Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第119巻第3号

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特集 精神医療・精神医学に関するガイドラインの現状と問題点
英国の精神医療におけるNICEガイドラインの影響
リー・アンドリュー・キセイン1), 田村 法子2)3)4), 吉村 公雄1)
1)慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教室
2)日本精神神経学会精神医療・精神医学情報センター
3)慶應義塾大学医学部医学教育統轄センター
4)慶應義塾大学病院緩和ケアセンター
精神神経学雑誌 119: 166-172, 2017

 国立医療技術評価機構(NICE)は,英国保健省配下の政策遂行型政府外公共機関である.設立目的は医療の地域格差改善だったが,結果的に,臨床ガイドライン策定の模範として国際的に高い評価を得ることとなった.ガイドラインは,主として効き目(efficacy)と費用効果(cost-effectiveness)の評価に基づき,費用便益(cost-benefit)の境界線が明示されている.ガイドラインごとに,医療や介護の専門家,一般の代表,技術技師からなるガイドライン策定班が創設され,各班はエビデンスを検索・評価し,臨床的推奨を見出すことでガイドラインを策定する.利害関係者がコメントする機会も2回与えられている.ガイドラインは推奨する診療を医療従事者に対して提示するだけでなく,患者の自己選択を助け,患者と医療専門家とのコミュニケーションを改善し,研究活動への注目度を上げることも意図されている.現在,精神医療に関するガイドラインには,依存,アルコール使用障害,不安,注意欠陥障害,自閉症,双極性障害,幻覚,認知症,うつ病,摂食障害,パーソナリティ障害,統合失調症,自傷,その他がある.英国で働く精神科医は,教育やクリニカルガバナンスの監査を通じて直接的に,医療機関や患者の行動を通じて間接的に,NICE臨床ガイドラインから大きな影響を受けている.

索引用語:National Institute for Health and Care Excellence, NICEガイドライン, 精神医療, 影響, 英国>
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