治療関係を構築することは,精神科診療を行う上で重要不可欠である.しかし,それは必ずしも容易ではない.治療関係を困難にする要因はさまざまである.例えば,医師が治療構造の変化に気づいていないことや,逆転移あるいは逆転移感情に気づいていないことは,治療関係の構築や維持の妨げになりうる.精神科医としての研修途上においては,自らそれらに気づいて適切に対処することは難しい.スーパービジョンやケースカンファレンスの充実が望まれる.
治療関係で困った経験,そしてそのときどう対処したか
茨城大学保健管理センター
精神神経学雑誌
118:
771-774, 2016
<索引用語:精神療法, 治療関係, 治療構造, 逆転移>