Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第117巻第12号

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教育講演
第111回日本精神神経学会学術総会
薬物療法の基本―患者に利益する養生法―
大森 哲郎
徳島大学大学院医歯薬学研究部精神医学分野
精神神経学雑誌 117: 1004-1010, 2015

 薬物療法の要諦は不要な薬物は使わないという心がけにある.まず使用の適否を検討しなくてはならない.抑うつ状態に関しては,了解可能な心理反応ならば使用しないし,うつ病の基準を満たしても生活障害がわずかならば慎重に判断する.抗うつ薬の作用様式は定かではないが,健常者にも効果が及ぶような非特異的な気分改善作用はなく,うつ状態の基盤にある脳科学的変化を是正して効果を発揮すると考えてよいだろう.使用する際には必要最小限の介入すなわち単剤使用が基本となる.単剤使用してこそ効果も副作用も判定可能であり,他の治療法との照合も可能となる.適切に使用したときの薬物のベネフィットは大きいが,リスクもあり,それは最小化を心がけても絶無とはならないことも忘れてはならない.

索引用語:薬物療法, うつ病, 抗うつ薬, 単剤治療>
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