Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第119巻第10号

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会長講演
第112回日本精神神経学会学術総会
まっすぐ・こころに届く・精神医学―その軌跡をたどる―
中山 和彦
心和会八千代病院
精神神経学雑誌 119: 773-783, 2017

 まっすぐ直接こころに届かなければ役に立つ精神医学とはいえない.この難題の切り口として,著者は「自律と連続の融合」というキーワードを思いついた.自律とは病因の明確な疾患のことで,連続とは病態生理はわかっているが,病因が解明できない障害群であり,シンドロームのことである.精神障害のほとんどは真の原因は不明である.それにもかかわらず,長く疾患として精神分裂病,躁うつ病と分類されてきた.それに対する対策として操作的に診断し,いわゆる類型分類にとどまることが一般的になっている.著者は急性精神病の中核の1つである「非定型精神病」に長く注目してきた.「非定型精神病」は操作的診断の導入によって病因に直結している可能性のある症候が見逃され,こぼれ落ちていった代表的な疾病である.またその臨床特性,特異性からは病因に今にも手が届きそうであり,他を圧倒している.「非定型精神病」はもう一息で類型分類から一抜けできそうなところに位置しているのである.非定型精神病の病態の軌跡を追うことで,こころに届く精神医学の実現について論じた.

索引用語:非定型精神病, カタトニア, 月経周期, 急性精神病, アイコン型自我>
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