児童精神医学の存在意義は,その子どもの将来の成人期のためにある.発達をその視点で見据えた臨床的な態度が必要である.このような視点から,発達を捉え,児童期の精神障害が,成人期にどのように展開するかを述べた.言い換えれば,成人の精神障害は,子ども時期の精神発達ないし精神障害に対する対応の不十分さの反映でもある.成人期をみる精神科医が,その患者をそういった視点でみれば,子どもの精神医学への関心をうまく示してもらえるだろう.
成人精神医学からみた児童精神医学の役割
長尾こころのクリニック
精神神経学雑誌
116:
602-609, 2014
<索引用語:キャリーオーバー, 児童青年期精神医学, 成人精神医学>