Advertisement第115回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第120巻第12号

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資料
措置入院制度に対する精神保健指定医の意識に関するアンケート調査
根本 康1), 太田 順一郎2), 伊藤 哲寛3), 岡崎 伸郎4), 佐竹 直子5), 稲垣 中6), 梅田 寿美代7), 大石 賢吾8), 下田 和孝9), 飛永 雅信10), 直江 寿一郎11), 福原 秀浩12), 松原 三郎13), 三國 雅彦14), 水野 雅文15), 三野 進16), 吉住 昭17)
1)医療法人くすのき会南飯能病院
2)岡山市こころの健康センター
3)北見赤十字病院
4)独立行政法人国立病院機構仙台医療センター
5)国立精神・神経医療研究センター病院
6)青山学院大学教育人間科学部/保健管理センター
7)NTT西日本大阪病院
8)千葉大学大学院医学研究院精神医学
9)獨協医科大学精神神経医学講座
10)独立行政法人国立病院機構新潟病院神経内科
11)医療法人社団旭川圭泉会病院
12)医療法人微風会浜寺病院
13)社会医療法人財団松原愛育会松原病院
14)社会医療法人函館渡辺病院
15)東邦大学医学部精神神経医学講座
16)みのクリニック
17)医療法人社団翠会八幡厚生病院
精神神経学雑誌 120: 1060-1073, 2018
受理日:2018年8月25日

 これまで精神保健福祉法の改正が繰り返し行われてきたが,措置入院制度が見直されることはなかった.しかし,2016年の相模原障害者施設殺傷事件を契機に,措置入院制度も見直しがなされようとしている.日本精神神経学会精神保健福祉法特別委員会(現在の精神保健福祉法委員会)では,抽出された学会員を対象に措置入院制度に関するアンケート調査を行った.有効回答率は29.8%だった.回答した精神保健指定医の約3割が措置診察を負担と感じ,診察に消極的だった.大部分の指定医は「自傷他害のおそれ」をごく近い将来に限った予測と見なしていた.また指定医の45%が,措置診察に際して要措置の判断を関係者から暗に期待されていると感じていた.措置入院の要件を満たし,かつ医療保護入院も可能な症例において,措置入院を優先的に選択しないとする指定医が少なくなかった.措置入院中の医療が,治療の流れを分断することなく十分な医療提供ができていると考える回答者は4分の1にすぎず,措置入院という枠組みでの医療の限界を示唆していた.措置入院患者支援のために保健所や家族との連携を重視するとの意見が多かった.また,措置解除後の患者支援のための関係者会議を「必要に応じて開催する」という回答が多く,措置事例全例に対して実施するという意見は少なかった.措置症状消退届における「訪問指導等に関する意見」と「障害福祉サービス等の活用に関する意見」の記載も一律に必要という意見は多くはなかった.自由記載では,措置入院の対象とすべき疾患の見直し,措置入院指定病院の指定基準の見直し,措置入院にかかわる専門職の質の向上など,多岐にわたる課題が提起されていた.このように臨床の現場にかかわる精神科医が現行措置入院制度にさまざまな課題があることを認識しており,幅広い観点から措置入院制度,さらには精神医療における入院制度全体について検討すべきだろう.

索引用語:措置入院, 精神保健指定医, 意識調査, 措置診察, 機関連携>
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