Advertisement第115回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第120巻第2号

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教育講演
第113回日本精神神経学会学術総会
摂食障害対応の基本
西園マーハ 文
白梅学園大学子ども学部発達臨床学科
精神神経学雑誌 120: 137-143, 2018

 摂食障害は,治療関係が作りにくく,治療中断も多い疾患である.特に,神経性やせ症においては,治療中断のまま低栄養が進行すると,本人が病状を否認する傾向が強まり,強制栄養しか手段がなくなりがちである.家族も,無理やり食べさせるか本人の好きなようにさせるかという両極端を行き来しやすい.しかし,もし早期に治療が開始できれば,本人の希望を取り入れるような治療も可能である.近年は,神経性過食症の有病率が高いことから,海外では,認知行動療法など本人の症状モニタリングなどを前提とした神経性過食症の治療法が発展しているが,これは,神経性やせ症の治療にも影響を与えている.神経性やせ症の治療も,極度の重症期を除けば,本人の力を生かす「ガイデッドセルフヘルプ」(指導付きセルフヘルプ)の考えを援用することは可能である.神経性過食症は,ガイデッドセルフヘルプや認知行動療法など本人の治療参加を前提とした治療の効果が知られている.国内では,抗うつ薬による薬物療法のみの場合もあるが,海外では,薬物療法のみは望ましくないとされている.生活リズムの改善や症状モニタリングを導入すれば,より効果的だといえるだろう.摂食障害の治療において,治療の連続性は非常に重要である.体重回復のための入院治療後,治療が中断する事例は跡を絶たない.再発のサインは何か,そのときどう対応するかなどを退院前に本人や家族とも相談し,外来主治医に積極的に伝えるなどの努力が求められる.摂食障害においても,他の精神疾患同様,早期発見と治療開始が重要である.学校の養護教諭は,健診などを通して,摂食障害を早期に発見しやすい立場にある.学校と医療の連携のための指針も作られたことから,今後は早期に発見されたケースの受診が増えるものと思われる.これらに対する精神科での適切なプライマリケアが求められるだろう.

索引用語:神経性やせ症, 神経性過食症, 治療中断, 否認, 早期発見>
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