Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第118巻第11号

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総説
認知症の緩和ケア
小川 朝生
国立研究開発法人国立がん研究センター東病院精神腫瘍科
精神神経学雑誌 118: 813-822, 2016

 超高齢社会を迎えたわが国では,認知症をもつ人への支援体制の整備が緊急の課題である.その中で,従来悪性腫瘍への対応を中心に発展してきた緩和ケアを認知症ケアへ応用する試みが行われている.緩和ケアは,苦痛の予防と苦痛からの解放を目的にしている.そのために疾病の経過の把握,今後起こりうる問題の予測と苦痛への対処,尊厳の尊重と誠実でオープンなコミュニケーションを重視する.認知症への支援には,身体症状への対応,特に認知機能障害により過小評価をされがちな痛みや苦痛への積極的な対応と,心理的苦痛への対応,早期からの積極的な意思決定支援,家族の苦痛への配慮が強調される.緩和ケアアプローチは,もともと疾病治療とあわせて提供されてきた点から,合併症をもった認知症への対応と親和性がある.今後,急性期病院や在宅医療において広く認識されることが期待される.

索引用語:緩和ケア, 認知症, 意思決定, コンサルテーション・リエゾン精神医学, アドバンス・ケア・プランニング>
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