本稿は第111回日本精神神経学会学術総会での同タイトルの教育講演の内容の一部を論文化したものである.はじめに現在の犯罪被害者支援の状況,およびそれに対応する精神科医療の現状について述べた.続いて心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断された犯罪被害者自験例を提示し,被害者本人も自覚していないことが多いため診療で見逃されやすい回避症状および解離の一症状としての感情の麻痺を取り上げ,症状の理解と治療について解説した.
第111回日本精神神経学会学術総会
犯罪被害者支援の今―精神科医の視点から―
武蔵野大学人間科学部
精神神経学雑誌
118:
249-255, 2016
<索引用語:犯罪被害者, PTSD, 心理教育, 回避>