精神保健福祉法第41条の「指針」の中の「病床機能分化」に関して,日本精神神経学会会員の意見を把握することを目的にアンケート調査を実施した.平成27年5月1~30日の間に学会ホームページに質問事項(9項目)を掲載し,回答者が特定されないよう,web上で回答を求める手法で調査を行った.862名(会員全体の5.3%)の回答が得られた.回答の動向をみると,賛成群が圧倒的に多かった(80%以上)質問項目は,「回復期入院治療を多職種で充実する」「重度かつ慢性患者については病状の程度に応じて処遇する」「地域移行は受け皿の整備状況を見ながら進める」の3項目であった.賛成群がやや多かった(55~62%)質問項目は,「急性期充実のために慢性期病床を削減する」「身体合併症・高齢者については病床転換型老健類似施設で処遇する」「病院内の人材を地域に移動させる必要がある」の3項目であった.反対群が賛成群よりもやや多かった(反対が47%程度)質問項目は,「慢性患者の症状評価は第三者機関で」「生活訓練施設は地域内に置くべきである」の2項目であった.アンケート調査によって各種問題に対する会員の意向を知ることができ,極めて有意義な調査であった.
「病床機能分化と地域移行」に関する学会員へのアンケート調査結果報告
1)社会医療法人財団松原愛育会松原病院
2)帝京平成大学大学院臨床心理学研究科
3)岡山市こころの健康センター
4)徳島大学大学院医歯薬学研究部精神医学分野
5)宮城県立精神医療センター
6)成田赤十字病院精神神経科
7)医療法人社団正心会よしの病院
8)代々木の森診療所
9)函館渡辺病院
10)国立精神・神経医療研究センター精神保健計画研究部
11)医療法人社団翠会八幡厚生病院
12)山口大学大学院医学系研究科高次脳機能病態学分野
2)帝京平成大学大学院臨床心理学研究科
3)岡山市こころの健康センター
4)徳島大学大学院医歯薬学研究部精神医学分野
5)宮城県立精神医療センター
6)成田赤十字病院精神神経科
7)医療法人社団正心会よしの病院
8)代々木の森診療所
9)函館渡辺病院
10)国立精神・神経医療研究センター精神保健計画研究部
11)医療法人社団翠会八幡厚生病院
12)山口大学大学院医学系研究科高次脳機能病態学分野
精神神経学雑誌
118:
680-687, 2016
<索引用語:精神病床機能分化, 急性期精神科病床, 慢性期精神科病床, 病床削減, 病床転換型施設>