Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第119巻第3号

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特集 向精神薬の多剤・大量療法からの脱却への道―清く正しく美しく―
統合失調症における多剤・大量療法の功罪―ガイドラインから―
橋本 亮太1)2), 安田 由華2), 藤本 美智子2), 山森 英長2)
1)大阪大学大学院連合小児発達学研究科子どものこころの分子統御機構研究センター
2)大阪大学大学院医学系研究科精神医学教室
精神神経学雑誌 119: 185-191, 2017

 統合失調症における多剤・大量療法の問題が指摘されて久しく,2011年の本学会総会において抗精神病薬の多剤大量投与について取り上げられている.そこでは,本邦では諸外国と比較して突出して抗精神病薬の多剤投与が多く薬剤数が多いことが示され,抗精神病薬の多剤併用率が65%程度,大量処方率が30%を超え,抗パーキンソン薬,抗不安薬/睡眠薬,気分安定薬の併用率もそれぞれが30~80%と高いことが報告された.2014年には,向精神薬の多剤処方に対する診療報酬の減額がなされたが,まだその影響については十分知られていない.このようなことを背景に,本稿においては,日本における統合失調症における多剤・大量療法に対して,日本神経精神薬理学会が作成した本邦初のエビデンスに基づいた統合失調症薬物治療ガイドラインにおいてどのように扱われているかについて述べ,認知機能障害が認められる症例を提示した.さらに,このガイドラインの普及と教育を目的としたEGUIDEプロジェクトについて言及した.一人でも多くの統合失調症患者がより適切な治療を受けられるようになることを願ってやまない.

索引用語:統合失調症, 多剤大量療法, 統合失調症薬物治療ガイドライン, EBM(根拠に基づく医療), EGUIDEプロジェクト>
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