Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第116巻第9号

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症例報告
気分障害を伴う概日リズム睡眠障害に対してramelteonが著効した1例
吉原 慎佑, 吉澤 門土, 白田 朱香, 松田 美夏, 玉城 元之, 斉藤 一朗, 阪本 一剛, 藤村 洋太, 田村 義之, 千葉 茂
旭川医科大学医学部精神医学講座
精神神経学雑誌 116: 746-751, 2014
受理日:2014年3月20日

 Ramelteonは,メラトニン受容体(MT1/MT2)作動薬という特徴をもった新しい睡眠薬であり,睡眠相の調節作用を有することが報告されている.今回我々は,ramelteonが著効した,気分障害を伴う概日リズム睡眠障害の1例について報告する.症例は25歳,男性.5年前から情動の不安定さが出現した.また日中の過度の眠気や朝の起床困難が随伴したため,某精神科で気分障害およびナルコレプシーの疑いと診断された.十分量と思われる薬物治療(sertraline,milnacipran,valproate,methylphenidateなど)が数年間行われたが著効せず,当科を受診した.睡眠習慣についての問診票や睡眠日誌から睡眠相の後退が認められ,また,actigraphyやvideo-polysomnographyなどの諸検査の結果,ICSD-2における概日リズム睡眠障害,睡眠相後退型(DSPT)と診断された.一方,気分障害については,ICD-10における気分循環症の診断基準に矛盾しなかった.Ramelteonの内服開始後より睡眠相は徐々に前進し,情動の不安定さは軽減した.概日リズム睡眠障害と気分障害の合併率は高いことが知られており,気分障害の背景にある概日リズム睡眠障害の存在を見逃さないことが重要である.

索引用語:概日リズム, メラトニン, 気分障害, ラメルテオン, 睡眠障害>
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