Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第116巻第5号

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特集 認知症診療システムの構築と精神医学の貢献
認知症診療における精神科の役割
斎藤 正彦
東京都立松沢病院
精神神経学雑誌 116: 388-394, 2014

 2012年6月18日,厚生労働省の認知症施策検討プロジェクトチームは,今後の認知症医療,介護のあり方に関する報告書を明らかにし,同年9月5日には,これに基づいて「認知症施策推進5カ年計画(オレンジプラン)」が示された.オレンジプランは,認知症ケアにおける精神科医療の役割を,行動・心理症状への対応に限定し,入院要件の厳格化や退院促進策によって,その関与を最小化しようという意図が見て取れる.筆者の経験では,認知症専門のクリニックや精神科病院外来を初診する患者の多くが比較的軽症で,病識を保っている.精神科病棟入院患者は,急性期病床では比較的若い男性患者が多く,長期療養目的の病床では合併症をもつ高齢の女性が多い.政策立案者が把握している認知症の医療ニーズは,患者のニーズではなく,介護者のニーズである.筆者は,患者のニーズに立った認知症医療を,早期の診断,早期の精神的支援,行動・心理症状への対応,合併症医療,終末期医療に分け,それぞれの状態で精神科医がいかに関与すべきかについて論じた.

索引用語:認知症, オレンジプラン, 精神医学, 精神科病床>
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