Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第119巻第12号

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特集 さまざまな精神障害の「病識」をどのように治療に生かすか
物質依存症―否認の病の「病識」を治療に生かす―
松本 俊彦
国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部
精神神経学雑誌 119: 911-917, 2017

 物質依存症は「否認の病」と呼ばれ,かつては,その治療にあたっては,まずは患者の否認を打破し,依存症であるとの病識を獲得させるところから始まるといわれていた.しかし近年では,否認打破を目的とする直面化や対決的な治療態度による介入は,共感的,支持的な姿勢で臨む介入に比べて,治療中断率が高く,最終的な治療成績が悪いことが指摘されるようになった.実際,著者自身も,最近10年ほどの外来治療に特化した臨床をしているうちに,否認を打破し,性急に断酒・断薬を求める治療をしなくなり,まずは治療関係の継続を重視するスタンスへと変化したと実感している.本稿では,著者が,この「否認の病」の治療において日頃自戒していることを,特に初診のあり方―治療者としての「出会い方」―にフォーカスして述べてみた.

索引用語:物質使用障害, 直面化, 底つき, 治療継続性, 否認>
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