Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第119巻第9号

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特集 社会に向けてのアンチスティグマの発信
有効なアンチスティグマ活動を展開するために―過去の文献レヴューと自験例における予備解析結果から―
武内 治郎, 阪上 優
京都大学健康科学センター
精神神経学雑誌 119: 650-657, 2017

 有効なアンチスティグマ活動を展開するために,過去の文献と著者らによるスティグマ調査の予備解析結果を考察する.スティグマは援助希求行動に関連し,セルフスティグマ(自分自身が精神疾患についてどう思うかに関する個人の思い)や知覚されるスティグマ(社会が精神疾患についてどう思うかに関する個人の思い)などに分類され,属性や背景によって異なり,精神の健康度との関連も示唆される.自験例は単施設横断研究で某年A大学秋学期入学の留学生を対象とした.各属性や背景,6-item Kessler Psychological Distress Scale,Link Stigma Scale/Self-Stigma of Mental Illness Scale-Shortの各尺度を自己記入式調査票で尋ねた.各スティグマ尺度の高得点群をアウトカムとしてロジスティック回帰分析により諸要因を調整した上でオッズ比を算出した.110人中61人(55.5%)が回答し,知覚されるスティグマの高得点群と統合失調症の知識との間に正の関連を示した(オッズ比3.84;95%信頼区間1.22~12.10).すなわち,統合失調症の知識を多くもっていると自認していればしているほど,スティグマが深刻化することが示唆された.有効なアンチスティグマ活動を展開するためには,統合失調症のスティグマの特質を理解した上で,十分な配慮と工夫が必要であると考えられる.

索引用語:スティグマ, 精神保健, 健康教育, 大学生, 偏見>
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