Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第119巻第8号

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特集 非定型精神病臨床・研究の最前線
抗NMDA受容体脳炎の臨床と病態
田中 惠子1)2)
1)新潟大学脳研究所細胞神経生物学
2)福島県立医科大学多発性硬化症治療学
精神神経学雑誌 119: 573-580, 2017

 自己免疫性脳炎の多くは幻覚・妄想・異常行動などの精神症状や記銘障害,けいれんで発症する.一部は診断に有用なマーカーとなる自己抗体が検出され,そのうち最も検出頻度が高いのが,NMDA受容体に対する抗体である.抗NMDA受容体抗体陽性例は若年女性が多く,精神症状に続いて,けいれん,ジストニアなどの不随意運動,自律神経症状,呼吸不全などが加わる.卵巣奇形腫を合併する場合は,腫瘍切除と免疫療法を早期に導入することで,症状の早期改善が期待される.自己免疫性脳炎は精神症状で初発することが多く,精神症状が主たる症候として遷延し他の症候が目立たない例もあるため,早期の診断・治療には,自己抗体の検出に加え,併存する軽微な自律神経症状や不随意運動,記憶障害,呼吸不全などを観察することが有用である.

索引用語:自己免疫性脳炎, 辺縁系脳炎, 抗NMDA受容体抗体, 奇形腫>
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