Advertisement第115回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第120巻第10号

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資料
「精神科担当医の診察態度」を患者・家族はどのように評価しているか―約6,000人の調査結果とそれに基づく提言―
夏苅 郁子1), 夏苅 直己1), 金原 明子2), 熊倉 陽介3), 笠井 清登2), 福田 正人4), 池淵 恵美5)
1)やきつべの径診療所
2)東京大学大学院医学系研究科精神医学
3)東京大学大学院医学系研究科精神保健学
4)群馬大学大学院医学系研究科神経精神医学教室
5)帝京大学医学部精神神経科学講座
精神神経学雑誌 120: 868-886, 2018
受理日:2018年7月5日

 【背景】現在の精神科担当医の診察態度・コミュニケーション能力について,治療場面における患者・家族としての立場からの評価を調査した.【方法】無記名自記式質問票18,000通を全国の患者・家族協力団体へ郵送した.【結果】質問紙回答6,341人,有効回答6,202人(患者本人2,683人,家族3,519人)であった.年代では患者本人は30代・40代,家族は60代・70代が多く,性別は本人は男性52.0%,家族は男性24.4%,生活状況は73.4%が家族と同居,治療状況では4人以上,担当医を変わった人が48.8%,担当医変更の理由は医師側の理由が最も多かった.通院・入院先では精神科病院や診療所が多く,病名は統合失調症(71.6%)が最も多かった.医師を選択する基準は「適切な薬を処方する能力」が本人・家族ともに最も多く(本人65.4%,家族71.0%),人柄,コミュニケーション能力,行動力が次に続いた.診察態度の評価(本人)では「清潔な身だしなみである」「きちんと顔を見て,目を見て話をしてくれる」が現状では「満足」と感じられる項目の上位,「早く診察を切り上げようとする雰囲気がある」が「不満足」と感じられる項目の上位であった.本人より家族のほうが「不満足」の評価をする傾向があった.コミュニケーション能力の評価では「尊敬や信頼ができる」「話をよく聞いてくれる」が現状では「満足」と感じられる項目の上位,「急変時の対応策を教えてくれない」「適当に扱われ,親身に対応してくれない」が「不満足」と受け止められる項目の上位であった.本人・家族とも5割以上が「患者本人の価値観を中心に診察をしている」と回答した.そうした回答をした人たちは,医師の態度についても好評価をする傾向がみられた.【結論】日本で初めて実施された大規模な調査により,診療の質を高め患者の回復に重要と思われる,担当医の診察態度・コミュニケーション能力についての患者・家族としての立場からの評価がわかり,今後の診療について参考となる知見と考えられる.

索引用語:精神科担当医の診療態度, コミュニケーション能力, 患者-医師関係, 共同意思決定, 自記式質問紙調査>
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