Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第117巻第1号

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特集 うつ病治療における行動活性化―「休息と薬物療法」を超えていかに導入するか―
抑うつ障害に対する行動活性化療法の有効性のエビデンス
黒木 俊秀, 石橋 大樹
九州大学大学院人間環境学研究院実践臨床心理学専攻
精神神経学雑誌 117: 42-48, 2015

 従来,認知行動療法(CBT)の一技法として位置づけられてきた行動活性化療法(BA)のうつ病に対する有効性に関するエビデンスが,近年,蓄積されつつある.本稿では,うつ病に対するBAの有効性とその適応や限界を明らかにするために,文献的レビューを行った.1990年代にCBTの成分分析によりBAの有効性を提唱したワシントン大学のグループは,うつ病に対するBAと認知療法(CT),または抗うつ薬との比較を検討した結果,比較的重症群のうつ病の急性期治療において,BAはCTよりも優れ,抗うつ薬と比肩する効果があると示唆した.また,経過観察研究は,持続性効果と対費用効果の点で,BAが抗うつ薬に勝ることを示した.最近のメタ解析研究は,BAと他の精神療法との間にうつ病に対する有効性に有意の差がないと報告している.しかし,BAは,患者にも治療者にも技術的に習得することが比較的容易であり,また,時間的効率にも優れているため,軽症~中等症のうつ病治療の第1選択肢として推奨されている.今後,BAをわが国の一般的なうつ病診療に導入するには,適応,導入の時期,および技法などについて詳細な検討が必要である.

索引用語:行動活性化療法, 認知療法, うつ病, 日常活動スケジュール作成, 反芻>
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