Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第118巻第8号

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総説
摂食障害の認知行動療法
西園マーハ 文
白梅学園大学
精神神経学雑誌 118: 561-569, 2016

 神経性やせ症に,ボディイメージの歪みなどの認知の問題があることは古くから知られているが,認知の修正はきわめて難しいとされてきた.一方,近年神経性やせ症以上に有病率の高い神経性過食症においては,フォーマットが定まった認知行動療法が開発され,その治療効果のエビデンスが示されている.この治療を低体重群にも適用する中で,神経性やせ症にも認知行動療法的な治療を実践する可能性が出てきている.神経性過食症に対する認知行動療法は,一時的には週2回の外来面接を必要とし,日本での実践には解決しなくてはならない課題が多い.海外で治療の第一段階として推奨されるガイデッドセルフヘルプなどの手法を取り入れることも有用だと思われる.神経性やせ症に対する認知行動療法の効果については,まだ報告が十分ではないが,体重回復後の再発防止などの領域には有用な手法ではないかと思われる.従来の行動療法や栄養療法が当事者を受身的立場に置くのに比較して,認知行動療法は当事者を治療に参加させるという点で注目され,今後の発展が望まれる.当事者の病識という認知の問題についても,治療に当事者を参加させていくことで改善するかどうか,今後の研究が望まれる.

索引用語:摂食障害, 神経性やせ症, 神経性過食症, 認知行動療法, 病識>
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