Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第119巻第2号

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特集 公認心理師のこれから
医療の立場から公認心理師に期待すること―ドイツの例を参考にして―
林 道彦1), 舩津 邦比古2)
1)朝倉記念病院
2)伊都の丘病院
精神神経学雑誌 119: 105-113, 2017

 公認心理師が保険医療の中で2019年には実働を開始する予定である.ドイツは日本同様国民皆保険で,すでに国家資格をもつ心理学出身心理療法士が機能している.両国の心理職には類似点と相違点がある.ドイツの心理学系心理療法士資格は医師同様開業資格であり,彼らは病院で働くことも,自前の診療所をもつことも認められている.患者は直接心理療法士を訪れて治療を受けることもできる.心理療法士は自ら保険機構に診療報酬を請求することができる.彼らが得る診療報酬額は,精神科専門医が得る額と大きく違わない.しかし彼らは薬物を処方することはできないし,診断書を発行することもできない.これらは医師に委ねることになる.翻って日本の公認心理師も同様に薬物投与と診断書発行は業務に含まれておらず,個人開業も認められていない.昨今医療の広い領域で精神医療の需要が増えているので,どの科の医師も公認心理師に直接心理療法指示を出せることは,実情に即しているといえる.しかし公認心理師の仕事を理解・評価できるのは主に精神科医であろうから,精神科医の関与がどこかに必要であろう.公認心理師の心理療法には診療報酬が支払われるべきである.

索引用語:ドイツ, 心理学系心理療法士, 心理療法, 公認心理師, 診療報酬>
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