Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第117巻第2号

※会員以外の方で全文の閲覧をご希望される場合は、「電子書籍」にてご購入いただけます。
特集 rTMS の国内導入の展望と課題
精神神経疾患を対象とした臨床試験の特徴と留意点―大うつ病性障害を中心に―
中林 哲夫
独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第三部
精神神経学雑誌 117: 110-119, 2015

 治療環境の向上には,既存の治療法のエビデンスを蓄積し治療戦略を確立するだけでなく,新たな治療法の開発を行っていくことも重要である.そして新たな治療法の開発では,臨床試験により有効性を証明し安全性を示すことが必要となる.臨床試験での有効性の証明には,①よく計画され適切に実施された臨床試験であること,②事前に計画された主要解析による統計学的に有意な結果が得られること,③得られた結果の臨床的意義があることを示す必要がある.精神神経疾患を対象とした臨床試験の最大の特徴は,プラセボ反応性は小さくはなくそして一定しないことであり,抗うつ薬などの有効性の証明には,分析感度が内在するプラセボ対照試験が必要だと考えられている.しかし,プラセボに対する優越性を示すことは容易ではなく,有効性や安全性評価に影響する要因について事前に十分精査し,これらの要因が最小となるように臨床試験を計画し実施することが重要である.本稿では,大うつ病性障害を対象とした臨床試験の基本デザイン,そして精神神経疾患を対象とした臨床試験の特徴と留意点について概説する.

索引用語:精神神経疾患, 大うつ病性障害, 試験デザイン, 臨床評価ガイドライン, プラセボ反応性>
Advertisement

ページの先頭へ

Copyright © The Japanese Society of Psychiatry and Neurology