Advertisement第116回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第121巻第1号

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連載 精神科多職種チームの協働
日本精神神経学会 多職種協働委員会 企画
第19回
精神科チーム医療における一考察―治療計画策定の展開と医師の役割―
松原 六郎
松原病院(精神科医)
精神神経学雑誌 121: 55-63, 2019

 介護保険や一部の医療行為を除いて,治療契約は医師が患者と交わすものであり,治療責任は医師にある.チーム医療体制で治療を行ったとしても,医師としてその結果に責任をもたなければならない.チーム医療が精神科医療において必須条件となっている今,チーム医療における医師の役割についての議論を継続していかねばならない状況となっている.本稿では,精神科におけるチーム医療の視点から,特に「治療計画策定」におけるチーム医療のあり方やその展開方法などを医師の役割にも焦点をあてながら,著者の知見から検討してみたい.治療計画は,言うまでもなく患者のその人らしい生活の回復という最終目標(ゴール)に向かうためのさまざまなアウトカム設定が重要であり,実現可能性の有無などいくつかの条件下に作成されるものである.治療過程においてチームメンバーからもたらされる情報は極めて有用であり,そこから導き出される計画は,医師の主観や経験則で立てられるものよりも的確である.しかも治療計画立案にかかわる各専門領域のチームメンバーの存在は,その策定を容易にもするのである.治療計画策定においては,チームメンバーそれぞれの専門的視点の評価を基に始動させるマネージメントサイクルを運用することが有効であろう.なかでも医療においては,Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Act(改善)というPDCAサイクルが重要視されているが,著者自身がこれをさらに一歩改良した,Assessment(評価)→Need(必要性)→Plan(計画)→Discussion(討議)→Do(実行)→Monitoring(観察)→Reassessment(再評価)というプロセスサイクルが効果的であると捉えており,このサイクルの展開が治療目標や治療計画の見直しを柔軟にすると考えている.このようなマネージメントサイクルをスムーズに運用していくためにも,チーム医療における医師の役割として,リーダーシップはもとより,時にはメンバーシップをも発揮するスキルが求められるのではないだろうか.

索引用語:多職種協働, チーム医療, 治療計画, 医師の役割, ケアプロセス>
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