精神障害が労災認定された後,治ゆに至らない精神障害事例の長期療養が大きな社会問題になりつつある.本稿では,労災保険,労災認定,労災保険給付,労災保険法による治ゆ(症状固定)の考え方などを報告した.さらに2014年度から2017年度までの労災疾病臨床研究事業に関して,その調査結果を報告した.2016年度,2017年度の合体調査で,療養者のなかで職場復帰をしていない事例は,療養期間が長期化するに従い,その割合が増えていた.また2016年度調査で治ゆしていない事例(145例)の3年以上の療養事例は91%(132例)であり,ほとんどの事例が療養期間が長期化することが明らかになった(P<0.0001*).

索引用語:労災認定, 長期療養, 休業補償, 療養補償>
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