Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第118巻第4号

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資料
都道府県による精神疾患の医療計画に関する分析と提言
精神医療・保健福祉システム委員会: 黒田 研二※1), 岩成 秀夫※※2), 太田 順一郎※※3), 根本 康※※4), 吉住 昭(委員長)※※5), 新垣 元6), 安西 信雄7), 池田 学8), 磯村 大9), 一瀬 邦弘10), 伊藤 哲寛11), 大海 聖子12), 大森 哲郎13), 岡崎 伸郎14), 加藤 春樹15), 小髙 晃15), 佐竹 直子16), 佐藤 茂樹17), 佐藤 忠彦18), 佐野 威和雄19), 関 健20), 竹島 正21), 羽藤 邦利22), 松原 三郎23), 三國 雅彦24), 水野 雅文25), 三野 進26), 森村 安史27), 門司 晃28), 渡辺 義文29), 山下 俊幸30), 山之内 芳雄21)
※執筆責任者
※※共著者
1)関西大学人間健康学部
2)横浜市総合保健医療センター
3)岡山市こころの健康センター
4)川崎市立川崎病院精神神経科
5)医療法人社団翠会八幡厚生病院
6)医療法人卯の会新垣病院
7)帝京平成大学大学院臨床心理学研究科
8)熊本大学大学院生命科学研究部神経精神医学分野
9)地精会金杉クリニック
10)医療法人聖美会多摩中央病院精神科
11)北見赤十字病院精神科
12)大海クリニック
13)徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部精神医学分野
14)独立行政法人国立病院機構仙台医療センター精神科
15)宮城県立精神医療センター
16)国立精神・神経医療研究センター病院精神科
17)成田赤十字病院精神神経科
18)桜ヶ丘記念病院精神科
19)医療法人社団正心会よしの病院
20)社会医療法人城西医療財団城西病院
21)国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所
22)代々木の森診療所
23)社会医療法人財団松原愛育会松原病院
24)群馬大学大学院医学系研究科
25)東邦大学医学部精神神経医学講座
26)みのクリニック
27)一般財団法人仁明会精神衛生研究所
28)佐賀大学医学部精神医学講座
29)山口大学医学部神経精神医学講座
30)京都府立洛南病院
精神神経学雑誌 118: 199-211, 2016
受理日:2015年11月30日

 精神医療・保健福祉システム委員会は,47都道府県による精神疾患の医療計画の内容を分析した.「精神疾患が医療法における医療計画の重要疾病として記載されるにあたっての日本精神神経学会理事会見解」(2011年9月28日)を踏まえて,計画に関連する協議の場,医療情報公開,数値目標の3つの観点から検証した.2012年度に策定された47都道府県医療計画を収集した.また,各都道府県所管課担当者に精神疾患の計画策定のプロセスについての質問紙を送り回答してもらった.回答した45自治体のうち精神疾患計画策定作業部会の開催回数は平均3.0回で最多は7回(3ヵ所),2回以下は15ヵ所,うち7ヵ所は開催していなかった.47都道府県の医療計画において,精神疾患に関する地域医療連携を進めるための協議の場を記載しているところも半数に満たなかった.各種医療機能を担う医療機関の名称の記載については,「精神科救急担当医療機関」「認知症疾患医療センター」の名称は多くの医療計画で記載されていた.しかし,各種精神疾患に関連した医療機能とそれを担う医療機関の名称については,計画に記載しているところは約半数にとどまった.数値目標については,「1年未満入院患者平均退院率」は大多数の自治体で記載され,「自殺死亡率」や「認知症疾患医療センター数」も比較的多く記載されていたが,「医療保護入院患者1年以上入院率」はほとんど記載されず,「人口10万人当たり年間医療保護入院患者数」や「保護室隔離を受けている患者の割合」も少なかった.都道府県間に計画内容の差はあるが,総じて,計画策定を通じた精神疾患の医療の改善はやっとその緒についたところである.医療法に基づく精神疾患の医療計画は,精神保健福祉法第41条「指針」,障害者総合支援法の障害福祉計画,介護保険法の介護保険事業(支援)計画などと密接に関連し連動している.これらの指針や計画を全体として関連づけながら,精神疾患の医療計画の推進と評価,見直しを継続していくことが求められている.

索引用語:精神疾患, 医療計画, 医療機能, 地域医療連携, 数値目標>
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