Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第116巻第7号

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特集 今後の医療計画の見取り図と連携―精神科医と地域連携―
身体合併症に関する地域連携の取り組み
山之内 芳雄
国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所社会精神保健研究部
精神神経学雑誌 116: 570-575, 2014

 精神科医療における身体合併症,とりわけ救急側面におけるそれは,需要の高まりとは裏腹に多くの問題を抱えているとされている.気分障害患者などの自殺未遂による外傷,高齢精神疾患患者の肺炎・骨折などの合併症の発症が増え続けている現状の中,行政施策においても,一般医のうつ病対応能力の向上,精神病床における合併症病棟の創設など,精神・身体双方からアプローチがなされているが,医療資源の配置,アクセスの問題といったハード面に加え,救急医療と精神科医療のコミュニケーションロスや相互の不安,精神科医療界と一般医療界の距離感もあり,いまなおタイムリーかつ機能的な連携が行われているとはいえないだろう.
 藤田保健衛生大学病院は救命救急センターと精神病床を有し,近隣地域から年間100例を超える精神身体合併症救急入院をかねてより実践していた.精神科医師などとの協働のもと,切れ目ない医療が実践されている.この実績を踏まえ,平成23年度から愛知県の地域医療再生計画において,精神科身体合併救急事業を委託され,さらなる対応力向上に向けた施設整備を行っている.しかし,人口700万人を超える愛知県全県の合併症救急を受け入れることは不可能であり,また身近な地域での医療連携とはいえない.
 このような中,平成25年度から始まる医療計画策定の議論の中で,精神科救急問題を取り扱う際,合併症の問題は1つの柱として取り上げられ,県内の救命救急センターなどを圏域とした,救急医療・精神科病院・一般科との連携について議論された.医療計画を推進すべく具体的な施策として,平成25年度から,救命救急センターと精神科病院との具体的かつ効果的な連携のためのモデル的なペアを作り,診療支援のシステムを構築し,それを運用していく仕組みを整えることとなった.地域の実情に合った精神科医療と一般医療の連携が推進されることを願ってやまない.

索引用語:精神科救急, 身体合併症, 医療連携, 医療計画>
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