Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第116巻第7号

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特集 児童から成人へのキャリーオーバーを見据えた精神医学の構築
司法領域における発達障害の問題からみた児童精神医学のキャリーオーバー
十一 元三
京都大学大学院医学研究科人間健康科学系
精神神経学雑誌 116: 597-601, 2014

 少年・刑事司法領域における発達障害の問題を通じて,児童精神医学から成人精神医学へのキャリーオーバーと,両者の継ぎ目ない移行の必要性について述べた.はじめに,近年,鑑定例に一定の割合で発達障害が見出されるなか,改正少年法による重大事案の検察官送致の原則,および裁判員制度の導入により,司法判断において精神鑑定が果たす役割が一層重大化したことを述べた.次に,自閉症スペクトラム障害(ASD)という概念およびその臨床特性の特殊性を確認した後,ASDをもつケースの責任能力判断に伴う困難さや司法精神医学上の課題について論じた.最後に,それらの諸問題を解決するうえで,発達障害をはじめとする児童精神医学の知識と経験が不可欠であるとともに,成人精神医学と発達論的につながるような体系が確立される必要があることを述べた.

索引用語:児童精神医学, 発達障害, 少年事件, 刑事事件, 責任能力>
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