治療環境の向上には,既存の治療法のエビデンスを蓄積し治療戦略を確立するとともに,新たな治療法の開発を行っていくことが重要である.近年,精神神経疾患領域では,数多くの新薬が本邦でも承認されるなど,治療法の選択肢は拡大した.数ある治療法の中で最適な治療方法を合理的に選択するには,より多くの情報を収集し,エビデンスを適切に理解することが必要になる.このため本稿では,有効性や安全性の直接的な証拠となる臨床試験に焦点をあて,試験実施計画やデータの確認ポイントについて概説する.そして,精神神経疾患を対象とした臨床試験の特徴についても説明し,臨床医にとって必要な情報を中心に,結果の解釈を行う上での留意点を解説する.
第110回日本精神神経学会学術総会
臨床試験のデザイン,データの確認ポイント,そして読み解き方
独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第三部
精神神経学雑誌
117:
669-679, 2015
<索引用語:精神神経疾患, 臨床試験, 頑健性, プラセボ反応性, バイアス>