Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第117巻第9号

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特集 大人のADHDの診断はどのようにあるべきか?
成人期ADHDと気分障害・不安症の併存
岡田 俊
名古屋大学医学部附属病院親と子どもの心療科
精神神経学雑誌 117: 768-774, 2015

 成人期ADHDには,気分障害,不安症,外在化障害,ニコチン依存が併存しやすい.これらの併存障害の位置づけは多様であるが,双極性障害を除けば二次障害としての位置づけをももつものである.成人精神科を受診するケースの多くは,併存精神疾患を主訴として受診し,生育歴の聴取や精神症状の改善後も持続する生活上の困難のために成人期ADHDの存在に気づかれる.しかし,その症状は他の精神疾患の症状に包含されやすく時に診断が困難である.同時に鑑別も求められるが,わずかな症状の相違はあると考えられる.治療上の扱いを巡っては,いくつかのエビデンスが提供されている.双極性障害の併存例では,気分安定化を主眼にした治療を先行させるが,うつ病との併存例においては,同時に治療を進めてよいと考えられている.不安症の併存例においては,atomoxetineによるADHD治療で不安症状の改善が見込まれる.成人になってからの診断例においては,これまでの歩みをたどった上で,心理社会的な側面も含めた多面的な理解のもと包括的に治療を進めることが求められる.

索引用語:成人期ADHD, 気分障害, 不安症, 併存障害>
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