症例は生後2ヵ月で脳血栓を発症し孔脳症となり軽度の左片麻痺を残すも順調に発達成長した成人男性である.20代になって,初回は錯乱エピソード,2回目は昏迷エピソード,3回目は遁走エピソードを生じ,いずれも短期間で完全に元の状態に戻っている.この1例を報告し非定型精神病における臓器としての脳の脆弱性を考察する.非定型精神病は意識の病理があるといわれ,間脳の脆弱性の問題が指摘されているが,本症例においてもその特徴が際立っていた.
急性精神病エピソードを繰り返す孔脳症の1例から非定型を考える
八代更生病院
精神神経学雑誌
119:
558-564, 2017
<索引用語:孔脳症, 非定型精神病, 急性精神病, 遁走, 錯乱>