全般不安症/全般性不安障害(GAD)はもともと残遺カテゴリーから出発し,「心配(予期憂慮)」を中心症状とする独立カテゴリーとして再構築された.しかし「心配」は他の精神疾患や身体疾患でも多くみられるし,GADと他の精神疾患の併存率は高く,GAD診断の意義が大きく揺らいでいる.「GADはうつ病の前駆症状あるいは残遺症状ではないか」,あるいは「ただの増悪因子や重症度指標ではないか」との意見もある.ここでは,GAD診断の問題点,抑うつとの相互作用と臨床的意義についてふれ,GADのような慢性不安障害がどの程度寛解するものなのか,その治療についてふれる.
全般不安症/全般性不安障害と抑うつ―その相互作用と臨床的意義,治療について―
JCHO東京新宿メディカルセンター精神科
精神神経学雑誌
118:
509-515, 2016
<索引用語:全般不安症, 抑うつ, 心配, 予期憂慮, 残遺カテゴリー>