Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第117巻第9号

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特集 精神医学の未来を切り開く―大学院教育はこれでよいのか(II)―
精神科臨床の課題解決をめざす人材の育成
尾崎 紀夫
名古屋大学大学院医学系研究科精神医学・親と子どもの心療学分野
精神神経学雑誌 117: 730-736, 2015

 精神科臨床において,「日々の臨床疑問の解決」とともに,「病因・病態を解明し,病因・病態に即した診断,治療・予防法の開発」をめざす研究の必要性は大きい.大学の精神医学講座は,精神科臨床の課題解決につながる研究を行う中で,課題解決をめざす人材を育成し,先進的かつ個別化された精神科医療を実践することを使命としている.研究を推進する人材育成にあたっては,当事者のニーズを優先させる臨床研究の重要性を確認した上で,以下の諸点に関する教育が必要である.①文献を批判的に吟味して,精神科臨床に関してわかっていること,わからないことを明確にし,研究の目的を定めること(社会的/科学的な価値).②確立された科学的な理論と方法(統計解析法の適切性を含む)により,再現性と妥当性に富むデータを得ること(科学的な妥当性).その上で,インフォームド・コンセントなどの倫理的配慮にも思いが至ること.研究志向性をもった人材の育成が,当事者,家族のニーズをかなえる研究成果には不可欠である.

索引用語:臨床研究, 患者のニーズ, 大学院医学教育, 医学倫理>
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